愛知

昭和8年創業。女将の誠実なおもてなしが嬉しい老舗お好み焼き店

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FM AICHI
水城あやのさん

日本列島のほぼ真ん中に位置し、約752万人の人が住む、東京都、神奈川県、大阪府についで全国で4番目に人口の多い愛知県。中でも県庁所在地である名古屋市には、県全体の約3分の1の226万人が住んでいます。名古屋といえば、金のシャチホコで有名な「名古屋城」を始め、味噌カツ、手羽先、ひつまぶし、きしめんなどのご当地メニューが目白推しのグルメ地域としても有名です。

今回、おすすめスポットを紹介してくださるのは名古屋市にある、FM AICHIのパーソナリティ、水城あやのさんです。
現在は、エリアのトレンド情報をヒット・チューンと共にお届けする生ワイド番組「MORNING BREEZE」(月〜木 8:20〜10:50 金 8:20〜11:00)の 月〜水曜日を担当中です。生粋の名古屋っ子である水城さんは、モデルやレポーターなどでも活躍する地元の有名人。魅力的なお店を数々知っている方のチョイスとあって楽しみですね。

『武馬屋(ぶまや)』

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『武馬屋』さんは半世紀以上営業している、名古屋では老舗中の老舗の“お好み焼き屋“さんです。
昭和レトロ感のある、カウンター10席ほどのこじんまりとした家庭的なお店で、 目の前の鉄板で、女将さんがお好み焼きや焼きそばなどの鉄板料理を焼いてくれます。
名古屋名物、味噌おでんも人気で、常連さんが集うアットホームな雰囲気の中に、名古屋の人のあたたかさを感じられる場所ですね。 女将さんとのコミュニケーションもいつも楽しみにしています」 (水城さん)

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「武馬屋」さんが東区の車道(くるまみち)でお店を始めたのは昭和8年。お店をひとりで切り盛りする名物女将の名前は、武馬りき江さんです。九州から名古屋に嫁いできたりき江さんは、お姑さんが始めたお店を手伝いながら、お姑さんが85歳で引退すると同時に店を受け継ぎました。
「お祖母さん(お姑さん)は20歳の頃、お店を始めたそうですが、その頃の車道付近は馬車が走っていたそうです。また食べ物の不足していた時代で、お店もトタン屋根のような建物だったらしいと聞いています。その後にできた車道商店街にはかなりの数のお好み焼き屋さんがあったんですが、今はもうち1軒だけになってしまいました」(りき江さん、以下同)

区画整理で21年前に、車道駅からは少し離れた現在の場所に移りましたが、昔から3代続けて通ってきてくれるお客さんも多い、地元で長く愛されているお店です。メニューはお好み焼きのほか、各種定食。一品料理の焼き物など。軽く飲みたい人はセルフサービスで缶チューハイやビールを取りに行くシステムです。
「お好み焼は、生地に軽く炒めた野菜や肉をのせて、また生地をかけて焼く広島焼き風です。ソースは昔からウスターソース。食べ物のレシビは全部、お祖母さんが作ったものを受け継いでいますが、引き継いだ当初は“お祖母ちゃんの味と違うね”と言われて、悩んでげっそり痩せた時期もありました。それからも試行錯誤して、20年たった今はやっと“お祖母ちゃんの頃の味とおんなじ味だね”と言われるようになりましたね」

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常連客が必ず頼む名物メニューの「肉ごはん」は、豚のもも肉とネギを塩コショウで炒めて、醤油味をつけた丼で、アツアツのうちに紅しょうがと一緒に一気にかきこむと香ばしいお肉の旨味が口の中に広がります。また、お酒のつまみにぴったりの「とんぺい焼き」は、りき江さんが他店で食べた料理をヒントにした一品です。「肉ごはんの作り方は簡単ですが、鉄板で焼くことで家ではできない味になるんです。とん平焼きはいわゆるピカタで、片面が半熟卵で片面が小麦粉の生地で、ケチャップとマヨネーズがかかっています。お箸で切ると半熟卵の黄身がトローリと肉にからんで美味しいですよ」

味噌おでんも通年を通しての人気メニューです。
「ひとりで焼き物を作っているためにすぐに出せないことも多いので、その間に1〜2本つまめるようにと用意しているんです。 秘伝の赤味噌で作っていて、赤味噌に慣れている地元の方にも好評ですね。 大根やこんにゃく、牛すじがよく出ますが、今の時期は里芋がおすすめ。1回、ふかして剥いてから鍋に入れていますがトロットロで、お味噌とよく合いますよ」

定食にはきんぴらごぼうなどの小鉢と漬物と味噌汁がつきます。「お好み焼き定食」は関東から北の方面の人たちには馴染みがないですが、小鉢と浅漬けの美味しさで、お好み焼きが焼ける前にご飯を食べきってしまう人も多いそう。
「とにかくちょこっとでも残さないで食べてほしいので。なるべく美味しいものを作ろうと思ってます。 浅漬けは毎朝作っていますし、味噌汁もえのき茸をミキサーにかけて凍らせた、えのき氷を出汁の中に入れていたり。テレビを見ていていいなぁと思った食材や調理法はすぐに試してみますね」

毎日、鉄板の前を舞台に忙しく立ち働くりき江さん。ドライブに行くひまはないけれど、お客さんとの会話で、いろんな場所の話をするのが楽しみだそうです。
「72歳と年も年なので毎日の運動のつもりで、お客さんに喜んでもらいながら楽しくお店が続けられればいいと思っています。近くにきたらぜひ、顔を出してみてください」

『武馬屋』
住所
愛知県名古屋市東区葵2-9-8
電話番号
052-935-6308
営業時間
11:00~14:30 17:00~21:00
定休日
月曜日
アクセス
車道駅、4出口から徒歩約3分
千種駅、1出口から徒歩約4分
新栄町駅、2出口から徒歩約8分

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