23.11.21
国会でも議論、悪質ホストクラブ問題について
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「国会でも議論、悪質ホストクラブ問題について」
吉田:立憲民主党が16日、悪質なホストクラブについて政府に被害防止の徹底を求める要請書をまとめました。神庭さん、この問題はこれまでもニュースなどで取り上げられてきましたがついに国会でも取り上げられる事態になりました。悪質なホストクラブについて、とくに問題視されているのは何でしょうか?
神庭:ホストクラブは、初回は数千円くらいで安く飲めますが、
お客さん(ほとんどが女性)は「姫」と呼ばれてチヤホヤされて、2~3回と通ううちに5万円、10万円がすぐ飛んでいきます。シャンパンタワーを頼むと会計が200~300万円になることも。そういった高額なお会計をその場ですぐに支払えない場合に通称「青伝」と呼ばれる青い伝票を渡して後日、ツケで払わせます。はっきり言えば借金ですが、「カケ」「売掛金」といって、もしお客さんが払えなければホストが負担することになるので、ホストもあの手この手で回収しようとします。なかには「風俗で働けば、それくらいすぐに稼げるよ」と甘い言葉で誘導するような悪質ホストもいて、社会問題化しています。
ユージ:こういうシステムは、飲食店でも常連の方であればツケでの支払いもありましたが、今の時代どうでしょう。国会でも問題視されるぐらいですから、ホストにハマってしまう女性が後を絶たないわけですね?
神庭さん:ホスト沼にハマった人の女性のことを「ホス狂い」「ホス狂」と言います。時事通信によると、17歳の女子高生にお酒を提供したとして、警視庁は17日までに37歳のホストクラブ経営者を風営法違反容疑で逮捕しました。この女子高生は、20代のホストに「ナンバーワンになるために毎日来てほしい」と言われて通い始めたそうです。3〜5月に170万円を使い、大久保公園周辺で路上売春してお金を稼いでいたといいます。集英社オンラインでは、ホスト通いの果てに保育士の仕事を辞め、総額3,000万円もの売掛金の返済のために海外まで風俗の出稼ぎに行っているという20代女性のケースが紹介されています。
吉田:なぜそこまでハマってしまうのでしょうか?
神庭さん:マインドコントロールのように女性客を型にはめて落とすマニュアルのようなものが存在しています。ジャーナリストの富岡悠希さんがダイヤモンド・オンラインに寄稿した記事では、新人ホスト向けの研修内容が写真入りで紹介されています。参加者のノートには、赤字でハッキリと「マインドコントロール」と書いてあってお客さんがホストに来る理由は「心の空洞を埋めるため」だと書かれています。
吉田:女性客を落とすノウハウが蓄積されているわけですか、怖いですね。
神庭さん:具体的なノウハウもこと細かに書かれていて、【鎖をかける】という項目には「Aさんなら色々相談できる」などといって「とにかく褒める」と書いてあります。女性の心に鎖をかけるという意味だと思います。【地雷を置く】という項目には「すぐ怒る人って嫌ですよね」などと伝えることで、女性に怒れなくさせるテクニックが載っています。また、他の店に客を取られないように「他店に行く女の子って最低だよね」と姫に言う、といったことも書かれています。こういうことを積み重ねていくと、「地雷を避けるため勝手に理想の女の子になる」という生々しい記述もあり、金づるからどうやってお金を引っ張るか、ホスト沼の底まで落とすかを冷徹に計算し尽くしていることが分かります。社会人経験や恋愛経験の乏しい若い人だとひとたまりもないんじゃないかなと思いますね。
ユージ:ただ、明確な脅迫などがないと、警察も介入しにくいかもしれません。どんな対応が求められているのでしょうか?
神庭さん:売掛金禁止条例を作った方がいいと言ってる人もいます。ただし、売掛、ツケ払い自体は、ホスト以外の業界でも広く行われている商慣習ですから、条例で規制するのはなかなか厳しい面もあります。朝日新聞の報道によると、歌舞伎町がある新宿の区長は17日に記者会見して、民法の「契約自由の原則」などのハードルがあるため、売掛金禁止条例はかなり難しいとしつつ、「ホストクラブに売掛金の自主規制を求めていく」と話したそうです。そして同じ日にカリスマホストのROLANDさんはグループ全店で売掛を禁止することをInstagramで発表しました。非常にスピーディーな対応だなと思います。
吉田:神庭さんは悪質ホスト問題についてどうお考えでしょうか?
神庭さん:恋愛感情を不当に利用し、契約しなけば恋愛関係が終わると思わせてお金を払わせるようなやり方を「デート商法」と言います。消費者庁は、ホストの高額な売掛金の請求がデート商法にあたり、消費者契約法に基づいて取り消せる可能性があると国会で答弁しています。まずは、今ある法律をフル活用して取り締まりを行い、ホスト業界に自主規制の徹底を求めます。そのうえで足りない部分があれば、法改正や新規の立法も検討していくという順番かなと思います。18歳未満の子どもに関して話は簡単で、IDチェックをしっかりやって入店できないようにさせる。違反店はバンバン摘発すればいいと思いますが、問題は成人している女性客です。一義的には自己責任ということになってしまいます。お酒に依存して身を滅ぼすこともあれば、ギャンブルや宗教に多額のお金を注ぎ込んで破滅することもあります。だからと言って、酒やギャンブルや宗教を全面禁止するのは明らかに行き過ぎですよね。愚行権といって愚かな行いをする権利も認められています。ですので、ホストに関しても分別のある大人が節度を持って楽しむ分には別にいいです。先ほどのホストマニュアルしかり、現状はわざと分別や節度を失わせて、沼らせるようなテクニックが横行しているわけです。ここは非常に問題だと思いますので、そのお客さんの中に何らかの疾患や障害を抱えている人がいないのか今後、検証していくべきだと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 21, 2023
『国会でも議論、悪質ホストクラブ問題について』
問題とされているのは、ホストが売掛金(ツケ)を支払わせるために客を風俗店に勤務させたり、違法な接待をしてお金を稼いだりする女性が急増していることです。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 21, 2023
提案として、クーリング・オフのように「正常な判断ができないまま不本意に支払ってしまった。最終的には支払えない」という申立てが成立すれば、ホスト達が無理な金額を回収しようするのをやめるのではないでしょうか。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 21, 2023
気になるのは、仮に「売掛金禁止条例」ができたとしても、客の本質は変わらないのではないかということです。
推しのホストに貢ぐためには多額のお金が必要になるので、結局…
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) November 21, 2023
条例に多少の効果はあるかもしれませんが、客がホストに多額のお金を注ぎ込んで破滅するという仕組みを改善したいのであれば、もっと違うポイントで見る必要があると思いました。#ワンモ