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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

19.10.09

あいちトリエンナーレキュレーターらが吐露した「現場」の苦悩

null今知っておくべき注目のトレンドをネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します!!

今日は、政局から炎上案件まで独自の視点で発信するニュースサイト『J-CAST ニュース』の副編集長、城戸譲さんにお話を伺いました。
城戸さんが注目したネットの話題はこちら!


【あいちトリエンナーレ、キュレーターらが吐露した「現場」の苦悩】

鈴村:まずは、ここ数日でネットではどのようなことが話題になったのか教えていただけますか?


城戸さん:はい、日本語のマナーについての記事でですね、「ご多忙の中、失礼します」という言葉を使う時があると思うんですが、“忙”しいという字が、りっしんべんに“亡”くなると書くことから、縁起の悪い『忌み言葉』ではないかとインターネット上で蔓延していまして、テレビ番組でも、『ご多用』を用いるのが正しいという表現をされていることがあるんですね。そこで過去の文献を調べたところ、NGという表現はあまりなくてですね、ただ、インターネット上では、結構、ダメだというようなことが書かれていまして、そのあたりのことをインターネット文化に詳しい方に聞いたところ、もっともらしい風説は読み手が大義名分を得た気になり拡散されやすいんじゃないかという見解を示されていらっしゃいました。


鈴村:こうやって言葉が狩られていく可能性はありますよね。こういうことで、言葉狩りにならなければいいけどなぁ。


城戸さん:次は、大ヒット曲の『前前前世』で知られているロックバンド、RADWIMPSのボーカル、野田洋次郎さんが、ツイッターで「漢文の授業ってまだあるの?あれって本当に意味がないと思うんだけどなぜいまだにあるんだろうか」と、「普通に中国語で読める漢文を教えてほしかった。受験や試験のための科目のような印象。前時代的に感じる」というふうにツイートして結構大きな話題になっています。


鈴村:確かに!レ点とかちょっとパズルみたいな感じでしたもんね。それが何の意味なのかってところまで教えてもらったりとか、これを使えば読めるようになるとかっていうことではなかったというか、日常会話で使えるものではなかったなあ。


城戸さん:テクニック的な感じですよね。


エリザベス:でも、昔の文章が出てきたときに、レ点が入ってたりして感動したりしました。


鈴村:それはあるよね(笑)


エリザベス:読める!!!って(笑)


鈴村:でも漢文に時間を使うなら、今まさに社会に出て役に立つことを教えた方が良いんじゃないかっていう議論はあるかもしれませんね。


城戸さん:続いては、料理の配達を代行する『Uber Eats』、街でよく大きな鞄を背負った自転車の方を目にすることがあると思います。そこで料理を注文したんですが、こぼれていたということで配達員からの受け取りを拒否したところ、その配達員の方がマンションの共有スペースに袋ごと料理を投げ捨てていたんじゃないかとツイッターで投稿されて大きな話題になりました。日本法人にお話を伺ったところ、プライバシーに関わるため個別の問い合わせについては回答を控えるということだったんですが、一般論としてですね、サービスのクオリティーを維持するために、悪質だと客観的に判断される行為については、配達パートナーへの警告など必要な措置を取っていますというご回答でした。


鈴村:一応、Uber Eatsは評価システムだったり、そういうことはやっていますもんね。でもこれは、どういうモラルなんでしょうね…。


エリザベス:Uber Eatsに言ったところで、本当にあったかどうかもわからないって言われちゃったら…。


鈴村:そうなんですよねぇ。時々、問い合わせしても、対応してもらえなかったことがあるとかって聞いたことがありますけども…、こういうことがもっと整備されるには、まだこれからなんでしょうね。


城戸さん:そうですね、過渡期にあるのかもしれないですね。


鈴村:そうかもしれませんね。そして、今回ピックアップしていただいたネットの話題はなんでしょうか?


城戸さん:『あいちトリエンナーレ、キュレーターらが吐露した「現場」の苦悩』です。


鈴村:どういうことなんでしょうか?


城戸さん:昨日、『表現の不自由展・その後』が公開再開されたんですけれど、名古屋の河村たかし市長が座り込みを行うなど、波紋が広がっているわけなんですね。その再開前の土日にトリエンナーレで『「情の時代」における表現の自由と芸術』と題されたフォーラムが開かれまして、そこで、不自由展の中止問題についてが論点の一つとして紹介されました。ここで芸術監督を務める津田大介さんは、あいちトリエンナーレそのものがパフォーミングアーツの場所に変わっているなどと評していまして、一方で、展示を企画したキュレーターの方々からは、生々しい苦しみの声が漏れていました。


鈴村:キュレーターの方々からはどんな声が出ていたんですか?


城戸さん:例えば、「表現、アートによって分断を乗り越えるということが掲げられていたが、実際に始まってみると、むしろ、その困難が、表現が人を分断させているという状況をあぶりだすというような状況になってしまい、本当に当初目指していた事の反対を体現するような形になったというのが、すごく苦しい状況だった」といったことや、「『不自由展』がクローズになって、私たちは抗議される側になった。これまで検閲と戦ってきたのに、『検閲する側』みたいに言われたときの辛さはすごくあった」など、こういったような反応がありました。


鈴村:なるほどね。城戸さんは先週、あいちトリエンナーレに見に行ったということなんですけど、実際に現場に行ってみてどのように感じられました?


城戸さん:プライベートで行ったんですけれども、不自由展のあるはずの入り口のところに大きな壁がありまして、そこに、アナタが不自由の感じたことは?というメッセージカードを貼れるスペースがあって、来場者がペタペタと貼っているんですが、元々の展示物じゃない、参加型の新たなアートがここで生まれていたんじゃないかなという印象を受けましたね。


鈴村:みんなが参加することでアートになっていくということですね。そういうことが真意をついているかもしれませんね。


そして、今日の #スズコメ はこちら。





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