プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。

今週は、森を形づくるいろんな植物の中でも、ちょっと「変わり種」な、不思議な植物のお話を専門家の方に伺います。
その植物の名前は「腐生植物」。
この植物は、私たちが良く知っている緑色の葉っぱを持つ植物とは大きな違いがあるそう。そして、思わず感心しちゃう特徴があるらしいんです。
東京大学 大学院 教授で 植物学者の塚谷裕一さんにスタジオにお越しいただきました!

〜塚谷さんには、以前に「スキマ植物」の専門家として取材をさせていただきましたが、先日、本を出されました。その名も『森を食べる植物――腐生植物の知られざる世界』。この植物は森を食べるんですか?
はい。ひっくるめて言うとそういう風に言えると思うんですね。腐生植物というのは、昔はその名の通り腐ったものに生える植物と思われてたんです。なぜかというと、葉っぱが緑じゃないんですね。普通の植物は葉っぱが緑で、光合成をして自分で炭水化物をつくって生きていく。ところが彼らは緑色をしてなくて、森の中の暗いところにいることが多いんです。落ち葉が溜まってるところなんかに多いので、昔の人は落ち葉とか枯れ枝を腐らせて、カビとかキノコみたいに暮してるんじゃないかと思ってたんです。そこを掘るとネズミの死体が出てくることがあるって書いてる人もいるくらいで、そういう伝説があるくらい何かを腐らせて暮してるんじゃないかと思われていました。
でも本当はそうじゃなくて、彼らは根っこでカビやキノコを食べて暮してるんです。そのカビやキノコたちがどこから栄養を取ってるかといえば、それはもちろん枯れ枝とか落ち葉とか。場合によっては生きた根と共生関係を結んで、植物から炭水化物をもらう代わりに、カビたちはミネラルをあげるみたいな、お互いを助け合いはしてるんですけども、いずれにしろカビとかキノコは森から栄養をもらって暮してるわけです。腐生植物たちはそこから無理やり栄養を抜き取ってるんで、ひっくるめて言うと森を食べてると言えるんじゃないかというわけです。


〜そんな植物があるんですね。見た目は私たちが想像する植物とはまるで違うんですか?
まるで違います。葉っぱが緑である必要がないし、ほとんど大きくもならない。でも花は咲きたいので、花だけポコって咲く。だからバランスもすごく違ってます。日本だと一番見るチャンスが多いのは銀龍草です。名前の通り真っ白な植物です。
銀龍草の場合、ベニタケという、よく絵本なんかに出てくる傘がピンクとか赤のかわいいキノコの仲間。ベニタケの菌糸を食べて暮してるんです。


〜食べられたキノコはどうなっちゃうんですか?
普通は完全に栄養を抜き取って殺しちゃうってことはしなくて、自分の身体に繋がった状態で生かしておいて一部を横取りしています。

〜塚谷先生が特に好きな腐生植物ってありますか?
是非機会があったら見て頂きたいのが、「タヌキの燭台」です。それも白いんですけども、形がなんとも表現のしようのない形をしています。多分日本にいて見られる植物の花の中で一番形が変なものだと思います。海にいるホヤみたいな感じですね。
〜これ花なんですね。
花です。だからそのぼんぼりになってる先っぽの方にちょっと口の開いたところがあるんですけど、そこに雄しべがあって、一番底のところに雌しべがちょこんと入ってるんです。
今では徳島県と伊豆諸島と二か所でしか見られません。一番最初に見つかったのは徳島県で、その後鹿児島県で見つかったんですけども、そちらは残念ながら絶滅してしまいました。それからしばらくして伊豆半島でも見つかったんですけども、そこも残念ながら絶滅しちゃって、たまに見つかっては消えちゃって、今残ってるのがその二か所なんです。でも鹿児島県から伊豆諸島まで転々とあるってことは、きっと間のどこかにもいるんだと思うんです。
形がすごいユニークなので、忘れられない形だと思うんですけど、気が付かなければ通り過ぎちゃうようなちょっと変な植物ですよね。

〜緑の森の中で白いこういった花が咲いたら絶対目立ちますもんね。
しかも暗い森の中の地面にいるってところがミソですね。

〜他にもおもしろい生態を持っている腐生植物はありますか?
腐生植物って、小さくて地面のスレスレのところにいるものが多いんですが、例外もあって、ツルになって数メートルにもなるものもあります。九州なんかでも見られるんですけども、タカツルランっていう腐生植物がいます。それはツル植物なんです。木をよじ登って何メートルにもなる。
タカツルランが食べてるキノコは結構力の強いキノコで、森全体にネットワークを張り巡らせて栄養をたくさん持ってるんです。そこから栄養を取るタカツルランは、資源がたくさんあるものですから、地面スレスレなんて遠慮してなくて、すごい大きなものになるやつもいます。花も咲きますし、赤身を帯びた果実もなって、わりと遠くからでも目立ちますね。


塚谷裕一さんのお話いかがだったでしょうか。
来週も続きをお届けします。お楽しみに!

『森を食べる植物――腐生植物の知られざる世界』塚谷裕一(岩波書店)


【今週の番組内でのオンエア曲】
・YOUNG, ALIVE, IN LOVE 恋とマシンガン / フリッパーズギター
・Summer Paradise / Simple Plan
先週に引き続き鎮守の森のプロジェクトの主催で行われた、「神秘の森の教室」というイベントのレポートです。
このイベントNPO法人 響、明治神宮の協力でで実施されたもので、先週お伝えした神宮の森の散策の後は、植樹に使う苗づくり体験もありました。今回はその模様をお届けします。

明治神宮の一角…神宮会館という建物の裏手には、いま、「どんぐり畑」と呼ばれる、苗木を育てるスペースがありまして、明治神宮で拾ったどんぐりを苗木に育てています。
ここで育てられているのは、落葉樹・広葉樹あわせて7種類とのこと。本来 明治神宮の森からは、草木一本、種一つも持ち出してはいけないのですが、特別な許可を得て苗木づくりが行われているそうです。

◆NPO法人 響 明治神宮のどんぐり畑について
ここがいわゆるどんぐり畑です。落葉樹がここに1万本くらいあります。私たちはかいわれドングリっていっているんですが、青いトレーでワサワサしているのが、昨年の秋に拾ったどんぐりが今年の春芽吹いたものです。それを今度はここから3年間、大人の人の膝くらいの高さまで大きく育てるといことを私たちはしています。


大人から子どもまでおよそ30名ほどの参加者は、まず明治神宮の森を散策して、植物観察をした後、神宮敷地内の一角にある。「どんぐり畑」へと移動。ここでみんなで挑戦したのが、東北沿岸部に豊かな森を作るための苗木づくり体験でした。
東京農業大学の特別研究員で、鎮守の森のプロジェクトの植樹指導も西野文貴さんの指導の下、参加者の皆さん、楽しく、でも結構真剣に、ポッド苗作りに没頭しました。

◆ポット苗づくりについて
今から森の一番最初のスタートのところ、ポット苗づくりをみなさんに見ていただこうと思います。実は種まきの時点からもう森づくりって始まってるんです。
例えばこれはシラカシの種なんですけども、蒔いたとき、どれくらい土を被せればいいのかっていうと、日本の植物はどの種も、だいたい種の大きさと同じ深さくらいが目安になります。例えば米粒くらい小さい種ならば、上に土を被せるか被せないかくらい。いい感じの隙間具合と湿り具合をどう作るかがミソになるんですよね。
空気が入らないと植物の根は成長しないですよね。詰まった土なんかにしちゃうと、枯れる一方ですね。管理の仕方に合った土づくりっていうのがすごく大事になります。いい苗木、いい木を作ろうとしたら、本当にいい森作ろうとしたら、根からちゃんと作らないといけません。地上も地下もよくないと良い森っていうのはなかなかできません。
今日鉢上げしていただく樹種はタブノキといいます。タブノキは海岸に近いところで大きな森を作ります。仲間としてはアボカドと同じ仲間になります。種がちょっと似てる感じがしますよね。おいしいかなと思って食べてみたんですけども、あまりおいしくありませんでした。大きくなったら20mから30mくらい大きさになります。


そしてこのポッド苗作りには、鎮守の森のプロジェクト理事で東京大学教授ロバート・キャンベルさんも参加。キャンベルさん、参加者の誰よりも真剣に 苗木づくりに取り組んでいました。その模様もポッドキャストでお伝えしていますので、こちらもぜひ聞いてみてください!


【今週の番組内でのオンエア曲】
・センス・オブ・ワンダー / RIP SLYME
・I'm Yours / 平井大

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