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24.04.03

上下水道、国土交通省の一元管理スタート

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「上下水道、国土交通省の一元管理スタート 」

吉田:上水道の整備や管理の業務が、おととい1日付で厚生労働省から国土交通省に移され、国土交通省による上下水道の一元管理が始まりました。上水道の整備や管理の業務を厚生労働省から国土交通省に移したこと。これには、どのような狙いがあるのでしょうか?


塚越さん:まず上水道とは、飲み水に適した水を供給する水道とそのための水道管やポンプといった設備全般を指すもので、上水道に関連する業務はこれまで厚労省の管轄でした。一方の下水に関しては国土交通省の管轄です。なぜ上水道が厚労省管轄なのかというと、上水道が厚労省の管轄だったのは私達の健康にとって、とても重要だったからです。明治時代の初期(19世紀後半)には、汚染した水で感染症の「コレラ」が流行して、多くの人の命を奪いました。日本国憲法にも健康で文化的な最低限度の生活を営む権利が書かれており、公衆衛生が重要です。そこで1957年に「水道法」が制定され、全国に水道が普及します。1950年には、26.2%だった水道普及率が高度経済成長もあり一気に拡張され、2021年末の時点で98.2%まで普及しています。これによってコレラや赤痢などの、水系伝染病患者は激減しました。つまり、水道は人間の健康に関わるもので、上水道の普及を担当したのが今の厚生労働省(当時の厚生省)です。ただ、現在は水道管が老朽化し、維持管理が難しい自治体があります。そこで、地方整備局を持つ国交省に事業を移管することでインフラ整備や災害対策を進めようとなったわけです。上水道と下水道で管理が国交省に一元化されることになりますが、こうした改革はおよそ60年ぶりとのことです。つまり、水道は公衆衛生というより、インフラ整備の対象になるということです。ただ、上水道業務のうち水質や衛生に関する業務は環境省に引き継がれるということです。


吉田:水道管の「老朽化」。現状は、どうなっているのでしょうか?


塚越さん:急速に普及した上水道ということもあり、課題が沢山あります。厚労省によれば、2020年度の段階で法定耐用年数の40年を超えた上水管の割合は「20.6%」。また全国の主要な水道管の耐震適合率(つまり耐震化率)について、2022年度末時点の全国平均は42.3%で、前年から1.1ポイントしか上昇しておらず、補強が進んでいないということです。全国平均で42.3%ということですから、やはり都市と地方では格差があります。さらに、これは主要な水道管の割合なので、全体ではちょっと厳しいということです。維持を誰がしているのかというと、上水道業務は主に市町村などが、独立採算制の公営企業として運営しており、基本的に税金ではなく私たちの水道利用料でやりくりしています。ただ、その事業者は全国に1300ほどあって、電気やガスに比べて規模も小さく、職員も少ないです。災害が生じると大変で、例えば能登半島地震でも上下水道の管路の破損によって一時は断水が最大13万戸超に及んだということです。昨今は設備の老朽化で、年間2万件を超える水漏れや破損事故が生じており、大規模な災害だと長期の断水も多いということ。さらに人口減少や節水家電の普及で水道収入は低下しているとのことで、基本的に水道収入で人件費や維持費を賄っているので、財源不足で老朽化対策がなかなか進まないということです。さらに、水道管の更新には1キロあたり1億〜2億円かかるとのことで、現在のペースだとすべてを更新するのに140年かかると言われています。(その間に全部老朽化します)。その間にさらに老朽化しちゃうということなので、今回の管理移管によって関係者からは国交省から災害対策などの名目で資金が増え、整備が進むのではという期待の声もあるということです。


ユージ:国土交通省が管理することで、水道管の老朽化対策は進むと思いますか?


塚越さん:そうですね。移管の理由のひとつに、一元的に支援ができることが挙げられています。もともと国交省は道路や河川の管理もしているので、インフラ整備のノウハウが活かせるということです。ネットワークのある国交省が市町村支援を円滑に行えると考えられます。また災害に対しても、国交省への移管によって通称「災害負担法」という法律に水道事業が追加されます。この法律は災害復旧費用に対する国の補助に関するもので、従来が2分の1ところ、法律が適応されると基本的に補助が3分の2になるので、災害があったときの国の補助が増えるということになります。


ユージ:上水道の管理を国土交通省が行うことについて、塚越さんはどうご覧になりましたか?


塚越さん:基本的にはいいことなのかなと思います。「公衆衛生」と経済の両立がどうなることかなというところです。民間に色々任せようという動きを国交省が行っている動きもあるのですが、全部を民間に任せるには今すぐにはなりませんがなったらどうなるだろうか。水は健康に良く大事なので、そこの調整がこれから大事かなと思います。いずれにしても世界で水道水を飲めるのは10カ国程度なので日本はすごいことです。ちょっとお金の話でも曲がり角にきているので、「水と空気は無料」という時代は厳しいかなと頭の中に入れておいて欲しいです。


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