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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

19.06.05

ひきこもり報道のあり方

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!

今日は、政局から炎上案件まで独自の視点で発信するニュースサイト『J-CAST ニュース』の副編集長、城戸譲さんにお話を伺いました。
城戸さんが注目したネットの話題はこちら!


『川崎殺傷事件、元農水事務次官事件から考える「ひきこもり報道のあり方」』

このニュースのあらましは…


川崎殺傷事件、元農水事務次官事件、これらの事件について「ひきこもり」という言葉がクローズアップされました。そのことについて根本厚生労働大臣は、「事実関係が明らかではなく、安易にひきこもりなどと結び付けることは厳に慎むべきだ」と述べました。


鈴村:今回、ピックアップしていただいたのは、『川崎殺傷事件、元農水事務次官事件から考える「ひきこもり報道のあり方」について』ということですが、この二つの事件は、『ひきこもり』がキーワードになっていますよね?


城戸さん:先週、川崎市で起きた小学生ら20人が包丁で刺され死傷した事件で、自殺した容疑者について、親族がひきこもり傾向にあると自治体に相談していたことがわかっています。また、元農水事務次官が44歳の長男を刺したとして逮捕された事件では、元事務次官は警察の調べに対して、「長男はひきこもりがちで家庭内暴力があった」などと供述しています。これらの事件について、『ひきこもり』という言葉がかなりクローズアップされているんですけど、根本厚生労働大臣は会見で、「事実関係が明らかではなく、安易にひきこもりなどと結び付けることは厳に慎むべきだ」というふうに話をしていました。


鈴村:たしかに極端な気がしますよね。本当に人それぞれ個性というのがあるので、ひきこもりという現状があるのは事実でしょうけど、だからといって、その全てが、ひきこもりの人が全てがというふうに紐づけるというのは、ちょっと安易な感じがするというのは僕も思いますね。
事件とひきこもりを関連付ける報道に対して、ネット上ではどのような反応がみられているんでしょうか?


城戸さん:川崎の事件の容疑者が親族に対して、「食事も洗濯物もしているのにひきこもりとはなんだ!」というような発言をしていたと報じられていまして、それについてネットでは、「それはひきこもりだよ!」という意見があったりとかはするんですけども、テレビだったりとか、ひきこもりを結構大きくクローズアップしているところでは、「事件との関係があるのかよ!」みたいなところだったり、「ひきこもりしている人が、あたかも事件を起こす感じになっていて良くないな」という意見も出ていました。


鈴村:一つの色でべったり塗ってしまう感じがすごくしているのは事実ですね。
ひきこもり経験者の方や、そういうところから懸念する声というのは上がっているんですか?


城戸さん:ひきこもり当事者だったり、経験者が自ら声を発信する『ひきポス』というメディアがあるんですけれども、そこの編集長さんで、ご自身もひきこもり経験があるとおっしゃっている、石崎森人さんは、川崎の事件の容疑者がひきこもり傾向にあると報じられたことを受けて、先月30日にサイトで「世間が、ひきこもっている方たちへ無差別殺人犯予備軍のようなイメージを持つようなことが起きれば、それはまさに偏見の誕生である。」と警鐘を鳴らしていらっしゃいました。


鈴村:今回の二つの事件に関して、どのようなかたちで報道すべきだったんだと思われますか?


城戸さん:J-CASTニュースで石崎さんにお話を伺ったところ、最近のマスコミ報道では「ひきこもりであることと犯罪は関係ありません。」とあえて前置きして話す人がいて、数年前より意識が高まってきているんじゃないかという部分もあるんですけれども、そういう前置きが必要なのか、ひきこもることと凶悪犯罪を起こすことがどれだけ関係するのかというのはかなり検討してほしいというふうに呼び掛けていらっしゃいました。


鈴村:そうですよね。この検討をしっかりやったうえで、情報というのは流さなければいけないと思います。城戸さんはどのようにお考えですか?


城戸さん:実を言いますと、高校を卒業した後、浪人時代にほぼひきこもり的な状態になっていた時期が一年近くあったんですけども、そこで思ったのは、社会との接点を持つというのが一番大きいということ。どうやって社会で自分事にしていくかというのは大事だと思うんですけど、一連の報道を見ていますと、どちらかというと、社会と切り離して、別の世界の話しみたいな形で伝えていることも多いのかなと思って、もっと寄り添う形の報じ方ができないのかなと改めて感じました。


鈴村:社会との接点をどうやって作っていくかを考えなきゃいけませんし、そういう前向きというか、そういう形になっていく報道が大事だと思いますよね。今回の件で思ったのが、犯罪とひきこもりを紐づけている事自体が間違っている気がします。そこじゃない報道が必要だと思います。



そして、今日の #スズコメ はこちら。





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