川瀬良子の兵庫県あぐり紀行 in 但馬

毎週月~金 JFN38局ネットでお送りする「あぐりずむ」。川瀬良子が兵庫県・但馬を訪れ、全2回にわたりレポートをお届けします。

パーソナリティ 川瀬良子
2017年9月26日放送

但馬牛・神戸ビーフは世界の宝!

兵庫県・但馬(たじま)地区。
但馬地区とは、豊岡市、養父市などを含む日本海側の地域。
山に囲まれたこのエリア。今回は、大阪・伊丹空港からプロペラ機に乗って訪ねました。

川瀬良子とプロペラ機

  • 初日は、兵庫県が誇るブランド牛、
    「但馬牛(たじまうし)」に密着しました。

    最初に訪れたのは、仔牛の“せり”が行われる場所、
    「JAたじま 但馬家畜市場」。
    防疫上の理由などから関係者以外の人は
    見ることのできないとっても貴重な“せり”の現場です。

  • 但馬家畜市場
  • 牛を繁殖させる農家さんが育てた仔牛は、9~10か月齢くらいになると“せり市”に出され、
    “繁殖農家”から“肥育(ひいく)農家”と呼ばれる農家さんの手に渡って、
    立派な肉牛になるよう育てられていきます。
    つまり“せり市”は、繁殖農家さんがそれまで手塩にかけて育ててきた牛を、
    肥育農家さんへとバトンタッチする場なんですね。

  • せり市にかけられる牛
  • まず番号のついた牛が一頭ずつ入場。
    その牛に目をつけた買い手が、
    手に握ったボタンを押すことで、
    せりがスタートします。

    電光掲示板に表示される金額がどんどん上がっていき、
    最終的に入札者が一人になったら終了。
    落札された牛はそのまま落札者の手に渡り、
    トラックへと運ばれていきます。

    牛一頭育てるということは、大変な労力が必要です。
    売り手は、自分が手塩にかけた牛が
    できるだけ高く売れてほしい、
    買い手は、自分が求めている牛をいくらで買うか、
    売り手にとっても買い手にとっても大事な「せり市」。

    大きなお金が動くこのせり市。
    ピリピリとした緊張感が場内じゅうに満ちていました。

  • 次に向かったのは、“せり市”で牛を落札した肥育施設。
    空気の澄んだ山間にある施設に、せり落としたばかりの
    牛をはじめ、たくさんの牛がいました。
    ここで牛たちはどんな風にして
    過ごしていくのでしょうか?

  • たくさんの牛と肥育施設
  • 神田さんにお話を伺う
  • 240kgから270kgくらいの牛を、
    ここで2年かけて700kgほどまでに
    育てていくんだそうです。

    「全農兵庫 但東畜産センター」、
    神田さんに伺いました。

    「牛は縦社会で生きる動物。
    1グループ4頭で最後まで育てていきますが、
    その中でも強い牛、弱い牛、、、
    パワーバランスがあるんです。
    牛はストレスにとても敏感な生き物なので、
    少ないストレスで生きる強い牛は
    良質の肉になります。」

  • ストレスを少しでも軽減するために、
    牛舎に敷き詰める“オガ”や
    水を換える作業などの衛生管理を徹底し、
    清潔さを保つのも神田さんたちの大事な仕事。
    きれいな場所を好むのは牛も人間も同じなんですね。

    ところで、兵庫県といえば「神戸牛」が有名ですが、
    「但馬牛」と「神戸牛」、どう違うんでしょうか?

    「兵庫県内で生まれたものは全て“但馬牛”と呼びます。
    で、その中でも特に等級の上のものだけが
    “神戸ビーフ”の称号をもらえるんです。」

  • 神田さんにお話を伺う
  • 但馬牛の中でも、神戸ビーフと呼べるのはほんの一握り。
    なるほど、神戸ビーフが高価な理由が分かりますね。
    そんな但馬牛ですが、現在、繁殖農家さんの高齢化もあり、数が減少しているんだそうです。

    「牛の発情期を逃すと、次の発情期まで3週間待たないとダメ。

    やっと待ったのに、死産などの結果になると事態はさらに深刻です。
    ですので、県行政や全農が一丸となって、繁殖農家を増やすために、
    日々取り組んでいます。」

  • 川瀬良子と神田さん達
  • 普段、私たちが当たり前のように頂いている牛肉ですが、
    食卓にのぼるまでには本当にたくさんの人が関わっていて、
    全てがその努力によって生み出されている「食」である、
    ということを改めて実感しました。

    いきものの「いのち」を頂くことで、
    私たちは生かされています。
    感謝の気持ちを忘れずに、毎日の食事を大事に頂きたい、
    そう思い直した今回の取材でした。

    最後にこんなことを伺いました。
    神田さんのやりがいはどんなところですか?

    「いい但馬牛、神戸ビーフに仕上げてあげること。
    但馬牛、神戸ビーフは世界の宝です!」

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