ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2015年3月15日のショートストーリー

「走れないときは泳げばいい」

[ストーリー]

空港の大きな窓には、滝のように雨が流れている。
どうやら午前中の便は
すべて欠航することが決まったようだ。

コンペのスタート時間は刻一刻とちかづいている。
一秒でも早く現地に行って、準備をしたい。

それなのに、一緒に行く上司はどうにも緊張感がない。
こんな時だというのに、
今、買ってきた、出張先のガイドブックを読んでいる。

その呑気な姿に、僕のイライラはピークに達し、
上司の隣にわざと乱暴に座った。
すると、ガイドブックを静かに閉じて
上司が話し始めた。

「学生の頃、部活の顧問に言われたんだよ。
『走れない時は泳げばいい』ってさ。」

上司はガイドブックを読むことで現地にいることを想像し、
向こうの人たちとの共通の話題を探していたのだ。

確かに、準備の仕方は一つじゃない。

焦ってばかりで前に進んでいなかった自分を反省して
今できることを探すために、
しまっていたパソコンを開いた。

東京都「シャオ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・杉山錠士

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