2015年2月16日

2月16日 東北復興新聞−街づくり−

今週は、「東北復興新聞」の発行人、本間勇輝さんのインタビューです。

「東北復興新聞」は年4回、紙の新聞を無料で発行しています。またその内容のほとんどを、ウェブで読むことができます。新聞のキーワードは、「いい事例を、共有しよう」ということ。“こんないいことをやってるよ”、と発信することで、同じ課題に向き合っている地域に、そのノウハウを提供しています。

「東北復興新聞」が取り上げる情報は、「産業」「住宅」に関する問題から、温泉、食、文化に関するエッセイまで、多岐に渡ります。なかでも震災から4年を迎え、注目しているのが「東北の街づくり」です。

◆顔が見える街づくり
いまの状況としては、もうすぐ4年というところだが、一年目はハードの復旧、二年目三年目は合意形成の期間だった。国の判断で直せるところはすぐ一年で直ったが、二年目三年目は、更地になってしまった場所にどんな街をつくるのか。公園や住宅地はどこにつくるか、商業施設はどんなものが必要か。ゼロから街づくりのプランを町民と一緒につくる期間だったのが二年目、三年目だったと思う。(四年目は)それを具体的に形にしていった一年だった。
大まかだが、住宅は15%から20%が復興住宅や高台移転という形で被災者の方々の家が作られはじめた。同時に街づくりということでは、商店街が復活したり大きな施設ができたという話がちらほら見えてきた。それが2014年度。
これから2015年度には、50〜70%の家が建つと予想される。まさしく町ができていく。そこで重要なのは、震災前からいろんな課題を抱えていた町だったので、そういう課題も一緒に解決していく街づくりが必要。町民が自発的に行動していくようなしくみをどう町に組み込んでいくのかが重要なポイント。
一番わかりやすいところだと、宮城県女川町に3月21日に新しい駅舎ができる。石巻線が全線開通し、まさに新しい街がここから始まるというところ。女川は震災前の1万人から現在は7000千人ほどに減少し、日本全国でも人口減少が一番著しいところ。ただ、規模が小さい分、「顔が見える街づくり」に取り組んでいると感じる。町長は40歳代、街づくりの中心人物もみなさん40歳代。60歳代は口を出さない、50歳代は口は出すが手を出さないという言葉の通り、若い世代に任せようということで、いま街づくりを進めている。
3月21日に駅舎ができて、その前にプロムナードという大きな通りができる。市民が集える場所など、いろんな企画がある。これは実際に行ってみないとわからないし、これからが勝負だと思う。非常に期待が持てるのは、30歳代、40歳代など若い人が中心になって街づくり計画の中心になってきたので、それがまさにできあがるということで、非常に楽しみなところ。


東北復興新聞のサイト

2015年2月13日

2月13日 震災から4年 子どもたちの今 釜小学校 土井校長 3

引き続き、東北の子どもたちに、根深く残る「心の問題」をお伝えします。

宮城県石巻市・釜小学校は、石巻湾から距離にしておよそ2キロ。4年前の震災では、床上1メートルを超す津波に襲われました。当時のショックはいまも、子どもたちの心に深い爪痕となっています。

釜小では継続的に、子どもたちの心のケアに務めていますが、震災から4年という時間の経過は、学校に新たな問題を突き付けています。


◆見えざる子どもたちの不安
あとはやはり暴力(をふるう子どもが)複数いる。すぐ暴力的になる。その暴力も歯止めが利かない場合がままある。小さい子の方が目につく。いま新たな問題になっているのが、震災時に小学校1年生だった児童が5年生になっていて、現在5年生以上の子(震災時に学校にいた子どもたち)はどういう状態なのか我々は把握できているが、震災後に入学してきた子、物心ついた頃に震災を経験した子どもが小学生になっている。そうした子どもたちがどういう怖い体験をしてきたかは我々には分からない。だから家庭環境調査には「震災時の経験」を記入する項目がある。しかし全員が書いてくるわけではない。特に不安を覚えるのは、震災時に親と何らかの理由があって離れた状態にあり迎えに行けなかった経験を持つ子ども。そうした子どもは不安感を抱えている。そういう子たちは避難訓練に不安を覚えがち。その子たちが学校に入ってから新たな問題が出てくる。なお今後5年くらい、小学校に在籍期間中はそういう問題をひきずっていく。そのケアは今後も学校に求められると思う。


お話を伺った釜小学校 土井正弘校長は2011年当時、同じ石巻市の雄勝小学校の校長を務めていました。震災以降ずっと、教育現場で子どもたちの問題に取り組んできた土井校長は、雄勝小や、地元・石巻の様子について、こう感じていると言います。


◆学校の問題と復興の速度
私のいた雄勝小学校も仮設校舎。復興は道半ばだと思う。あきらかに町の状況が違う。東京五輪開催の決定を機に復興車両やダンプカーが激減した。交通安全上はいいのだが(笑) 復興という視点から見るとどうなんでしょうねと。目に見えた形で地域はまだまだ更地がたくさんある。資材も高騰しているという話も聞く。経済力のある家庭でないと新築は建てられない。そうなると仮設住まいも当初の予定より長期化する懸念があるのでは。そういう経済状況、生活状況では当然教育にも影響する。仮設住宅の暮らしが長引けば学校の問題も続くということになる。精神面と物理的な面はリンクしていると思う。



石巻の雄勝小、釜小で震災後、子どもたちに関わって来た土井校長は来年度で定年退職を迎えるそうです。土井校長は「とにかく定年までは学校の復興に力を注ぐ。それしか考えていない」と語っています。

土井校長のような経験者のノウハウの継承も重要。復興の遅れや、生活再建の遅れは結局子どもたちの、目に見えない心の部分に、しわ寄せのように行ってしまうことになります。心の回復は、時間をかけなければならないものですが、ハード面の復興の速度が下がるのは大きな問題です。そして、去年9月時点で、仮設住宅で暮らしている方の数は8万9千人です。
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パーソナリティ 鈴村健一

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