今週は作家で環境活動家のC.W.ニコルさんのインタビューをお届けします。
C.W.ニコルさん
ニコルさんが長野県の黒姫で取り組む「アファンの森」の森づくりは、以前にもご紹介しましたが、ニコルさんは今も休むことなくこの活動を続けています。

イギリス・ウェールズ出身のニコルさんが日本を訪れるようになったのは今からおよそ50年前。元々は空手や柔道の修業をするのが目的だったといいます。
それが黒姫に移住して、森の再生に取り組むまでになったきっかけは、若い頃に見た日本独特の風景、「里山」でした。

◆森づくりのきっかけ〜C.W.ニコルさん
日本人はずっと自然を大事にしてきた民族ですが、里山と呼ばれる雑木林の手入れ、使い方は世界一素晴らしかったんですね。僕が最初に日本に来たのは1962年でしたが、当時もその文化が残っていました。しかしその後、石油が入ってくるようになって以降、放置されるようになってしまいました。僕はそういう森を自分のお金で買って手入れを始めたんです。



日本の昔からの原風景「里山」。
里山があり、その里山から流れる健康的な小川があり、そして小川から水をひいた田んぼがある。ニコルさんはこれは弥生時代から続く日本の文化だったといいます。
その風景を取り戻すため、ニコルさんは30年前に黒姫に移住。森に「手を入れる」ことで、里山を見事に再生させました。

◆里山の森づくり〜C.W.ニコルさん
ブナの木などの落葉樹は、若いうちに切ると、切り株からまた芽が出るんです。蘖(ひこばえ)といいますが、里山では30センチ、40センチの太さになる度にこれを切って、炭をつくったり、薪にしたり、しいたけを育てる榾木(ほだ木)にしたりしていました。そうしないと木が混んてしまい、下の方に光が届かず、植物が死んでしまいます。そうすると、下に生物がいなくなってしまいますから、鷹やフクロウなどの大きな鳥もいなくなってしまいます。
そういう状態の森を手入れするのは、基本的には簡単な事です。元気な木を残して、病気になった木を間伐する、10パーセントの光が下に届くようにするんです。そうすると地面が緑になり、いろんな生物が戻ってきます。光を入れるということは、木と木の間に間合いができて、木が伸びる場所ができるんです。木が元気になればドングリなどの木の実が増えて、動物が戻ってきます。クマ、イノシシ、鹿、キツネ、タヌキ、アナグマ、テン、イタチ、リス、フクロウ…。クマが生きていける森ということは、色々な食べ物があるということです。
それに、動物の胃腸のなかに大事な菌があるんです。その菌は土の中の微生物を健康にし、きのこがたくさん出るようになります。
ですから、利用しながら森を良くするということは、健康と経済にとてもいいことだと思うんです。



ニコルさんは森をもとに戻すのは簡単だとおっしゃっていますが、やっぱりこれは経験があっていえることですよね。

またニコルさんは、木と木の間に間合いをつくってあげるとおっしゃっていましたが、つまり間伐をするということです。その結果、アファンの森は30年かけて生まれ変わり、7種類しか存在しなかった山菜が、いまでは137種類に。漢方に使う植物が196種類、絶滅危惧種は53種類にまでなっています。

そして、アファンの森財団は日本の家具メーカーとのコラボで、新たなプロジェクトをスタートさせています。


◆国有林の間伐〜C.W.ニコルさん
アファンの森の土地のすぐとなりに国有林がありますが、貧弱で、暗くてどうしようもない状態でした。三十数年手入れをしていないので、本当はドラム缶くらいの太さになっているはずの木が僕の首くらいしかありません。それを間伐して光を入れて残った木を立派な木に育てるんです。下に光が届くようにしたら、半年で11種類の植物が見られるようになりました。そうするといろいろな生物が戻ってきて、木もドラム缶くらいの太さになり、材木としての価値も上がります。重機を森に入れたくなかったので、間伐した木の運搬には遠野から馬を借りました。馬を使って丸太を出す、馬搬ですね。馬はよく働くし、地面も傷めません。
馬を使って運びだした木ということで、馬の鞍のイメージで椅子をつくりました。馬搬で出した木材で一流の家具をつくるのは、これが初めてじゃないですかね。



岡村製作所という家具メーカーと共同でつくったのが「KURA」という名前のスツール(椅子)です。間伐材を使っていますし、その運搬も馬を使っているので、森を傷つけません。森を上手に活用し、里山を育てることにもつながるわけです。

ぜひ岡村製作所のサイトを見てみてください。馬が木を運んでいる姿などもみることができます。このスツール、座る部分は馬の鞍のイメージで、留め金には蹄鉄のデザインをあしらうなど、とてもカッコいい椅子です。ニコルさんは、自分の上に、さらにお相撲さんが座っても壊れないと、誇らしげに話していました。
この売上の一部は森林再生に活用されるそうです。

そして、馬搬は森を傷つけないだけでなく、馬の排泄物がそのまま森の栄養になるなど、様々なメリットがあるとニコルさんはいいます。


◆馬搬〜C.W.ニコルさん
現在は馬搬をやっている人は6人くらいしかいません。ですから増やさなければいけないんです。1980年のイギリスでは、馬搬で丸太を出す専門家は20名くらいでしたが、今は70もの会社があります。国立公園などでは、木が病気になるなどの理由で伐採して外に出さなければならない時、自然を破壊しないよう、馬を使い始めました。
また、馬を使って運搬をしていると、人を呼び寄せる効果があります。イギリスでは、どこにでも散歩道があり、だれでも通ることができますが、地主が木を伐採していると反対運動が起きることがあります。しかし、馬を使って作業をしていると、周りの人が寄ってきて話しかけてくるので、馬の話題ををきっかけに両者の間でよくコミュニケーションがとれ、反対運動もほとんど起きないそうです。我々が馬搬で間伐をしている時も大勢の人が見に来ました。お祭りのようでした。



ニコルさんの、馬を使っていると周りの人が話しかけてくるというお話、よくわかりますね。確かに、馬がいると話しかけてみたくなります。

次回もニコルさんのインタビューの続き、宮城県東松島市で取り組む「森の学校」づくりのお話をお届けします。

【番組内でのオンエア曲】
・Baby I / Ariana Grande
・Passage / 山崎まさよし
今週は、JFN38局が一丸となって取り組む『COOL WOOD JAPAN PROJECT』をお届けします。
日本の木・木材を上手に使った生活、各地の森林や、国産材の魅力を、FM各局が紹介。
「いのちの森」では、各局のレポートを、月に一度お届けしています。

今回はエフエム岡山からのレポート。
地域の間伐材を使って、様々な商品展開をしている「西粟倉・森の学校」をご紹介します。
西粟倉・森の学校

岡山県英田郡西粟倉村。人口 およそ1600人、村の9割以上が森林という、小さな村です。
そんな西粟倉村の、スギやヒノキの間伐材を使った家具など、様々な商品を販売しているのが「ニシアワー」というショッピングサイト。
ニシアワー ぐるぐるめぐる、西粟倉村の森と繋がるショッピングモール

これを運営しているのが、「西粟倉・森の学校」という会社です。
この会社の代表・牧大介さんにお話をうかがいました。

◆ニシアワーとは? 西粟倉・森の学校代表 牧大介さんのお話
戦後植えられた木がたくさんありますので、それを使わないと山の手入れが進まず荒廃してしまいます。これだけたくさんの木があるので、なんとか多くの人に使って頂きたいのですが、家を買うというのはとても大変です。
そこで、マンション暮らしの方でも、身近に木のあたたかみを生活の中に取り込んで、木とともに暮らすということが実現できるように、と年半くらいやってきて、ようやく100アイテム強くらい揃ってきました。都会で暮らしていたスタッフが多いので、自分だったらこういうものが欲しい、あったらいいなと思うものから商品企画を始めているものが多いですね。
無垢の杉、ヒノキ、国産材など、いい商品があれば買いたいと思っても、なかなか手ごろでデザインの良いものがないんですよね。そこを一つずつ商品として形にしていきました。
一番最初に「ユカハリ・タイル」という商品を開発したんですが、これは、若いスタッフが東京の賃貸住宅に暮らしていても無垢の床が欲しかった、というところからスタートした商品です。置くだけで、気持ちの良い無垢の床ができるというもので、これが一番売れています。


ニシアワーのサイトには本当にたくさんの商品があります。牧さんのお話にもありましたユカハリ・タイルは色も豊富で、自分の趣味にあったものが選べそうです。また、花の形のかわいい木製のピアスや、どんぐりの形をしたコマ、車のおもちゃなどだくさんの商品があります。なかでも、子どものおもちゃは贈り物にも喜ばれそうですね。
ほかにも人気商品はたくさんあるんですが、たとえばこの日、牧さんがしていたネクタイ、じつは、これもそうなんです。

◆ニシアワーで人気の商品
ラジオなので見えないのですが今私がつけている「モクタイ」(笑)
そんなに数は売れていませんが、ちょこちょこと買って頂いています。
最近売れているのはiPhoneケース。床板など建築材料には短かすぎる材料や、一部破損していて床板としては使えないというパーツが結構出るんですが、それらを使ってiPhoneケースをつくっています。触った感触が柔らかくて暖かいので手にとてもなじむんでしょうね。

モクタイ

ちなみに、牧さんは、もともと京都の方です。
全国で、森林を有効活用する事業のコンサルタントをしています。
そんな中、西粟倉村の、「100年の森林(もり)構想」というプロジェクトの立ち上げに協力したことがきっかけで、もっと腰を据えて一つの地域に関わろうと、数年前、この地域に移住し、「西粟倉・森の学校」という会社や、「ニシアワー」を立ち上げました。
その西粟倉・森の学校は地元の森と地域を知ってもらうワークショップやツアーも企画しています。
その一つが、ヒノキの学習机づくり体験ツアーです。

◆ヒノキの学習机づくり体験ツアー
やっぱりモノだけではなかなか伝わらないところがあります。僕自身はよそ者で村に移住してきた立場ですが、この村でずっと苦労して木を育ててきたおじいさんおばあさん、亡くなっている人たちも含めて、その方々の想いをちゃんとお客さんに伝えていくことが大事だと思っているんです。
ですので、実際に木を切るところに立ち会っていただいたり、木を育ててきたおじいさんの話を聞いていただいて、木が切られて机に生まれ変わり、新しい命が吹き込まれるところ、そのプロセスもファミリーで体験していただくといったことを重視してやってきています。



西粟倉・森の学校が企画するツアーはほかにもいろいろあって、なかでもすごくインパクトのあるツアーが「大黒柱ツアー」。
山主さんと一緒に、家の中心となる大黒柱の木を選び、伐採します。
自分のお家の大黒柱を自分で選ぶ!すごい経験ですよね。
詳しくは、「西粟倉・森の学校」のサイトでご覧になれます。
西粟倉・森の学校

製材した大黒柱は5年間、西粟倉・森の学校で預かるということなんですが、建築材や間伐材を、製品として使えるようにするには、長い時間と、条件があるんだそうです。

◆木の伐採にも旬がある
木には切り旬というのがあります。伐採にも旬があって、秋から冬に入る手前に切った木が一番長持ちします。意外と都会の方は知らないんですが、昔は家を建てるにも、秋から冬にかけての時期に切った木で建てないと腐りやすいとかカビやすいということがあったんです。
木に含まれるでんぷん含有量は伐採時期によって大きく変化します。秋から冬にかけて伐採された木はその量が下がり、腐りにくい性質になりますので、この時期に切るのがベストなんです。
昔から、一番良い時期に伐採して、切った後は安定するように乾燥させますから、家具にできるところまでの材料に仕上げるには結構時間がかかります。木も何十年というとても長い時間をかけて、苗木から育てられているわけですから、それが一瞬で商品になるわけではないんです。ですから、お客さんにも時間の積み重ねを知っていただいて、そのうえで大切に長く使って頂けるような商品をお届けしたいし、そのプロセスも共有していきたいという思いでニシアワーというウェブサイトを立ち上げています。

西粟倉村の森


この「ニシアワー」という名前は、「西粟倉の時間」という意味です。森を有効利用するためには、時間の積み重ねが必要で、その時間の積み重ねを楽しんでほしい、という意味が込められています。
ぜひニシアワーのサイト、見てみてください!

この『COOL WOOD JAPAN PROJECT』では、JFN38局それぞれが、各地域の森の情報や取り組みなどをご紹介しています。
詳しくは「COOL WOOD JAPAN PROJECT」の特設WEBサイトをご覧ください。
COOL WOOD JAPAN PROJECT

今日ご紹介した FM岡山のレポートも、ポッドキャストで聞くことができます
このページのバナーからも簡単に見ることができます。

そして、木材をより上手に活用する方法が、木材利用ポイント。
木材利用ポイントは、スギやヒノキやカラマツなどの木材で家を建てたりリフォームしたり、そうした木材を使って作られた家具を購入したりするとポイントがもらえるという事業です。
木質ペレットストーブや薪ストーブの購入でも、同じようにポイントがもらえます。もらったポイントは、地域の美味しい農産品・海の幸・商品券などに交換することができるんです。
地域の木材を利用することによって、森に手を入れ、元気にし、林業だけではなく、農業や漁業の振興にも貢献していこう!という目的で、この事業は行われています。

くわしくは、「木材利用ポイント」のサイトをご覧ください!

【番組内でのオンエア曲】
・Rainbow / Jack Johnson and G.Love
・tourist on the 未来'n / クラムボン
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パーソナリティ

高橋万里恵
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