ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2015年11月8日のショートストーリー

「あなたの書く字は、あなたそのもの」

[ストーリー]

私には、一日の終わりに立ち寄りたくなる場所がある。
駅前のスーパー。
目的は、買い物、というより、
商品ごとに添えられた手書きのコメント。

決してきれいな字というわけではないけれど、
やさしい味わいがあって、何とも癒されるのだ。
いったい、どんな人が書いているんだろう？

ある日、いつものようにスーパーに立ち寄ると、
レジ脇の事務スペースで
例のコメントを書いている店員さんがいた。
間違いない、あの字だ！

「心温まるステキな字ですね」

そう声をかけると、丸メガネをかけたその女性店員さんは、
うれしそうに目を細め、ある言葉を教えてくれた。

「あなたの書く字は、あなたそのもの」

中学生の頃、字が汚いことを気にしていた店員さんは、
担任の先生に言われたこの言葉で
自分の字に自信が持てるようになったそうだ。

私ももう少し、自分の書く字を大切にしようと思った。

青森県「てつお」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・市川榮里

• 前のストーリーを見る
• 次のストーリーを見る