yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

第百八十三話 ひとを幸せにする仕事をする -【埼玉篇】「ムーミン」作者 トーベ・ヤンソン-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った命の闘いを知る事で、週末のひとときをプレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM大阪…SAT 18:30-19:00
FM長野…SAT 18:30-19:00 / FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第百八十三話ひとを幸せにする仕事をする

3月16日、埼玉県の飯能市に、ムーミンのテーマパークがグランドオープンします。
昨年できた、北欧のライフスタイルが体験できる「メッツァビレッジ」に加え、今回の「ムーミンバレーパーク」の誕生で、より深くムーミンの世界に入り込める場所ができました。
もともと飯能市には、ムーミンの作者の名前がついた「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」がありました。
森の中をさらさらと流れる小川、木々の香り、爽やかな風。
この地は、フィンランドに似ていると、トーベ・ヤンソンサイドに以前から認められていたのです。
日本で『ムーミン』のアニメ化が決まり、1971年、トーベ・ヤンソンは初めて来日しました。
海が見たいと伊勢志摩をめぐったり、京都、奈良を旅しました。
彼女の傍らには、生涯を共にしたパートナー、グラフィックデザイナーのトゥーリッキ・ピエティラの姿がありました。
ムーミンの原型は、北欧の妖精、トロールだと言われています。
主人公、ムーミントロールは、両親と暮らしていますが、その家にはさまざまなひとたちが出入りします。
どんなひとがやってきても、ムーミン一家は彼らを受け入れ、温かいスープとふわふわのベッドを用意します。
この世界に、同じ時代に一緒に生きている、ただそれだけで受け入れるのです。
トーベ・ヤンソンは、14歳にして雑誌に挿絵と文章が掲載された、早熟な天才でした。
幼い頃から、ひたすら絵を描き、ひたすら文章を書きました。
それはまるで、「かくこと」が自分の生きるための仕事であるかのようです。
「仕事」…それは彼女の生涯を通してのテーマでした。
彼女はいつも、忙しく「仕事」をしました。
彼女の言葉に、こんな一節があります。
「思うのも、確かにエネルギーだけれど、思いはどんどん薄まってしまうもの。だから、思い立ったら行動すべき。思ったときが動くとき。その一瞬を逃さないで」
世界的に有名な童話『ムーミンシリーズ』の作者、トーベ・ヤンソンが人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

童話『ムーミン』の作者、トーベ・ヤンソンは、1914年8月9日、フィンランドの首都・ヘルシンキで生まれた。
父は彫刻家。母は画家。
母が絵を画く姿を見て育つ。
歩くより、絵を画くほうが早かったと言われている。
ナイーブでペシミストな父と、自由奔放で明るい母に愛され、トーベは芸術の洗礼を受けた。
温かく平和な家庭とは裏腹に、世界は戦争の渦に飲み込まれていく。
父だけがヘルシンキに残り、母とトーベはストックホルムに疎開。
家族はバラバラになってしまった。
父は、手紙と写真を頻繁に送ってきたが、やがて戦地に赴くことになる。
さみしがる娘に、母は絵を教えた。
物語を創造する楽しさを伝えた。
夜になると、小さな灯りだけを残し、昔話を聞かせた。
森には人間が知らない生き物がたくさんいる。
この世には、目に見えない力がどこかにある。
トーベは、物語の中に溶け込み、いつまでもそこで遊んだ。
内戦は、厳しいものだった。
恐怖と不安。目の前で繰り返される生と死。
戦地から戻った父は、別人のように変わり果てていた。
ひどくふさぎこみ、笑わない。
幼いトーベは思った。
「パパはきっと、魔法使いに魔法をかけられたんだ」

『ムーミン』の作者、トーベ・ヤンソンの絵の才能はずば抜けていた。
母は、なんとかその才能に光をあてたいと思った。
学校は嫌いだった。
ずっと絵を画いていたいと思う。
休み時間になると、彼女のまわりにクラスメートが集まる。
みんな「私の絵を画いて!」とせがんだ。
トーベは、ひとりひとり丁寧に描いてあげた。
学校の行き帰りの道は、お話を考える素敵な時間だった。
森の中の道なき道を行けば、そこに妖精がひそんでいるような気がする。
鳥に話しかければ、答えてくれそうな気がした。
家に帰れば、母は学校での勉強のことなどいっさい聞かずに、通学の間に思いついた話を熱心に聞いてくれた。
「トーベ、あなたは素晴らしいわ。そのお話、もっと先が聞きたいから、明日また聞かせてね」
彼女は思いついたことは、全部メモするようにした。
絵を描き、文を書いた。
そうしておけば、忘れない。
そうしておけば、続きが書ける。
14歳で初めて雑誌に掲載されたとき、いちばん嬉しかったのは、お金をもらったことだった。
「これで、ママを助けることができる」
彫刻家の父の収入は限られていた。
母がどれほどやりくりに困っていたかを感じていた。
「少しでも助けたい。ママを助けたい。私は書くことを仕事にしたい」
やがて彼女は15歳で学校を自主退学してしまう。
あえて退路を断ち、絵と文章だけで生きていくことを決めた。

15歳にして自主退学した、トーベ・ヤンソンは思った。
「これで私は自由の身。学校の門が背中で閉じる音を聴いた。私は歩き出す。後ろは振り返らない。思ったときが動くとき。私は、私の人生をただひたすら生きる」

トーベの母は、美術専門学校に入ることをすすめた。
授業料が高いことを気にする娘に、「そんなことはいいから、ちゃんと基礎を学んでおくことが大切なの」と入学を決めてしまった。
デッサンや決められたテーマで画くことは、苦痛でしかなかった。
やがて、自由な発想自体しぼんでしまう恐怖を覚える。
家に帰ると、ふらふらだった。
それでも、専門学校での4年間は貴重な体験になった。
何よりそこには芸術家の卵たちが集まっていた。
デザイナー、画家、彫刻家に、詩人。
これまで人と交わることの少なかった彼女にとって、同じ妖精を見ることのできる仲間は、宝物だった。
母は、あちこちから授業料を借りていた。
なんとか娘を一流の芸術家にしたいと奔走した。
仕事がしたい。
トーベは思った。
ただ作品を自分勝手に創るのではなく、ちゃんと本になり出版され、たくさんのひとに読んでほしい。
だからトーベは、出版社に通い、自分の作品をとことん売り込んだ。
仕事とは、誰かのために動くこと。
そうすれば自然とお金が入ってくるはずだ。

母を楽にさせてあげたい、その一心で、彼女はお話を考え、絵を描いた。
母を幸せにしたいと思ったトーベ・ヤンソンの仕事は、世界中のひとたちを幸せにしている。

【ON AIR LIST】
ねぇ!ムーミン / 藤田淑子
秋の歌 / トーベ・ヤンソン(詞)、ヨハンナ・グルスネル(歌)
春の予感 / アート・ガーファンクル
FROM MY HEART TO YOURS / Laura Izibor

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけと根菜のポトフ

今回は、ムーミンのテーマパークがオープンする、埼玉県飯能市の特産野菜、じゃがいもを使った料理をご紹介します。

霜降りひらたけと根菜のポトフ
カロリー
179kcal (1人分)
調理時間
20分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • じゃがいも
  • 小1個
  • かぶ
  • 1個
  • かぶの葉
  • 2本
  • 人参
  • 1/3本
  • ウィンナー
  • 4本
  • 1カップ
  • コンソメ
  • 小さじ2
  • 適量
  • こしょう
  • 適量
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは食べやすくほぐす。
  • 2.
  • じゃがいも、かぶは半分に切る。かぶの葉は3cm幅にし、人参は食べやすく切る。
  • 3.
  • 鍋に水、コンソメを加え、かぶの葉以外の具材をすべて入れて蓋をし、10分程煮込む。
  • 4.
  • 具材に火が通れば、かぶの葉を入れて更に3、4分煮込み、塩、こしょうで味を調える。
  • recipe LIST

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ARCHIVE

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RECIPE LIST

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番組へのメッセージ

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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