今週も先週に引き続き九州・大分県、宇佐神宮で行われた「鎮守の森の教室」のレポートです。
1000年以上の歴史を持つ宇佐神宮と、その鎮守の杜。
本当に、神聖な空間という感じがして素晴らしかったのですが、きょうは、宇佐神宮の鎮守の杜が、なぜ神々しいのか。その理由についても専門家の方に伺いました。

◆湿度が森の荘厳さをつくる
これもイチイガシですね。こんなにイチイガシが見られるところは他にはあまりないです。宇佐あたりは海が近いので、霧が出やすいと思うんですよ。で、林内に霧が入ってくると、林内の湿度が高くなりますよね。そうすると、コケが生えたり、着生植物が生えてきたりして、ますます森の荘厳さが増すんですね。
この丸いのはマメヅタというシダです。着生植物ですね。これも非常に多いですが、これもまた湿度が高いことを物語っています。今日は霧ですが、こういのが木につくわけです。で、結露するわけです。そうすると、地面だけでなくて、幹にもたくさんの植物がつくんです。


東日本大震災をきっかけに、災害から命を守る「森の防潮堤」づくりを続ける 「鎮守の森のプロジェクト」。この団体は全国の神社にある「鎮守の森」を森づくりのお手本にしています。
ということでこの団体の企画で、一年ぶりに行われた「鎮守の森の教室」。参加者一行は、宇佐神宮の境内から本殿へ向かう階段を上り、1000年前からそこにあるという森の存在感に圧倒されながら先へと進みました。
そして本殿に到着し参拝を済ませ、神社の神職の方から、このお社の歴史を教えて頂きました。

◆宇佐神宮の歴史
じゃあ、みなさんお集まりください。ご一緒にお参りしたいと思います。二拝、それから宇佐神宮では四つの拍手をします。手を合わせて、右手を少し下げて、四回叩いていただきます。で、戻していただくと、とてもプロっぽく見えます(笑)。そういうふうにしていただけると、あの人違うなってお宮の人に思われますので、今後してみてください(笑)。で、最後に一拝をします。
文化庁の調べによりますと、お社は全国に約12万社あるといわれています。そのうちの3分の1の約4万社が八幡系の神社といわれています。その総本宮が、この宇佐神宮ということでございます。ご覧いただきましたらわかりますように、御殿が3つあります。一之御殿が八幡大神様、応神天皇様をお祀りしています。そして二之御殿が比売大神 。こちらは元々この地にいらっしゃった神様を二之御殿としてお祀りをしております。そして三之御殿が神功皇后様、応神天皇様のお母様をお祀りしています。
八幡大神様がこちらのほうに現れましたのは、飛鳥時代でございまして、571年ですが、現在の社務所の前にある、池のほとりの笹の葉の上に、三歳の童の姿をして、ご出現されたという記録がございます。それからこちらの方にお祀りをしているということでございます。
この宇佐神宮は、伊勢神宮に続く第二の宗廟といわれています。また、伊勢神宮では約20年に一度遷宮が執り行われると思いますけれども、この宇佐神宮では、室町期に廃絶しましたが、33年に一度、遷宮をしていたという記録がございます。そして、この御殿ですが、安政年間の建物で、三殿とも国宝に指定されています。


あいにく雨がぱらつく天気でしたが、しっとりとした森、霧ふかい雰囲気。より神聖さが増した雰囲気で、結構、こういうお天気も鎮守の森を散策するにはおススメです。
ということで、およそ2時間半の散策を終え、森の教室を受講した証として、「修了証書」をいただいて教室は終了となりました。
最後に、この教室のガイドを務めた若手研究者、東京農業大学 特別研究員で 鎮守の森のプロジェクトの、西野文貴さんのお話です。

◆人間の手ではつくれない神々しさの森
この場所は、文化的に見ても、また、自然の植生から見ても、とても重要な場所です。元々あった森をできる限り手をつけず、ずっと自然のまま残しましょうというやり方なので、歩いてみると、参道の横から見ただけでもジャングルっぽいと感じると思います。高木、亜高木、低木、草本の四層構造がきちっと揃ってる、生態系が豊かな森だと思います。
ここにはイチイガシがたくさんありますが、土地がすごくいい場所に生えやすいのがイチイガシです。大きいものですと20〜30mくらいありますね。大きくなればなるほど、まるで波紋のような形が出てきたりだとか、大きな樹皮がベラっと剥がれるような、そしてそれに相まって神々しさが出てくるような感じがしますね。
明治神宮の森をつくった本多静六さんが考えたコンセプトの一つ、”永久に続く森”というのは、やはり鎮守の森のことであって、そのような自然があるところはやはり、僕らは神々しさを感じるようになるのかなとも思っています。それとともに、日本の自然が、時間をかけてゆっくり創りあげた、人の手では簡単にはつくれない神々しさです。
大事なのは木だけではないし、昆虫だけでもないし、鳥だけでもない。やっぱり生態系がきちっと循環した森というのを、いま人間は欲しているし、目指しているんじゃないかと思います。


今回のお話、いかがだったでしょうか。今回の「鎮守の森の教室」の様子は、ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Bull Rider / Norah Jones
・Joanne / Lady Gaga
今週は、九州・大分県からのレポートです。
今月のはじめ、大分県宇佐市にある宇佐神宮を会場に行われた、「鎮守の森の教室」というイベントの模様をお届けします。

このイベントは、番組で継続的に取材している「鎮守の森のプロジェクト」が企画したもの。
東日本大震災をきっかけに、災害から命を守る「森の防潮堤」づくりを続けるこの団体は、名前の通り、日本各地の神社にある「鎮守の森」の多様性、災害から命を守る役割を、活動のお手本にしています。
そして、今回 会場となった宇佐神宮は、本殿が国宝に指定されていて、1300年の歴史を持つ神社。お社を囲む鎮守の森も、大変古くからそこにあると言います。
というわけで会場にいらっしゃった、鎮守の森のプロジェクトの理事で日本文学者 ロバート・キャンベルさんにうかがいました。

◆1000年前から守られている森
「鎮守の森」っていうと神社っていうイメージがあると思うんですが、全国に祠(ほこら)とか、小さな神社の周りに、ちょっとした森があったり、林があったり、それが色んな場所にあるんです。宇佐神宮というのは、1000年以上の、とても古い社なんですね。全国の八幡宮の総本部というふうにいわれているもので、すごく古いところですね。ですからここにある森というのは、この土地の特徴であったり、植生のいちばんの標本。もちろん、人間の手は少し入っているでしょうけれども、自然に近い形でずっと守られている場所なんですね。
去年、明治神宮で同じように森の教室を開きました。今回はそれの第二弾ということで、ずっと太古からある自然の中を同じようにエキスパートと一緒に歩き、自然について考えようということですね。



去年「鎮守の森の教室」が行われた明治神宮の鎮守の森は、100年前に、当時の植物学者たちの叡智を結集して作られた「人工の森」。
一方、宇佐神宮は、人の手は多少入っているにせよ、歴史はずっと古いということなんですね。
ということで私たち参加者は、今回の案内役・東京農業大学 教授の鈴木伸一さんのガイドで散策をスタート。
最初に教えてくれたのは、境内に入ってすぐ。どこからともなく漂ってきた、不思議な匂いのお話でした。

◆常緑広葉樹も葉を落とす
この匂いの正体はあそこにあります。あそこに白い小さい花がありますね。ヒサカキの匂いがこの匂いです。プロパンガスの匂いにちょっと似ていて、この時期になるとガス屋さんにガス漏れしてるという通報がよくあるそうです。常緑ですので、東北にもギリギリありますね。これが森林の中に入って、咲きます。よく生け垣とか植え込みにも使いますけれども、本来は常緑広葉樹林の低木層をつくっている樹木ということになります。
常緑広葉樹ってずっと葉をつけていると思われていますが、じつは常緑広葉樹も葉を落とします。あそこにあるのはクスノキですが、枯れているように見えますよね?あれは決して枯れているわけではなくて、葉を落としているんですね。いま、綿をかぶったように白っぽく見えていますが、あれが新芽なんです。あれが急速に伸びていきます。葉が落ちるときは一斉に落ちるので枯れ木みたいになっちゃうんですね。あれはアラカシですが、アラカシは関東では5月から6月ころに一斉に、あっという間に葉が落ちます。ですから、クスノキにとっては新緑の季節をむかえているわけです。常緑は、じつはずっと葉をつけているわけではなくて、ちゃんと更新しているんですね。
明治神宮もほとんど常緑でできているわけですが、特殊なくまでを使って参道を掃いている方がいますが、明治神宮ではそれを捨てないで樹林の中に戻すんですね。それは本多静六先生の教えで、森から出たものは森から出すなということで、落ち葉一枚たりとも外には出すな、ということがずっと100年続いているわけなんですね。


本多静六さん・・・明治神宮の鎮守の森づくりを手掛けた林学者です。
そして参加者一行は、森に囲まれた境内を進んでいったのですが、本殿へ向かう階段の手前には、宇佐神宮の鎮守の森を象徴する、とても希少な木が 私たちを待っていました。

◆イチイガシ
ここは祓所と呼ばれるところです。神主さんたちが、祭典の際に、御本殿に行く前にここで祓いの行事をします。神社ですと必ず大麻(おおぬさ)で三回お祓いを受けますよね。その儀式を神主さんたちはここでして上がられるという場所です。そういう美しい場所なんです。


ここに水辺がありますよね。水の周りにイロハモミジをよく植えますね。滝と緑が合っていて、この時期すごくいいですよね。カエデ類は、特にイロハモミジやイタヤカエデは少し湿ったところが好きで、川沿いなんかにカエデは多いんですね。だから、ここはちょうどいい感じでしょうかね。水辺にカエデってきれいですよね。

この大きい木は何でしょう。イチイガシです。イチイガシというのは、材質がカシのなかでいちばんいいからイチイガシと呼ばれているという説と、いちばんいい場所に生えるからイチイガシと呼ぶという説などがあります。そういう木ですから、早くから利用されてしまったということもあって、いまはこのイチイガシは非常に貴重な木になっています。
イチイガシは樹皮が特徴的です。段々割れて、禿げてくるんです。他のカシには無い特徴です。これはイチイガシの葉です。イチイガシの葉は裏にびっしりと短い毛が生えているのが特徴です。



今回のお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Can't Stop Feeling / Nicole Cross
・桜 Super Love / サニーデイ・サービス
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パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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