GTFグリーンチャレンジデー 2016 in 新宿御苑

プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。

さて今日は、ちょっとお話を聞くと、羨ましくなっちゃう、そんな方をスタジオにお招きします。
四角大輔さん。元々は大手レコード会社のプロデューサーをされていた方です。しかもミリオンヒット7回、オリコン1位を20回獲得している超売れっ子プロデューサーでした。その地位を捨て、いまはニュージーランドで半自給自足の「森の生活」を送っているという方。しかも年の半分は「旅人」としてバックパッカーのように世界をさまよっている方です。
「モバイルボヘミアン」で執筆家という不思議な肩書を持つ、四角さんにお話をうかがいました。

〜「モバイルボヘミアン」とはなんですか?
簡単に言うと、ただ移動しながら仕事をしているだけではなくて、仕事と遊びに境目がなくなった状態。それをモバイルボヘミアンと呼ぼうと、僕ともう一人、先輩と二人で造った言葉です。欧米ではこういう言葉が2、3年前から出始めていたんです。
僕は年の半分を森の中で暮らしていて、残りの半分は移動生活を送ってるんです。基本的にはニュージーランドの森が一つ拠点で、もう一つは東京です。それぞれの拠点を軸に移動生活を送っています。ただの旅人ではなくて、仕事をしながら移動そのもの、旅そのものが仕事になったりとか、ライフスタイルそのものが仕事になったりとかしています。例えば僕は釣りとか登山、アウトドアが大好きで、幼少期からずっとやってきたんですが、それが今仕事になっています。山を歩いたりとか、川をカヤックで下ったり、これは全部仕事になっていることですね。ライフワークバランスっていうキーワードがありましたけども、僕の場合は仕事と生活と遊び全てに垣根がない状態なのでバランスみたいな感覚がないですよね。


〜大手レコード会社のプロデューサーとして成功しているのに、そのお仕事を辞めてそういった生活に飛び込んだのは何かきっかけがあったのですか?
僕は最初の9年ソニーミュージックで働きまして、その後ワーナーミュージックで6年間、、そのうち後半の10年間はアーティストのプロデューサーをやっていたんですね。そして関わったアーティストたちがどんどんブレイクして、僕自身、地位、名声、年収みたいなものが上がっていったんですが、実はニュージーランドで半自給自足の生活をしたいっていう夢は学生時代にもう決めてたんですよ。社会人になって10年経ったらそういう生活にシフトしようって決めていたんです。結局色々あって15年かかったんですが。
よく年収とか安定とかを捨てたって言われるんですけども、捨てたというよりは、やっと本来の自分に変えられる。本来の自分の理想の生活をスタートできるっていう感覚が強かったので、捨てる恐怖感とかもったいないみたいな気持ちは本当に0だったですね。
夢ってみなさん抱かれると思うんですが、夢を諦めるのは僕ありだと思っているんです。それは自分の意思で決められるじゃないですか。でも夢を忘れるっていうのは僕にとっては絶対に嫌だったんですよ。いつの間にか忘れてて、気づいたらもう元に戻れないみたいなのが僕は一番怖くて。ですから、忘れない工夫をいっぱいしましたね。


〜その生活の場にニュージーランドを選んだのはなぜですか?
僕は湖がとにかく好きなんです。小さいときから水が好きで川、海いろんなところでアウトドアな遊びをしたんですけども、大学生の時に何より湖が好きだなってことに気づいたんです。釣りが好きだったんですよね。幼稚園のころからずっと釣りをやっていて、大学の時にフライフィッシングを始めたんですが、それは今もう仕事にもなっています。ライフワークって呼んでるんですが、フライフィッシングを湖でやるのが、何より一番気持ちよかったんです。
僕はちょっと変な人で、小学校くらいから「今生きてて一番気持ちいい瞬間は何なんだ」ってことをいつも自分に問いかけてたんですよ。その時々によって違うんですけど、ある時から湖でフライフィッシングをやってるときがいちばん自分らしくいれるし、いちばん気持ちいいしってことに気づいたんです。これを知ってしまった以上、人生って一回しかないじゃないですか。これを極めるしかないなと思って、学生の時に肉体労働をして、ボロボロのワンボックスカーを買って、自分でキャンピングカー仕様にして日本中の湖旅したんですよ。
それで「ここは最高!」っていうところを見つけたんですけど、ニュージーランドにはさらに美しくて、日本よりも大きなマスが釣れる湖があるっていうことを知って、どうせならもうベストを目指そうってことでニュージーランドに決めたんですよ。
フライフィッシングは川でも海でも湖でもどこでもやれるんですけど、例えばミミズなどの生きたエサを使えば魚って結構簡単に釣れちゃうんですよ。でもあえてそれをやらずに、例えば湖に暮す大きなニジマスが今の季節はこういう小魚を食べているとか、この時期は水面に落ちてくる昆虫を食べているみたいな、それを研究して、自分で鳥の羽とかを使って疑似餌を作るんですよ。ルアーっていうのはプラスティック製品のもので、鳥の羽とか糸などを巻き付けて作られたものをフライって呼ぶんですけども、わざわざそれを自分の手先使って、いろいろ工夫して作る。そしてそれを持って湖に通い詰めて、トライアンドエラーを繰り返して、「あ!この形が釣れるんだ」と。
ですから、芸術的な感性とか物を作るセンスみたいなものが必要ですし、フィールドに行ったら風向きとか天候とか気温とか、自然現象を読み取る能力も必要です。それにフライをなるべく遠い距離に投げるとか、なるべく深いところに送り届けるとか、正確に投げるみたいな肉体的な能力も要求されるわけです。総合的な芸術家センスと、アスリート並みの体力と、学者並みの知識が必要だって僕言うんですけども、難しくて奥深くて一生かけても多分完成に行きつかないだろうなっていう釣りがフライフィッシングです。これを知ってしまうと人生が完全に正しく狂います(笑)


四角さんのお話いかがだったでしょうか。来週も続きをお届けします。
どうぞお楽しみに。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・We Got It / Maia Hirasawa
・Baumkuchen(featuring ohashiTrio) / 大橋トリオ
  • 2016.09.18

小網代の森 3

今週も神奈川県・三浦半島にある小網代の森からのレポートです。

川の源流、湿地帯、干潟、海へと繋がる「流域」の生態系をまるごと保存した、全国的にも貴重な森。最後は、この素晴しい場所と「人」との関係についてお伝えしたいと思います。
小網代の森の広さはおよそ70ヘクタール。東京ドーム15個分くらい・・・というと広そうですが、森の面積としては、けして「広い」とは言えない面積なのだそうです。
でも、その小さな森は、「川の流域」の要素を全て備えていて、本当に多様性に溢れています。
さて、小網代の森の、谷沿いに整備された木道をずーっと下って行きますと、地面はいつしかなだらかな平地に。木漏れ日の差す森は終わり、目の前がパッと明るく開けました。

◆人が管理する自然
ここは谷がひとつ右側に隠れていて、そこと合流するんです。ここが第4合流点です。世界がまたパッと変わって、ここから先は一面の湿原になってきます。5月くらいに来ると尾瀬のような状態です。3月くらいになるとアシとかオギの新芽が20センチくらいに育ったころなんかはすごくきれいですよ。
この湿原は3ヘクタールくらいあるんですけど、この下の干潟が丁度同じ面積。3ヘクタールくらい。海水の湿地帯と淡水の湿地帯が十数ヘクタール繋がってるんですね。こういうのも極めて珍しい。
ここは基本的には笹原だったんです。それを笹を切って、あちこちに水路を誘導して水浸しにして笹を抑えてるんですよ。だからこれは「創出」された湿原。「復元」じゃないんですね。
湿らせておけば笹が生えず、管理はしやすいので、どうやって水を増やすかっていうのが長期的な課題です。放置して乾燥するとまた笹原に戻っちゃうんです。笹になっちゃうと笹の中に灌木が入ってきて、つる草が入ってきて、真っ暗になっていって、トンボもい蛍もいなくなる。魚も川に上がってこない谷になるというのはほぼ確実なんです。
手を入れない自然が好きだったらそうすればいい。あと100年も放っておけばそうなります。本来この辺りの自然って人が手を入れなけでばそれが基本形です。
それが嫌であれば、ひとつの選択肢として、湿原環境を人間の力で維持して、そこにその湿原環境を基本とした生態系をつくりましょうっていう提案があっていいでしょ?我々はそれを提案していて、実践しています。
都市の中で自然を上手く保護するにはどうしたらいいのかっていうのは、本当にみんなの知恵で考えなきゃいけない。そういう意味では、ここ小網代がその手本みたいなもので、今は理論的にもこういうやり方が妥当だと思っていますね。
昔、水田を耕作して雑木林を管理していったときには、それで100年、200年、500年、1000年同じ形が維持されている。それが里山っていう自然で、あたかもそれが手を放しでもそのままであるかのように錯覚を持ってるけど、放置すれば数十年でとんでもない荒れた自然になっちゃって、山火事だって起こっちゃう。
ここの水循環は水田だったときの名残を基本的には引き継いでる。そただしそこに生きる生き物は稲ではなくて、水田耕作時代を稲と一緒に生き延びてきたカエルとかトンボとか、その他の植物を全部戻してあげますよっていうのをやっています。
そこにオレンジ色の花あるでしょ?あれはハマカンソウっていう、ニッコウキスゲの仲間です。海岸線に群落があったんですけど、3月11日の津波で生息地の多くが失われてしまった。これは今、企業と連携して人工的にここに戻している。予定ではあと5年くらい経てば、この辺りは全部花が咲く。一面尾瀬のニッコウキスゲみたいなところにしちゃうんです。これも「創出」ですね。



ガイドして下さったのはNPO法人小網代野外活動 調整会議の代表で、慶應大学名誉教授の岸由二さん。
小網代の森の湿地帯は、「人が手を入れて」、森を伝う川の水をしっかり流してあげることで保たれている・・・というのは印象的でした。
また、岸さんは「この森は、まだまだ全く手を付けられていないところがたくさんあって、森を育てる・創出する仕事はずっと続くし、自分の代では終わらない」ということもおっしゃっていました。

◆国際的なブランディングをしていくべき森
こういう風に流域、生態系が完璧な形で繋がってるっていうのは、関東ではここだけです。「ここは生態系の構造上極めて重要」っていうアピールを僕らがして、国交省が「わかりました」っていうことになったんです。珍しい生き物がいるからっていうのがの理由じゃないんです。
ただ、まだ海のほうは保全されていないんです。ラムサール条約で保全しようとすると、基本的には基準は全部クリアしてるんだけど、賛成してくれない人もいるから時間がかかります。でもいずれここはちゃんと保全して、国際的なブランディングをしていくべきとこなので、時間がかかってもそうなるとは思ってます。


今回のお話いかがだったでしょうか。
小網代の森では、毎月第3日曜日に「ボランティアウォーク」を実施しています。
自然観察をしながらゴミ拾いなどの体験ボランティアをするもの。詳しくは、小網代野外活動調整会議のサイトをご覧ください。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・La / Old Man River
・ロングバケーション / RIP SLYME
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