語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2022年07月10日(日)

真剣勝負

ボクの宿主は82歳の男性。
デイサービスに通っている滝沢さんです。

生田さん「パ・タ・カ・ラ・パタカラパタカラパタカラパタカラ・・・・・・」

これ、知ってる? パタカラ体操。
お口の中を鍛える体操だよ。

介護士さんのリードで、みんな、楽しそうにやってるけど…。

滝沢さんは、つまらなさそう。

滝沢さん「こんな、幼稚園児みたいなこと、恥ずかしくてさー」

なるほど。そういうことか。
その気持ちも分からないではないけど…。

生田さん「滝沢さん、将棋やりませんか?」

声をかけてきたのは、介護士の生田さん。

生田さん「まぁ、将棋って言っても、わたしは将棋くずししか出来ないんですけど…」

え! 将棋くずし?
駒を山積みにして、音を立てないように駒を指先で取り合う、あのゲームだよね?
それも、滝沢さんにとっては、子どものお遊びなんじゃないかな?

ところが…。

はじまったら、2人とも真剣。
見てるこっちが、息が詰まっちゃうよ。

滝沢さん「あーーーーーー」
生田さん「あーーーーーー」

滝沢さん「残念! もう少しだったのに」

あは! すっごく悔しそう!
どんなゲームだって、勝負をはじめたら勝ちたくなるのは、いくつになってもおんなじだよね。

ボクら乳酸菌も、おなかの中で真剣勝負をしているよ。
悪い菌に負けないように、闘ってるんだ!

じゃあ、また、日曜のお昼に!