プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。

今週は、日本を離れ、海外の森のお話です。
スタジオにお招きするのは、写真家の大竹英洋さん。この方がフィールドにしているのは、カナダとアメリカの国境付近にあるノースウッズという森です。特に、森の生態系の頂点・オオカミを追いかける写真家として知られています。


ノースウッズは、国で言うとカナダ。アメリカでもカナダに近いミネソタ州、ウィスコンシン州北部も入ります。山が全くなくて、どこまでも地平線が森でできているような世界です。その中に10,000年前の最後の氷河期によって残った湖がたくさん数え切れないほどある、そういうところです。

僕がフィールドとして選んでいる場所だけでも、日本が4つまるまる入るような場所です。気候は非常に寒い。冬はマイナス30度が当たり前です。北海道より緯度が高く、マイナス40〜50度も経験したことがあります。森自体は針葉樹の森で、日本だと北海道の道東、八ヶ岳など標高の高いところ、ちょっと気候が厳しいようなところに入る森です。マツなどの針葉樹が多いですね。
ノースウッズには昔から人が住んでいて、氷河期が終わった8000年位前の遺跡が出ています。先住民が今もなお狩猟採集の暮らしをしていて、自然の恵みを感謝しながら暮らしています。
動物はアメリカクロクマがいます。グリズリーはいませんが、日本のツキノワグマのようなクマがいたり、最大の鹿であるヘラジカが森の中で暮らしていたり、野生のオオカミがいます。
オオカミは日本では100年前に最後の目撃情報があって、現在では絶滅したということになっています。それがノースウッズには暮らしている。ですので、オオカミのいる森というのがどんなところなのか見たいと思って、それで行っているんです。


〜「そして、ぼくは旅に出た。: はじまりの森 ノースウッズ」について教えてください。
大学時代に都会を離れて深い森の中、山の中を歩くようになって目が開かれるような感じがしました。そして、こんな素晴らしい世界をどうやって伝えようかと思った時にカメラという道具に気がついて写真家になろうと思ったんです。
それで大学卒業後に写真家として身を立てるためにどこをフィールドにしようと悩んでいたのですが、ふと夜中に寝ていたら夢の中で、オオカミが現れたんです。テーマに悩んでいた時になぜこんな夢を見るんだろうと思って図書館に行ったら、オオカミの写真集と出会いました。その写真集は、ジム・ブランデンバーグと言うナショナルジオグラフィックなどでも活躍している写真家のものでだったのですが、この写真に釘付けになりました。ぜひこの人に会いたいと思って、彼に弟子入りしたいと思って旅に出たのがミネソタ州の北部のノースウッズの森だった。それが旅の始まりでした。
ジム・ブランデンバーグに弟子入りしたいと思って手紙を出しました。ナショナルジオグラフィック社に送って転送してもらおうと思ったのですが、実際には手紙が届いていなかった。それを知らずに、待っていて返事が来なくて、こうなったら彼の家をノックして直接返事を聞こうと思って行ったんです。本人に会える確証は全くないし、相手は世界的の写真家でどこにいるかわからないけれども、とにかく手紙を出しただけではあきらめきれずに、結局旅に出てしまいました。
州北部にいることはわかっていたのですが、実際に行ってみると、より詳しい情報が手に入って、彼の家が森の奥にあることがわかって、そこまでは道路が続いていることもわかりました。車を借りればそこに行くことはできるのですが、手っ取り早い方法とることに心が反応しなかったんです。彼に会いたくて出かけたのですが、会うだけではなく自然も見てみたい、そう思って、カヤックを買って8日間位キャンプをしながら旅をしました。自然を見てビーバーに出会ったり、水鳥に出会ったり、白頭鷲の巣を見つけたりしながら旅をしていたら、現地の人たちに「日本からカヤックに乗ってやってきた奴がいる」ということで紹介してもらえて、実際に出会えたんです。


大竹英洋さんのインタビュー、いかがだったでしょうか。来週もお話の続きをお届けします。お楽しみに!


「そして、ぼくは旅に出た。 はじまりの森 ノースウッズ」あすなろ書房

イベント情報: http://hopnews.exblog.jp
Facebook: https://www.facebook.com/HidehiroOtakePhotography/
Instagram: https://www.instagram.com/hidehirootake/

番組の冒頭で話していた知床取材の写真です。

この模様は後日お届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・You Learn / Alanis Morissette
・Helpless / Neil Young
先週に引き続き、東京をはじめとした都市部、市街地を森の代わりに住処にしている鳥たち、「都市鳥」のお話です。
先週は、東京・上野公園の周りの ビルの屋上に、ウミネコが繁殖しているという話や、カワセミが川の護岸のコンクリートにある、水抜き用のパイプに巣を作っているとか、都市で生きる鳥たちのびっくりな生態、いろいろ教えて頂きましたが、今日は、都市鳥を長年追いかけている川内さんも、首をかしげることがいま、東京で起きているというお話です。
日本野鳥の会東京 研究部長で都市鳥研究会 代表の川内博さんのお話です。

一番驚くのは猛禽類。猛禽類というのはタカやフクロウの仲間なのですが、そのなかでもタカの仲間。オオタカが去年の冬に23区で調べたところ、なんと19羽いたんです。ご存知のように猛禽類は食物連鎖のてっぺんにいるわけです。それが19羽もいると、ちょっと心配ですね。というのは、一羽の鷹を養うのに広大な自然が必要なわけです。そうすると、それを養うだけの生物がいるのだろうかということが心配です。20年前には0〜1羽しかいませんでした。タカなんていうのは冬に一回か二回見ることがあるかないかです。見つけ方にコツが有るのですが、カラスが騒いでいたらよく見るんです。そうすると、あっちの森でも、こっちの森でもカラスが騒いでいて、そういうところにオオタカがいる。それはやはり多すぎるのではないかと思います。明治神宮で月に1回探鳥会というバードウォッチングをやっているんですが、その記録をまとめると、オオタカが入ってきたのと、キジバトやムクドリが減っているのがどうも関連ありそうだということが見えてきたんです。データが無いので、はっきりしたことは言えないのですが、少なくとも我々が日頃見ている限りでは餌となる生き物が増えているという事はありません。
もうひとつ心配なのは、山の方を歩いてみると、鳥が少ない。バードウォッチングをしたければ山ではなく町へ行けと、そういう時代になっているんです。それはもしかするとタカにも現れているんじゃないかと思います。ですから、それだけ餌があるから街へやってきたんだろうけれども、そこに本当にそれだけのものがあるのかどうか。彼らは生き餌じゃないといけません。一番好きなのはおそらくハトです。二番目がムクドリです。そういうものがいるのかどうか。過剰に増えすぎて、そこの生態系が壊れてしまうのではないかという心配をしています。


オオタカの雄(冬には東京23区内の10羽以上が生息。都内でも繁殖を始めた)

〜こういう現象は日本だけではなくて、たとえば、ニューヨークのマンハッタンの高層ビルにハヤブサがいると聞きました。

有名ですね。あとはアカアシチョウゲンボウだとか、そういうハヤブサの仲間。ハヤブサの仲間は本来どういうところに営巣しているかというと、崖地のくぼみなんです。それが人工の崖である高層ビルっが適していた。ただし彼らは自然に入ってきたんじゃないんです。アメリカでも農薬の問題だとかで、ハヤブサが絶滅寸前になったんです。それでなんとか復活させようということで、たとえば怪我をしたハヤブサなんかを治療して、リハビリのためにドバトがたくさんいる街中ならいいだろうということで放したら、ものの見事に適応したというような状況なんです。これはニューヨークだけじゃなくて、シカゴでも見られていますね。
こういった現象は日本でも起きています。有名なのは大阪の関空近くのビルなんですが、そこで繁殖しています。それから福井だとか和歌山だとか、山口だとか、北九州だとか、そういうところで、やはりビルに営巣するハヤブサが見られます。その発生はいわゆるニューヨークなんかとは違って、自然にいつのまにか入ってきました。
この現象は、じつは東京では見られないんです。東京でも繁殖はしていますが、奥多摩の方の、いわゆる石切り場に大きながけができますが、そこで繁殖しています。これは昔から、そういうところで繁殖するのは全国どこでも見られていますが、関西地方でそういう現象が見られているのに、東京ではなぜ見られないのかというのはわからないんです。これはなかなか面白い。東京でも繁殖するんじゃないかっていうのは、昔から話があるんですけれども、まだその事例はないんです。


都市鳥のお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【番組内でのオンエア曲】
・SIT STILL LOOK PRETTY / Daya
・Dreamers / THE CHARM PARK

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