ソロ活動への転身、坂本龍一との出会い
伝説のバンド「シュガーベイブ」の解散からソロ活動、そして坂本龍一さんとの創作活動に至るまで、その音楽制作の源泉と哲学に迫ります。
◆シュガーベイブ解散とソロ活動への道
山下達郎さん、村松邦男さんと共に結成し、わずか3年でその活動に幕を閉じたシュガーベイブ 。解散の理由について、大貫さんは「仲が悪いとかそういうことは全くなかった」と語ります 。一方で、山下さんとは音楽の趣味が必ずしも同じではなかったとも明かしました 。互いの理想が高まるにつれ、「このバンドじゃできない」という思いが双方にあったのかもしれないと、当時を振り返ります 。
解散後は自然な流れでソロ活動へと移行 。バンドでは表現しきれなかった、シンセサイザーなどを取り入れた音楽への挑戦が始まりました 。
◆坂本龍一さんとの出会いと創作
ソロ活動において、大きな存在だったのが坂本龍一さん 。70年代に出会い、音楽の趣味が合うことから意気投合 。「じゃあなんかやろうか一緒に」という言葉が、共同での創作活動のきっかけだったそう 。
大貫さんは坂本さんの天才的な一面を物語るエピソードも披露。大学の卒業がかかったオーケストラの課題を提出期限ギリギリまで書いていなかったという坂本さん。大貫さんが「大丈夫なの?」と尋ねると、なんと移動中のタクシーの中で書き上げてしまったのだとか。
坂本さんにアレンジを依頼する際は、大貫さんがピアノで書いたメロディとコードの譜面を渡すだけ 。坂本さんは歌詞には全く興味がなかったそう 。
◆音楽のインスピレーションは自然の中に
大貫さんのインスピレーションの源は多岐にわた流ようですが、良い洋楽アルバムとの出会いはもちろんのこと、特に大きな影響を受けたのが、ネイチャーマガジンの仕事で訪れたアフリカやアマゾン、ガラパゴスといった大自然での経験なのだとか 。
音楽の存在しない環境に身を置くことで、「音楽が聞こえる」という感覚を体験 。風の音や動物の鳴き声といった自然の音が、創作意欲を掻き立てるそうで、大自然の中で「自分たちのやってる音楽ってのは何なんだろう」と、音楽の根源的な意味を問い直す貴重な時間にもなったと明かしました 。
◆楽曲制作への揺るぎないこだわり
自身の作品だけでなく、他のアーティストへの楽曲提供も数多く手掛けている大貫さん、ですが、プロデュースは「得意じゃない」と感じているそうで、声を聞いただけではイメージが湧かず、大変な作業だったのだとか 。
また、自身の楽曲制作においては、強いこだわりを持って、「こうしたかったな」と後から思うような作品は決して世に出さないという徹底ぶり 。
そして、曲の良し悪しを大きく左右するのは「アレンジ」だと断言 。同じメロディであっても、どのコードを選ぶかによって響きは全く異なり、そのコードセンスが楽曲全体を支配するんだそう。
そんな大貫さんの最新アルバム「ピーターと仲間たち」、ぜひチェックしてみてください!