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24.01.30

自民党による党改革の中間報告について

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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「自民党による党改革の中間報告について」

吉田：自民党は先週、臨時総務会を開き、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた党改革の中間報告を了承しました。神庭さん、この中間報告は、どんな内容なのでしょうか？


神庭さん：自民党として真摯に反省し、国民に深くお詫びすると表明。大きく3つの取り組みをまとめました。1つ目は不正の温床となった派閥（この文書では「政策集団」）の政治資金パーティーを全面的に禁止する。収支報告書の提出にあたり、外部監査を義務付ける。「今まで外部監査なかったんかーい！」という感じですが、一歩前進と言えるかなと思います。


吉田：2つ目は何でしょうか？


神庭さん：コンプライアンス強化です。議員が逮捕・起訴された場合の除名処分などの規定を厳格化。会計責任者が逮捕・起訴された時には、議員も処分できるようにする。政治資金規正法改正など必要な法整備を行う。これも、最低限やって当然の内容かなと思います。


吉田：3つ目は何ですか？


神庭さん：派閥の解消と党のガバナンス強化です。派閥の機能として、カネと人事（ポスト）の配分が重要な役割を占めていて、改革を進めるにはこれを引っぺ返さないとダメという話を、これまでの放送でも話してきました。今回の中間報告でも、まさにこの点に結構な分量が割かれていて【「お金」と「人事」から完全に決別する】と明記されています。まずカネの面では、夏・冬の所属議員への資金手当を廃止する。いわゆる「氷代」「餅代」と呼ばれるお金配りをやめるということです。人事の面では、派閥からの推薦など、人事に影響力を及ぼすような働きかけをしないといったことを盛り込みました。派閥での政治資金規制法違反があった場合、事案によって派閥の活動休止や解散を求めるということです。


ユージ：なるほど、これは改革を期待できるものなのかどうか、どう受け止めたらいいのでしょうか？


神庭さん：派閥の「閥」という字を日本国語大辞典で調べると、「出身や利害関係を同じくする者で結成する排他的な集まり」と書いてあります。派閥、門閥、東大閥、慶應閥とか「閥」ってあんまりいいイメージがありません。「私はユージ派です」「吉田派です」はそうなんだ〜で済みますが、「僕ってユージ閥なんですよね」「実は吉田閥でして」と言われたら、途端に不穏な空気になりますよね。きのこ派、たけのこ派は微笑ましいけれど、きのこ閥、たけのこ閥だったら「穏やかじゃないねぇ」となりますから。今回の中間案というのは派閥から「閥」の文字、お金と人事の要素を引いて、ただの「派」になります！フツーの政策集団になりますという宣言なのかなと受け止めました。方向性としては正しいですが、刷新感を出すためのイメージ戦略という面も多分にあると感じます。


吉田：気になるのは、じゃあ実際に改革するの？ということですがどうなのでしょうか？


神庭さん：まさに、そこで実効性。これに尽きるかなと思います。「やります」「頑張ります」と言うのは簡単ですが、どれだけ行動に移せるかです。前にも話しましたが、リクルート事件を受けて自民党が1989年にまとめた政治改革大綱には、派閥解消への決意、派閥のパーティー自粛などが書かれていました。35年前から「やります！」と言っていたことが、全然できていなかった。これでは意味がない。党のルールだけでなく規制法を変えて、連座制の導入やパーティー券収入の記載義務の厳格化を進める必要があるかなと思います。


ユージ：大変申し訳ないのですが、何十年もできなかったことがすぐにできるとどうしても思えません。そう思っている方もいるんじゃないかなと思いますが。


神庭さん：疑いますよね。岸田総理の出身、宏池会の解散も話題になりましたが、宏池会は過去に少なくとも4回解散していて、その度に再結成しています。今回も「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で何年か後にシレッと再結成するんじゃないかと僕も思っています。法改正に加えて、捜査機関に対するチェックも欠かせないかなと思っていて、「頭悪いね」発言の谷川弥一氏は、裏金4,300万円で略式起訴され、議員辞職ですべてを失いました。一方、萩生田前政調会長は5年で2,700万円の裏金をつくってもお咎めなしです。「何千万円以下はセーフ」「偉い人は立件しない」みたいな恣意的な捜査ができないように、いくらであれ違反があれば公民権停止にすべき。検察審査会がしっかり目を光らせていくことが重要かなと思います。


吉田：神庭さん的に、他に気になっている点はありますか？


神庭さん：自民党の執行部が、安倍派5人衆に離党勧告や議員辞職を求めたと報じられています。政治責任をとるのは当然ですが、脱派閥と言いつつ、極めて派閥的な動きにも見えます。この際だから、力を持った安倍派（清和会）の力をそいでやれ、ライバルを蹴散らしてやれというコップの争い、権力闘争に発展しないといいなと思います。5人衆をスケープゴートにして、「汚いヤツらは追い出しました。僕らはキレイな自民党です」とアピールするのも、なんだか変だなと思います。まだ派閥ですらない菅グループが「解散を検討する」と言い出したり、ドリル優子こと小渕優子さんが茂木派を退会したり、党内政局が急速に流動化してきています。何度も言いますが、派閥・グループが悪なのではなく裏金や犯罪が悪なので、「脱派閥＝クリーン」みたいな変な誤解をしないように気をつけて欲しいなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。






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