2014年10月21日

10月21日 住民が描く町のかたち〜女川町の町づくり2

今週は、宮城県・女川町の、復興・町づくりの「いま」をお伝えします。

日本有数の漁港「女川漁港」で知られる港町・女川町。この町では、町民の代表20人が、役場や工事関係者も交えた「町づくり会議」に参加。意見を直接反映した町づくりが進んでいます。2015年には、JR石巻線・女川駅が完成。この駅を中心に、住民の思い描く町が、まさに姿を見せ始めているんです。

町づくり会議のメンバー、高橋正樹さんに伺いました。

◆女川を、終点ではなく始発に。
新しい女川駅は、元々の場所から奥の方に200m弱離れた。海から離れた場所に移動したのは理由があって、傾斜を作るには若干の距離が必要だということと、駅から海へ向かって真っすぐ道がのびるのだが、その道の両脇にプロムナード・商店街ができる。駅を出て道を見て真っ直ぐ向こう側に朝日がのぼる。そういう自然、今ある土地の自然の良い部分を活かした街づくり。女川といえば海。太平洋側なので朝日を拝んで漁業関係者は1日が始ま。そういうのを活かした街づくりということで駅の場所が変わったりしている。女川は田舎で過疎の漁村。人口の減少率から言うと30年後の人口になってしまっている。人が減っていくのを30年先取りしてしまった。だから我々も意識を根っこから変えなければいけない状況。過疎の漁村だが今まで僕たちは女川駅はJR東日本の駅の端っこで、「終点の田舎町」だと思っていたが、うちで働いているコバルトーレ女川というサッカーチームの選手から教わったのだが、「正樹さんは海が好きすぎて海ばかりを見ているからそう思うんですよ。背中に海を背負ってみて下さい。駅が見えるでしょ。女川駅は始発なんです。終点じゃなくて。ここから全国に女川を発信する駅になる。僕はそういう女川を期待している」って言うんです。終点の町をどうしよう、ではなく始まりの町。旨いものもここから出ていくし、人の交流もここで行われるし、終点じゃなくて始発の町にしてやろう。ここから色んな情報を発信する、色んなストーリーが始まる町にしてやろうと思っています。泉田圭太という選手。なぜか女川で6年目。女川で結婚して子どももいる。サッカー選手って普通はいつでも移籍できるように腰が軽いのに。jリーグのチームからのオファーも来ているのに女川から離れようとしない。いけよお前と言っても「いや、女川が好きなので」で終わっちゃう。それくらいの覚悟をもって女川に居ついている。そいつの考えは、女川に元々住んでいる人間とは感覚が違ってすごい。でもはじめて女川に来た時はどう思ったか尋ねたら「田舎だなってへこみました」と本音を言っていたけど、今はそういう気持ちで全国の舞台にコバルトーレ女川が進出して、女川の名前を日本中に広めるのが僕たち女川でサッカーをやる人間の使命だから、と。そいつが言う言葉だから重いですね。



女川駅から、海へ向かってまっすぐのびるプロムナードは駅が完成する来年の春に着工し、完成には2年がかかる予定。まだまだこれからです。
ただ、イメージは出来ています。町づくり会議のメンバー・高橋正樹さんによれば、地元の人と観光客が「交われる」ような プロムナードになるそう。道の横には芝生が植えられて、そこでくつろいだり、お弁当食べる人がいたり、地元の小学生ブラスバンドが練習してたり、そんな完成図を語ってくれました。

明日も女川の町づくりの「いま」をお伝えします。

2014年10月20日

10月20日 住民が描く町のかたち〜女川町の町づくり1

今週は、宮城県・女川町の、復興・町づくりの「いま」をお伝えします。

石巻市のとなり、雄勝半島の北側の根っこにあるのが女川町。日本有数の漁港「女川漁港」で知られる小さな港町です。いま、この町では、「町づくり会議」を通じて、住民の声を取り入れる独自の仕組みを作り、復興を進めようとしています。この町づくり会議のメンバーで、地元・女川のかまぼこ店の四代目、高橋正樹さんに伺いました。



◆駅を中心に、住民が描く「町のかたち」
女川町は女川駅が来年3月にやっと震災4年で再開するので、その周辺を町の中心地にしましょうと。その中心地がどうあるべきかという直接民意を町の開発に反映させるという会議体なんです。そのメンバーが20人。事業主だったり主婦だったり、僕も事業主・経営者のポジションなんでしょうけど、その20人中10人が40代以下。最年少は20代。老若男女いろんな立場の人が集まっている。83パーセント町が無くなったというのは女川だけ。みんながある程度危機感を共有して前に向かって進むというのがベース。元々の強い郷土愛もベースになっている。
83%の面積を使ってゼロから町を作る都市計画に、俺みたいな若い奴でも関わらせてもらえるという懐の広い行政というのも一つのベースになっているんじゃないかなと思いますね。


町づくり会議は、この20人の住民代表者、行政の担当者だけでなく、実際に 工事を担当する業者も参加。住民の意見を先送りせず、その場ですぐに実現可能か判断する形を取っています。高橋さんは「住民の意見を取り入れると言いながら、実際には“住民のガス抜き”でしかないケースが多いが、この会議はそうではない」と話します。

◆プロの青写真に、住民の肌感覚を
1回目、街づくりワーキンググループがありその進め方が微妙だった。「なんでもいいから話し合って下さい」と放り出された。それじゃ無理っしょという話をした。僕はかまぼこ屋だし、この人は主婦だし、この人は漁業関係者、ホテル経営者・・・この人たちに町の形を作れと言っても素人に作れるわけがない。スピード優先なんだから、女川町の行政とコンサルならコンサルで町の青写真を描いてください。そこにどういうものが必要なのか、レイアウトはこっちの方がいいんじゃないという肌感覚で、我々が生活するうえでの肌感覚を落とし込んでいくという作業の方が絶対に早い。プロに任せる部分は先に作ってもらって、あとは我々の意見を投影してもらえればいいですと。一番早い方法を早い団体で見つけられた。例えばいちばん最初に地図が出て来たが、女川駅を出ると真正面に銀行と郵便局があった。土日は閉まる建物。観光客が来る駅で交流人口を増やしたいのに、土日にいきなり目の前にシャッターの閉まった店があってどうするんですかと。それは違いますよね。平日の導線と土日の導線、昼間の生活導線と夜の導線を変えなければいけないですよね、というのが民間から出て来た実際に被災前の女川駅も、保険屋さんの支店の真っ白い壁がドンとあって何もなかった。そういうのを見ているので、「やっぱりにぎやかな方が良いよね、土日に人を呼び込めるような業種の建物がないといけないよね」という、我々からすると当たり前のことを落とし込んでいくということをやっています。


そのほか、この町づくり会議では、こんなアイデアが住民から出ています。『夜の飲食店街も作ろう』!!「健全すぎる町にする必要はない。お酒を飲んでカラオケして、明日も頑張ろう!という区画をちゃんと作ろう・・・という」と、住民から意見が出たそうです。これは、行政だけの町づくりではありえないアイデアではないか、と高橋さんは話しています。

明日も、女川の町づくりについてお伝えします。
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パーソナリティ 鈴村健一

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