TOKYO 地元メシ&サケ FEST ~TOKYO LOCAL COLLECTION~TOKYO 地元メシ&サケ FEST ~TOKYO LOCAL COLLECTION~

インタビュー

伊藤養鶏場
伊藤養鶏場

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農場で自家ブレンドした特別飼料を使い
手間ひまかけた“東京産の特別な卵”


 東京西部、多摩地区最大級のターミナル駅、立川駅を中心に、昭和記念公園、自衛隊の駐屯地などの広大な敷地がある立川市。その最西端、五日市街道を下った畑も多いのどかな場所に「伊藤養鶏場」はあります。もともとは地元の農家でしたが、戦後から養鶏業を始めて、現在、3代目となる伊藤彰さんに引き継がれました。29歳で婿養子として伊藤家に入った彰さんは、不動産の仕事から転職して一から養鶏を学び、先代とともに試行錯誤しながら鶏を育ててきました。しかし卵が安くなってあまる時代となり、ビジネスとしての養鶏業の状況は厳しくなっていきます。
「法改正により鶏舎を縮小しなくてはならないという事情もあり、どうやって差別化を図れるか考えた結果、東京ブランドの鶏を作ろうと、新しく改良された「東京うこっけい」の生産に切り替えたんです」

 「烏骨鶏(うこっけい)」は中国原産の鶏で、中国では古来から「神秘の鳥」と言われ、漢方や薬膳料理に使われて上流階級の人間に愛されてきました。ふわふわの白い羽毛と皮と肉、骨が黒いのが特徴で、肉も美味しいのですが、日本では卵がとても人気があります。しかし原種の烏骨鶏は年間50個ぐらいしか卵を産まず、卵1個の相場が500円ぐらいと高価で貴重なものでした。その産卵数を高めるために東京都が優秀な原種を元に改良したのが「東京うこっけい」で、平均3日に1回ほど卵を産むことができます。

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「今は「東京うこっけい」のほか、ブランド鶏の「東京しゃも」と純国産鶏の「もみじ」の3種を合わせて成鶏だけで4000羽近くの鶏を飼育していますが、全ての鶏をヒナから成鶏になるまで丁寧に育てています。中でも個体が小さく温度差やストレスに弱い「東京うこっけい」のひなの飼育には格段に気を使っていますね。ときには泊りがけで面倒を見たり、餌やりも全部、手作業で行っています」

 「東京うこっけい」の卵を見ると、黄身の表面がプルンと盛り上がって鮮やかなオレンジ色に輝いていて、とても美味しそうです。

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「餌は自社専用に飼料メーカーにオーダーしたベースの飼料を、成長過程を見ながら与えていますが「極烏プレミアム」という特別卵は、それに加えて16種類を農場で自家ブレンドした特別飼料をプラスしています。黄身の色は15まであるカラーチャートの中でも15を越える色を出していて濃いですが、パプリカやマリーゴールドなど天然色素の由来なので安全だし栄養価も高いです。味もねっとり甘くコクがあって、卵かけご飯にするとその美味しさが一瞬でわかりますよ」

 ちなみに純国産鶏「もみじ」の卵、「たまごころ」も白身のハリが強くて、シフォンケーキなどを作ると綺麗にふくらんで美味しく仕上がるそうです。
 卵と肉はHPでも購入できますが、その味の評判を聞いて有名ホテルや、1760年に創業の鳥料理専門店の老舗「玉ひで」でも「東京うこっけい」が名物の親子丼に使われています。また、卵を丸々1個使ったスイーツ「とろけるとりっぷりん」も1日、400個を売り上げたという人気商品だそう。

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 “自分のところの鶏がプロの料理人の方に認められたことがとても嬉しい”と顔をほころばせる伊藤さん。
「小さな農場ですが、きちんと人の手で手間ひまをかけて、混じり物のない正真正銘の東京産の鶏を作っているということに自信を持っています。地元のイベントでも小学生に「東京うこっけい」を使った料理を食べてもらったりしていますが、これからももっといろんな人に、「東京うこっけい」や地元の鶏肉の美味しさを知ってもらいたいですね」
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伊藤養鶏場
〒190-0034 東京都立川市西砂町1-67-7 TEL : 042-531-6587  
FAX : 042-531-9009
伊藤養鶏場 WEBサイト
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