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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

20.12.23

過去最大となった来年度予算案

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!

今日は、元経済産業省の官僚で制度アナリストの宇佐美典也さんにお話を伺いました。
宇佐美さんにピックアップしていただいた話題はこちら!


【過去最大となった来年度予算案】


エリザベス:政府は一昨日、来年度予算案を閣議決定しました。一般会計の総額は106兆6097億円で過去最大です。この財源を賄うために、新たに発行する国債の発行額は11年ぶりに増え、43兆5970億円となりました。


鈴村:来年度予算案、どのようなところに、どのぐらいの金額が盛り込まれたんですか?


宇佐美さん:まず、全体としての感想なんですけど、総額の規模感としては過去最大といっても、“いつもとそんなに変わらないな”という印象ですね。いつもの財務省の手法なんですけど、喫緊の大きな事業は補正予算に回して、通常の予算の規模自体はあまり大きく膨らまさないという方法を使っていまして、各項目を大きい順にみると、一番大きいのは年金とか健康保険などに使われる『社会保険関係費』で35.7兆円、次が国債、借金ですね、それの利払い償還に当てる『国債費』で23.7兆円、その次が国から地方に配るお金、『地方交付税交付金』というんですけど、それが15.8兆円で、あとは、政権が随時新型コロナ対策に利用できる予備費を5兆円積んでいまして、この分だけ予算が膨らんでいるというかたちで、この4つの項目で80兆円を超えるので、あとの26兆円が各省が政策に使う経費で、公共事業に6兆円、教育や科学技術研究に5.3兆円、防衛費に5.2兆円と規模感が大きくてイメージしづらいと思うんですけど、概ね前年の規模感を踏襲して、微減か微増となっていて、そんなに特徴のある予算ということではないですね。


鈴村:そうなんですねぇ。この来年度予算案、宇佐美さんはポイントとしてはどのような点に注目されたんでしょうか?


宇佐美さん:あまり例年と変わり映えがないんですけど、その中でも、“菅さんが独自色をなんとか出そうとしているな”というところで、財務省の説明資料ですと、『縦割り打破』みたいなことをすごく強調していまして、自治体単位ではなくて河川の流域単位で治水計画を立てて洪水対策をしましょうという予算だとか、経産省と農水省で共同して再エネをもっと進めましょうみたいなそういう仕組みを重点的にやっていくということが挙げられていますね。


鈴村:う~ん、なるほど。あとひとつ気になるのが、国債ですよね…。国債の発行額が増加しました、国債の発行額が増えると私たちの生活に具体的にはどういう影響を与えるものなんでしょうか?


宇佐美さん:結論から言うと、『金利がなくなる』ということですよね。なぜかということなんですけど、今、政府の借金、長期の国債残高というのは990兆円くらいで1000兆円がみえてきたんですよね、これだけ借金が積み上げると利子が付くとすごい利払い費になるんですよね。1%あたり10兆円になるので、そうすると、政府はあまり利払いしたくないので、金利を下げようとするんですよね、こういうのを『金利抑圧』というんですけど、日本は既に金利が0%に張り付いているので、これだけ借金があるとそれがずっと続くということなんですけど、必然的に預貯金しても何もメリットがない状況がずっと続くということで、例えば、団塊の世代は1970年から1990年にかけて大体8%程度の金利があったんですよね、8年たつと2倍になるので、20年で4.7倍ということで、100万円預けると470万円になったわけですけど、私たちの世代だと100万円預けても、せいぜい110万とか120万円なので、350万円の差が出るということで、そういう意味では金利が抑えられた分だけ、今の借金に回っているっていう感じですね。


鈴村:そうですよねぇ、預貯金した額がずっと貯まっていくだけで、夢をどうやって持っていいかわからなくなってきますよね。


宇佐美さん:そうですよね、“ずるいですよ!”って感じですよね。


鈴村:なんかねー、そういうふうに感じたくはないんですけど、数字で見るとそういうふうに感じでしまうというのは、悔しいですよね。自分で何とかしなきゃいけないんでしょうけどね、資産はね…、う~ん……。
その財政を健全化するためにはどうすれいいんですかね?


宇佐美さん:そうですねぇ、元も子もないことを言っちゃうんですけど、財政健全化すること自体は技術的には簡単なわけですよね、社会保障費が35兆円にも上っているので、そこを削っちゃえばいいということなんですけど、ただそうすると、必然的に国民生活が犠牲になるので、なので、政府は意図的に財政健全化しないで先送りし続けているという現状を理解すべきだと思うんですよね。ただ、何もしないといつか先送りの限界がきて、政府がこれ以上借金できないという状況が生まれるので、そのきっかけが『国債の格下げ』と言われているんですけど、ある程度の国債の格付けを保って借金を続けるためには、市場からの要求で、何年に1回、消費増税が必要なんですよね。だから、これからも多分、財政再建しないで、ずるずると借金を増やしつつ、たまに消費増税ということが続くと思いますね。


鈴村:なるほど…。これはどこかで革命が起きる可能性はあるんですか?


宇佐美さん:いやー、革命しても状況が変わらないので、なかなか厳しいですよね、本当に…。



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