三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ 鈴村健一 ハードキャッスル エリザベス20代〜30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2019.11.05

”薬歴”システムで患者にも薬剤師にも優しい医療体験を

株式会社カケハシ代表取締役CEO
中尾豊
患者が得する仕組みを最速で作りたい

今週のゲストは、【株式会社カケハシ 代表取締役CEOの中尾豊さん】です。
中尾さんは大学卒業後、武田薬品工業に入社しますが、2015年に退職。
「医療をつなぎ、医療を照らす」をビジョンに、
2016年に株式会社カケハシを創業されています。

まず「カケハシ」の主な事業内容を伺いました。

「薬剤師が使うシステム「Musubi」を開発しています。
 薬剤師が患者さんに合ったアドバイスをタブレットを見せながらお話しし、 
 タッチするとカルテのようなものが
 自動で作成されるシステムを開発し展開しています。
 薬局業界では、”薬歴"と呼ばれている少しマニアックなものなのですが
 薬剤師が患者さんに指導しながら薬歴の記録も残るシステムになっています。」

「Musubi」を使う利点はどんなところにあるのでしょうか?

「薬局側は薬歴がすぐ書けるので残業が無くなります。
 薬剤師は7割ほどの方が女性と、
 女性が多いので早く家に帰って家事が出来たり、
 薬局経営者も採用の場面でアピールになったりといった利点があります。
 1日に2、30人対応すると一人当たり3分だとしても
 1時間から1時間半かかるので、それを短くして
 患者さんにもう少し集中できるような仕組みを作っています。」

薬歴を書くのは薬剤師にとって重労働なのですね。
今までは全て手書きで書かれていたのですか?

「手書きから電子に変わってきた時代なのですが
 服薬指導という薬の説明をしながら
 薬歴の記録ができるというのはおそらく業界で初めてになります。
 またその患者さんにカスタマイズされるという特徴は珍しいとよく言われます。
 年齢や病気、あるいは季節によって表現が変わったり
 患者さんの生活習慣によっては
  "お酒を飲まれているようですが、これは気をつけてね”などの
 アドバイスが出てくるので、指導しやすいと思います。」

お薬手帳の電子化も進んでいますが、電子化はとても利便性が高いですよね。

「患者さんがお薬手帳を忘れてしまったとしても
 薬局同士で情報の連携ができれば安全性を守れるのではと思ったので
 薬局側で連携できる仕組みを作っています。」

「Musubi」がリリースされたのは最近なのでしょうか?
みなさんからは好評ですか?

「リリースされたのは2017年の8月なので
 今で2年ちょっと経ったところです。
 おかげさまで、毎月色んな薬局さんにが導入いただいています。」

話は変わりますが、中尾さんのご家族は
みなさん医療関係のお仕事をされているとか。

「母が薬剤師、祖父が医師。
 叔母と叔父も医師、従兄弟たちも医師や薬剤師と
 体がしんどい時に相談すれば大体解決するような環境でした。
 すぐ相談できるのが当たり前だったのですが
 社会人になるとそういった環境というのは無いなと
 考えさせられました。」

世の中はそんなに便利ではないと実感された訳ですね。
まず武田薬品に就職されたのも、やっぱり家庭環境の影響だったのでしょうか?

「医療業界に興味を持つきっかけとなったのは
 そういったことが大きいかと思います。
 ただ私は医療従事者では無いので
 出来ることは営業くらいかと思っていたのですが、
 武田に入って頑張ってみようとゴリゴリ働いていました。」
 
武田薬品といえば大手一流企業ですが、 
なぜ独立を考えるようになったんですか?

「元々起業志向はまったく無かったのですが
 働いていくうちに、自分が感じていた"医療従事者が近くにいる"という
 体験がそんなに当たり前じゃないと実感するようになりました。
 自分は大学病院の担当だったのですが、
 病院での待ち時間が長く、目の前の薬局に行っても
 待つ上に少しのアドバイスで患者さんは帰るので
 相談に集中できる環境ではないし
 家と病院の移動時間も多かったりするのを目の当たりにしていました。
 気軽に医療従事者に相談できる体験を作った方が
 世の中のためになるのではと思うようになったのが、
 起業を意識し始めたきっかけです。」

カケハシを創業する時の目標は何だったのですか?

「やはり患者さんの医療体験が良くなるといいと思っていて
 人生は1回だし、患者さんが一番楽になる体験を
 最速でやってみようと思いました。
 なので転職活動や、薬局を継ぐ話が上がっていた時期もあったのですが
 それよりも最速でそういう世界を作りに行ったほうがいいと思い
 独立は一種の夢というか、目標に向けて走っている感じですね。」

夢・目標に向かって起業された中尾さん。
その中で苦労された点について伺いました。

「苦労はたくさんありましたが、最初はずっとわくわくしていました。
 課題は出てきますが、出てきても解決すればいいので
 人がいなければ頑張って声を掛けるし、
 お金が無ければお金を集めて、頑張ればいいのですが
 最初は何も無かったのでどう始めればいいのか不安はありました。
 共同創業者もいるのですが、そういう仲間が増え始めた時は
 勇気がより湧いて頑張ってみようと思えましたね。」

起業しようというのは、すごい体験ですよね。

「会う人達も変わってきます。
 一流のビジネスマンや投資家の方とも、
 本質的にちゃんとディスカッションできるので
 いい経験になっています。」

「Musubi」のアイデアは起業されてから思いついたものだとか。

「最初はまったくMusubiや、薬歴は考えていなかったです。
 患者さんが得する体験を実現する為には
 どういうアプローチが事業として成り立って最速なのかを
 考える時に現場を回ったんです。
 薬局を数百軒回ったら、患者さんに集中できる環境では無い現場がありました。
 何の業務が重たいかというのを見ていくと、
 薬歴を業務時間外に書いていたり
 各患者さんの家に行って報告書を書いていたりするのですが
 その時間を徹底的に減らしたりできないか、と考えましたか。
 また、薬剤師が患者さんに何を話したらいいか考える
 というのは難しい環境でもありました。
 薬局は薬をもらいに行くだけの場所というイメージがありますが
 本来ならばその人に合った食事や運動のアドバイスもできる場所であるのに
 それがなかなか難しい環境だったので、  
 じゃあそれを解決していこうということに後で気がつきました。」
 
問題が解決してコミュニケーションを取る時間が増えたことで
薬剤師の方からこんな反応があったと言います。

「せっかちな患者さんだからMusubiで話すのは大変かなと思ったけど
 患者さんの反応が良くなってびっくりしたという声を
 全国から頂くようになりました。
 まだまだですが、もっと広めて質を高めていきたいです。」
 
最後にこれまで乗り越えてきたハードルを教えて下さい。

「事業には跳ねる瞬間があって、 
 それを作るのが経営者の大事な仕事だと思うのですが
 先週26億円の資金調達を発表させていただき
 その調達をするまでに事業をどう伸ばすかを
 組織として全体でできる仕組みを作るのが大変でしたね。
 結果的に仲間のおかげで調達できたのですがたくさん苦労はしました。」

ありがとうございました!中尾さんには来週もお話うかがいます。

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