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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

20.10.14

日銀、デジタル通貨の実証実験へ

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!

今日は、元経済産業省の官僚で制度アナリストの宇佐美典也さんにお話を伺いました。
宇佐美さんに取り上げていただく話題はこちら!


【日銀、デジタル通貨の実証実験へ】


エリザベス:日本銀行は先週金曜、『デジタル通貨』の発行に向けた実証実験を来年度、2021年度に始めると発表しました。


鈴村:まず、「デジタル通貨とは何なのか?」という基本的なところから伺っていきます。デジタル通貨とはどういうものなのか教えていただけますか?


宇佐美さん:デジタル通貨というと一般的にはビットコインのような仮想通貨を思い浮かべる人が多いと思うんですけど、それと、今回の日銀のいうところのデジタル通貨というのはちょっと違いまして、日銀がデジタル通貨の要件として3つ挙げているんですね。ひとつは、『デジタル化されていること』。これはある種、当たり前ですね。もうひとつは、『円などの法定通貨建てであること』ということで、円とかの通貨と交換できるようになっているということ。あと、『中央銀行の債務として発行されること』ということで、簡単にいえば、“デジタル化された日本円”というイメージですね。


鈴村:デジタル通貨の実証実験を日銀が始めるということなんですけど、これにはどのような背景があるんですか?


宇佐美さん:まず、勘違いしてはいけないのが、“日銀が今すぐにデジタル通貨を導入する予定があるわけじゃない”ということですね。ただ、デジタル通貨には、『ユニバーサルアクセス(=どこからでもアクセスできる)』、あとは、『即時決済(=すぐに決済できる)』などこれまでにない通貨の特徴があり、今後ニーズが増していくので、一応、それに備えて実証実験するという狙いがあります。というのが建前。


鈴村:おぉ?建前!?


宇佐美さん:本音を言うと、例えば、Facebookが『リブラ』という仮想通貨の構想を発表したりして、このままだと大手IT企業がネット上で銀行みたいな役割をはたし始めてしまうので、「これじゃ、中央銀行としては放っておけないよね」ということで、対抗策を準備し始めているというところですよね。


鈴村:なるほどね!海外に行ったときに両替するときとかって、本当に大変だったりするんですけど、仮想通貨だと世界共通だったりするから、海外に行っても使えるというメリットがあるというのが仮想通貨にはもともとあったんですよね。だから、そういうものに負けないようなものを作ろうということなんですか?


宇佐美さん:そういうものがもっと普及しちゃうと、中央銀行の商売が奪われてしまうので、「それはやめておくれよ」と、「それは国家独占の商売だよ」ということで対抗策をうってきているという事ですね。


鈴村:なるほど。日銀がデジタル通貨を発行すると、どのようなメリット、デメリットがありますか?


宇佐美さん:メリットとしては、今使われているのが民間のデジタルマネー、SuicaとかPayPayも含みますけど、それらを補完するような現金と並ぶ“新しい決済手段になる”という事と、うまくいけば、保管とか送金のサービスとかのコストが大きく下がって、“手数料が大きく下がる”とかですね。
デメリットとしてはデジタルの通貨なので、“保管にサイバーセキュリティ上の問題が生じる可能性”がありますよね。最悪、“偽造される可能性”もあるので、その辺のリスクをどうやって抑え込むのかっていうところですよね。


鈴村:日本は特にサイバーセキュリティってすごく弱いって言われているじゃないですか?そう考えるとそこが一番不安なポイントになってきますよね。
日銀は実証実験を経て、どのようなかたちで運用していこうと考えているのでしょう?


宇佐美さん:日銀がどんどん、どんどん、こういう通貨を発行して一般の国民に使ってもらうようなイメージで実証実験しようとしているというよりは、あくまでも“民間の決済サービスのサポート”というような位置付けで実証実験をするんだと思います。あとは、いろいろなデジタルマネーってありますよね?さっき言った、SuicaとかPayPayとか、コンビニとかにいくといろいろありますよね?それの間を跨ぐような役割を想定しているのではないかと思いまして、ひとつのデジタルマネーを使ってしまうと他に変換できないという不便さがあるので、そういうところを解決していきましょうとか、そういうふうなかたちなのではないかなと思いますね。


鈴村:う~ん、具体的にどうなっていくかはまだイメージわきづらいですけど、そういうものをつなぐものになると…。
日銀がデジタル通貨を発行し、それを僕たちが使うという段階にいくまで、今言ったように、具体的に僕らがどう使っていくかということになるまでには、どのような課題があるのでしょうか?


宇佐美さん:まず、そもそも、今ある『日銀法』という法律でこういうものが発行できるかどうかが微妙なところで、たぶんできないなので、その辺の法改正をしなきゃいけないというところがありまして、かなり道は遠いんですけど、ただ、法改正して、こういうものが発行できるようになっても、私たちが直接使うということは想定しなくてもよくて、さっき言ったような、今使われている民間の電子マネーがもっと使われるようになるというようなイメージでいいと思います。


鈴村:“物体としての通貨がなくなりデジタル通貨だけになる”ということはあり得るのでしょうか?


宇佐美さん:それはありえないですね。そういう世界って現実に起きているのがジンバブエとかなんですけど、ジンバブエは経済崩壊してて、ハイパーインフレで自分の国の通貨に信頼性がないわけですよ。自分の国の通貨を使うよりはビットコイン使った方がいいよね、と。ドルを使うにもドルを使うのが禁じられていますというような国なので、そうなると普及していくわけですけど、そうなるというのは不幸な世界なので、そうならないほうがいいよね、というようなことだと思います。



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