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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

23.02.23

卵の価格高騰、いつまで続くのか

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら！


『卵の価格高騰、いつまで続くのか』


吉田：農林水産省が21日に公表した『食品価格動向調査』によりますと、卵の“全国平均小売価格”は、2月に262円となり、現在のサイズで統計を取り始めた令和元年7月以降、最高値を更新しました。


ユージ：塚越さん、卵の値上げが止まらないですね。


塚越さん：そうですね。農水省が一昨日、21日に公表したデータによりますと、卵1パック 混合サイズ10個入りの全国平均小売価格は、去年11月が228円、12月に236円、今年1月には244円と上昇し続けて、2月には262円ということで、過去5年間の2月の平均価格と比較して25％も上昇しているんですよね。これとはまた別にですね、『JA全農たまご』が発表している卸値の基準値である、東京地区のMサイズの卵1キロの平均価格は、去年2月1日の価格が165円だったんですけれども、先週金曜日に335円と2倍近いということで、過去最高水準で高くなっているんですよね。


ユージ：なんで卵が値上がりしているのか、改めて教えていただけますか。


塚越さん：背景にあるのは、やっぱり、『エサ代の高騰』と、昨年から全国的に流行している『鳥インフルエンザの影響』です。特に鳥インフルエンザは、すでに全国で1300万羽以上の鶏が殺処分されているということで、卵の供給数も全国的に減少しています。鳥インフルエンザについて、先月番組で扱った際に、「スーパーで卵を見かけにくくなった」という話をしたんですけれども、価格上昇だけでなくてですね、そもそも、卵を見かけなくなるということがこれからも続くのかなと思いますね。


ユージ：卵の値上がりは、今後も続くんですかね…。


塚越さん：野村哲郎 農林水産大臣は去年、「正月明けには少し落ち着いてくると思っている」と発言したんですけれども、これを先日、「完全な間違いというか、先を見通す力がなかった」、「あと半年は待っていただかないと」と発言を訂正されたんですね。見通しの甘さが批判されていて、「あと半年待っていただかないと」と大臣はおっしゃっているんですけれども、これは、ヒナの誕生から卵を産んで流通できるまでが半年ということでして、だた、鳥インフルエンザの流行時期は10月〜5月くらいまでということで、まだ安心できません。さらに、鳥インフルエンザが落ち着いたとしても、エサ代の高騰は止まらないと指摘する専門家もいますので、大臣のこの発言そのものが、“また見通しが甘いんじゃないかな？”と思います。卵は生活に直結している大事な問題ではありますが、もうちょっと続くのかなと思いますね。


ユージ：この状況、塚越さんはどうお考えですか？


塚越さん：実は海外でも卵の高騰が続いているんですが、一方で、『鶏の飼育』に関しては、主に海外で『アニマルウェルフェア（＝動物福祉）』の観点から、放し飼いなどの飼育方法が注目されています。『アニマルウェルフェア』というのは、人間の管理下にある動物の飼育環境を改善して、動物が余計な苦痛を感じないような飼い方をしましょうという考え方のことなんですよね。これを受けてですね、カリフォルニア州では、去年から州内で販売する卵は、ケージで囲って狭い場所で飼育をしない『ケージフリー（＝放し飼い）』での飼育が義務付けられるようになったりしているんですよね。放し飼いなので、ケージで飼育するよりも大量生産はそもそも難しいんですよね。また、これはこれで感染対策が難しいのですけれども、ケージで育てる従来の飼育方法だと、過密した空間になってしまうので、鳥インフルエンザを含め病気が発生した際に一気に蔓延するリスクがあるんですよね。もちろん放し飼いは、ケージを利用した大量生産に比べると、効率性の問題でどうしても価格は高くなるんですけれども、『アニマルウェルフェア』の観点から日本でも、「導入しよう！」という声もあったりします。実際、去年12月にアメリカの鶏卵大手が出したレポートによりますと、放し飼いの卵とかオーガニック卵といった特殊な卵が、普通の卵よりも1ダースあたり0.5ドル価格が低くなったということもあるんですね。これは、鳥インフルエンザの影響で大量殺処分されてしまった普通の卵の価格が高くなる中で、小規模で疫病の打撃を回避できる放し飼いの卵が相対的に安く感じられたということなんですよね。


ユージ：なるほど！！


塚越さん：なので、こうした事例は特殊といえば特殊なんですけど、やっぱり、注目されるべきことなのかなと思います。もちろん、日本ですぐに導入というのは難しいんですけれども、将来的にみれば、卵はこれから多少の値上がりはありますし、『アニマルウェルフェア』の導入で、値段が高くなったとしても、疫病リスクを回避できたり、動物福祉も尊重できると思いますので、価格を下げるという考え方もあるんですけれども、考え方をシフトしていって、ある程度高いかもしれないけれども、動物福祉を尊重できるということも我々、消費者が選択肢として考える必要はあるかなと思います。


ユージ：そうですね。この『アニマルウェルフェア』という言葉はおぼえておきたいですよね。『動物福祉』は、今後、注目されていくと思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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