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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

25.03.19

消費者を不利に誘導する『ダークパターン』…独占禁止法に触れる可能性がある10種類とは?

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


【消費者を不利に誘導する『ダークパターン』…独占禁止法に触れる可能性がある10種類とは?】

村田:ウェブサイトの画面などを消費者の判断を誤らせるようなつくりにする「ダークパターン」について議論する、国際シンポジウムが3月14日、東京都内で開かれました。主催した公正取引委員会は、10種類の事例が独占禁止法に触れる可能性があるという見解を公表しました。塚越さん、この10種類の事例の前にまずはダークパターンについて、改めて教えてください。


塚越さん:去年にも1度お話したことがあるのですが、このダークパターンは私たち消費者が気づかないうちに不利な決定を誘導する手法のことで企業側の問題です。実例でいうと、予約サイトでは「現在◯◯人がみています」とか「残り僅か」という表示で焦らせて予約させたりします。


村田:よくある!


ユージ:あるある!


塚越さん:ありますよね、みなさん経験があると思います。通販サイトだと、1回だけ買うつもりだったのに、初期設定が定期購入になっていたり。


村田:すごく、これもよくありますよ!


塚越さん:そのルールがとても小さな字で書いてあったりするので、ほとんど気づかないというものです。要するに、あの手この手で商品を買わせようとするものですね。年間の被害額は、最大でおよそ1.7兆円にのぼるという推計もあります。


村田:この「ダークパターン」について、公正取引委員会が、独占禁止法に触れる可能性がある10種類の事例を示したということですが、どういった事例でしょうか?


塚越さん:公正取引委員会内の研究部門が、典型的なダークパターンを11種類に分類して、そのうち10種類は独禁法に触れる可能性がある、という見解です。事例をあげますと、最初の1ヶ月は90%オフと書いてあるのだけど、2ヶ月目からはそれが消えてしまって高くなるなど、重要だけど売る側にとって不利な条件ですよね。これを隠している。あるいは、書いてあっても小さい字で書いてあるなどお客を誘導するケースは「ぎまん的顧客誘引」などにあたる可能性があります。あとは、通販サイトで商品をみただけなのに、買い物かごに勝手に商品が追加されるようなケースは、先ほどの「ぎまん的顧客誘引」や「抱き合わせ販売」などにあたる可能性があります。他にも、サービスの入会はウェブで簡単にできるのに退会の時だけは電話だけしか受け付けない。しかも電話が混み合ってなかなか出ないことがあります。


村田:これもよくある!


ユージ:もしくは、探せばネット上に「退会はこちら」と書いてあるけど、それが小さい字で見当たらないということがあります。


塚越さん:ありますよね。こういう場合は、解約を難しくするのはライバル企業の顧客獲得を妨げる取引妨害にあたると言われています。ただダークパターンとは、明らかな法令違反というよりは、判断が微妙なもの、「あなたがしっかり条件をみて買わなかったでしょ」といえなくもない、ギリギリのところを突いてくるものです。実際、先程のケースは法にふれる可能性がありますが、あくまでケースバイケースです。他にも、消費者の感情を操って特定の選択肢に誘導する行為などは、今の独禁法だと想定していないので、適用される可能性が低い、という分析もされています。なので、ダークパターンを指摘して改善させるのは難しいし、私たち一般の消費者も相当高額のものでない限り、訴訟を起こすなども現実的ではないわけで、非常に難しい問題です。今回は公正取引委員会が見解を示して、企業に対して注意していると言えます。


ユージ:塚越さんには、これまでも「ダークパターン」についてお話を何度か伺っていますが、今回の10種類の事例、どうご覧になりましたか?


塚越さん:日本は欧米に比べると、ダークパターン規制があまり進んでいません。例えば、ヨーロッパでは2024年に全面的に施行した「デジタルサービス法」でダークパターンを禁止しています。そういうのと比べると進んでいないのですが、例えば日本でも「景品表示法」といった既存の法を活用すれば、ある程度、規制はできるという指摘もありますし、今後はこの動きが進むと思います。一方で、こうした話題があると我々としては「よく条件を読みましょう」という話ですが、忙しくてなかなか読めないですよね。そうなると、どうしたらいいのか悩んだ時に私が考えるのは生成AIが人間に代わってやってくれると。最近のAIは、AIエージェントというのが生まれてきていて人間の代わりに色々調べて買ってくれる、買う手前までやってくれるなどがあります。実はこれ、中国では「Manus」というサービスが注目されています。前にDeepSeekショックになったと話しましたが、第2のDeepSeekじゃないかと言われています。こういったものもあります。AIに任せようかなという一方で、今度はAIが自分の代わりに買ってくれる「AIを騙すAI」が出てくる可能性があります。


村田:もう、どうしようもない!


塚越さん:ネット上で、私たちが知らない間にAIを騙そうとするAIが電子の世界の中で戦いまくっていると。


ユージ:AI同士の中で戦いが始まるわけですね。


塚越さん:そう。これになるとなかなか厳しくなるので、話が戻りますが今のところは私達が大変ですが条件をみて「ダークパターン」という言葉を覚えておいてください。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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