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21.10.04

自民党役員人事と閣僚人事

nullネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。

今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


自民党役員人事と閣僚人事

吉田:自民党の岸田文雄新総裁は、きょう召集される臨時国会で第100代総理大臣に指名され、その後ただちに組閣に着手し、皇居での認証式などを経て岸田内閣を発足させます。
そこで今日は、新役員と新閣僚・岸田内閣の人事について、神庭さんにわかりやすく解説して頂きます。まずは、1日に発表になった党役員人事について教えてください。


神庭さん:これまで何度か自民党内の「3A2Fの力学」について説明してきました。「3A2F」というのは、安倍さん、麻生さん、甘利さん、二階さんのことなんですけれど、岸田さんは党役員について「1期1年、連続3期まで」という事実上の二階さん追放案を掲げて、総裁選を勝ち抜いてきました。その言葉通り、役員から二階さん色を一掃。代わりに3Aへの配慮が色濃くにじむ人事となったな、と思います。
まず、副総裁は3Aの一角の麻生さん。幹事長も3Aの甘利さん。甘利さんは麻生派で、安倍さんとも親しいですし、総裁選では岸田さんの選対本部の顧問も務めたので、論功行賞の意味合いもあると思います。
政調会長は総裁選でライバルだった高市さん。高市さんは過去にも政調会長を務めていらっしゃいますが、党三役という枢要なポジションなので、これは重用と言えると思いますし、言うまでもなく、高市さんのバックには安倍さんがいますので、ここでも3Aの力が垣間見えるな、と思います。


ユージ:ということは、岸田さんカラーは薄い人事、ということでしょうか?


神庭さん:そうですね。全体的にはそうなんですけれど、部分的に岸田カラーを感じたところもありまして、中でも驚いたのは、当選3回の福田達夫衆院議員が総務会長に抜擢されたことなんですね。総務会は自民党の最高意思決定機関で、そこを取り仕切る総務会長はすごく重要なポジションです。これまではベテランが就くことが多かったんですけれど、福田さんは祖父が福田赳夫元総理、父が福田康夫元総理という政界のエリートで、今回の総裁選では、当選3期以下の若手議員グループ「党風一新の会」の代表世話人として存在感を発揮していました。岸田さんは老年・壮年・青年の「老・壮・青のバランスが大事」と言っていましたので、党役員人事では唯一、福田さんの抜擢が岸田カラーの感じられるところだったかな、と思いますね。


吉田:もう一人のライバル、河野さんの処遇についてはいかがでしょうか?


神庭さん:広報本部長ということで、「降格」「冷や飯食い」「雑巾掛け」と散々な言われようなんですが、多くの自民党議員と接する役職なので、総裁選の国会議員票で苦戦した河野さんにとっては、党内ネットワークを築くチャンスでもあると捉えられるのかな、と。経験を活かすも殺すも、河野さん次第なのかなと思いますね。


ユージ:党役員人事について、ほかに気になった点は何かありますか?


神庭さん:党役員人事のもうひとつの特徴は「敗者復活」ですね。
幹事長の甘利さんは、2016年に建設会社から現金を受け取っていた問題を報じられ、経済再生担当大臣を辞任していますし、組織運動本部長に任命された小渕優子さんも、政治とカネの問題でやはり2014年に経産大臣を辞任していますから、そういった方々が、閣僚ではないですが党役員として起用されたというところで、「敗者復活」的な色彩はあるかな、と思います。


吉田:きょう発表になる閣僚人事の方はいかがでしょうか?


神庭さん:政権の屋台骨、「番頭」とも言われる官房長官に松野博一元文部科学大臣が内定しているということで、最大派閥で安倍さんも所属している細田派の出身です。ネットでは「誰?」という声もあるんですけれど、ご自身のウェブサイトにエッセイをアップしているんですが、これがなかなか読ませる!「政治家はどこで酒を飲むのか」とか、「なぜ政治家の神経は図太いと言われるのか」といった興味深いテーマを取り上げていて、文章からは結構人間くさい人なのかな?という印象ですけれど、官房長官は政権のスポークスマンなので、菅官房長官時代のようにコミュニケーションをシャットアウトするようなやり方ではなく、報道陣の向こうにいる国民を見据えて、双方向のやりとりをしてもらえたらなぁ、という風に思います。


ユージ:その他に、何か注目ポイントはありますか?


神庭さん:もうひとつのニュースは、財務大臣から麻生さんが外れることですね。2012年の安倍政権発足以来、8年9か月ぶりの交代となります。「麻生さんに鈴をつけた」という声もあるんですけれど、後任と目されている鈴木俊一さんは麻生派で、しかも麻生さんの義理の弟さんなんです。なので、麻生さんの影響力は残りますし、大きな政策転換はないのかなぁ、と思いますね。あと、党役員の方では福田さんのサプライズ人事がありましたけれど、閣僚人事の方でも当選3回の小林鷹之衆院議員(二階派)の入閣が検討されている、という報道がありまして、ポストは新設される経済安全保障の担当大臣ということで、ここはひとつ岸田さんカラーなのかな、と思います。閣僚20人のうち初入閣が13人ということで、刷新感を出しつつ、上手いこと主要派閥でポストを分け合ったのかな、と思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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