三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2020.05.12

問いを深めることで問題解決する

クロス・フィロソフィーズ株式会社 代表取締役社長
吉田幸司
何が課題なのかがはっきりすれば、問題の8割くらいが解決している


ゲストは、先週に引き続き、哲学専門の会社、
クロス・フィロソフィーズ株式会社 代表取締役社長の吉田幸司さんです。

吉田さんは上智大学哲学研究科などを経て、
2017年に「クロス・フィロソフィーズ株式会社」を設立。
ズバリ、商品は「哲学」。哲学を使ったコンサルティング、組織開発などを展開。
先週は、哲学でビジネスをやろうと思ったきっかけや
これまでの具体的なお仕事をうかがいました。

今回は吉田さんが今年2月に
マガジンハウスから出したばかりの本『哲学シンキング』についてうかがいます。
まず、本のタイトルにもなっている「哲学シンキング」というのは?

「一言でいうと"問いを深めることで問題解決する思考法”かなと思っていますね。
 矛盾しているように思えると思うんですが、ビジネスの現場でも日常生活でも
 何か問題が生じたらすぐに答えを求めようとしてしまうと思うんですよ。
 でも哲学シンキングの場合は、むしろいきなり答えを求めるんじゃなくて
 問いに問いを重ねて、何が本質的な課題なのかというのを
 突き止めたりして問題を解決したりしますね。」

「例えば美白化粧品を開発したいとか、美白化粧品のマーケティングをする
 というようなお題があった時に、すぐに答えをもとめるのではなく
 そもそも何故美白するのか?とか、あるいは極端な問いで
 無人島でも美白したいと思うのか?といった問いを出してもらって
 深堀していくことで新しい洞察とか視点を出したりするんですよね。」

捉え方を変える可能性を探し続けるということですね。

「例えばシミやそばかすが無いほうが美しいという
 思考のバイアスが働いている時に
 そもそも何でシミやそばかすがあったらいけないの?
 むしろあったほうが綺麗な人や可愛い人もいるんじゃないの?
 という風に考えることも、問いを深めることで新しい視点が出てくると
 思うんですよね。」

短い時間で答えを出すというのが最先端な雰囲気がどうしても
世の中にはありますが、そうではなくそこに答えがあるからこそ回り道するとか
問いをかけることで答え自体がより明確になったり
また違った形になったりということが起きるということですよね。 
 
「はい。企業さんでワークショップをやったりすると
 最初は自分はほかの人から美しいと思われたいから化粧をしていた
 と言っていた人が、ワークショップの終わり頃になると
 無人島でも美白したいか?という問いがあった時に
 人がいなくても美白したいなぁという風に考えが変わっていくと。
 そうすると自分の意識を高めるためとか、自分を鼓舞するために
 実は化粧をしていたんだといったことに改めて気づく人もいますし
 写真家の方が参加していた時に、その人らしいシミやしわを
 どうやって残すかということをレタッチの時に
 考えていたりするらしいんですよね。
 そこにその人の個性が現れるんじゃないかとか、
 あくまで参考の例ですが、そういったことを90分、2時間深堀していくと
 どんどん新しい気づきが出てくると。」
 
やはり「問い」がキーワードなんですね。
「問い」の重要性とはどんなところでしょうか?

「アイデア出しだといい発言をしようとしてしまうと思うんですね。
 こんな発言だとありふれているなとか、
 気の利いたアイデアを出さないといけないなとか思いがちなんですけど
 問いからスタートすると発言しやすくなったり
 バイアスが取り除かれたりすると。
 問題に悩んでいる時って答えを探すよりも、何が問題なのかという
 問いを適切に設定することが大事だと思っていまして
 何が課題なのかがはっきりすれば、
 問題の8割くらいが解決しているんじゃないかと思うんですよね。」

ただ会議や話し合いの場で「問い」が多い人は、煙たがられることもあるのでは?

「そうですよね。普段いちいち質問されたら面倒と思われかねないと思うんですが
 だからこそそういった空間を提供することが大事だと思っていまして、
 なかなか上司に何で働かないといけないんですか?とか
 10年後のビジョンってどうして持たないといけないんですか?とかって
 普段は言えないじゃないですか。
 でも実際には今の20代の子たちって、ビジョンなんて持ちたくない
 ビジョハラだとか、フューチャーハラスメントだって言うんですよ。
 むしろ1、2年で新しいスキルを身に着けてどんどん成長したいという
 発想を持っている子が多いんですよね。
 だからそういう問いを出せる空間を作ってあげる事こそ、
 ビジネスパーソンにとって効果的なのかなと思います。」

そういった場の空気の作り方についても伺いました。

「基本的にはいろんな参加者を交える。
 同じ世代だけではなくて、別の世代を交えるとか
 別の分野や、部署の人を交えることもありますし
 会議だと上座下座などもありますが、
 あれがすでにかなりの圧力をかけている訳ですよね。
 弊社でやる場合は特にそうなのですが、
 円形に座って上座下座もなく役職や年代がばらけるようにする。
 そういう中でそれってどういう意味なの?とか
 なぜそう考えるの?ということをお互いに問いかけ合うような
 空間を作りますね。」

最後に、これからの夢を教えて下さい!

「哲学シンキングですでにオンライン化を始めているんですけども
 今考えているのは哲学のオンライン学校を作りたいなと思っていますね。
 オンライン化することで距離の弊害が無くなって
 むしろチャンスになったなと思っているんですよ。
 こんな状況だからこそみんなでどういう風に生きていくか?とか
 どんな世界を作っていきたいかを一緒に哲学シンキングして
 考えていきたいなと思っていまして、TwitterやSNSで発信しながら
 そういった空間を作っていきたいなと思っていますね。」

オンラインでさらに広がっていくことを祈っています!
2週にわたってありがとうございました。
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