2014年10月14日

10月14日 雄勝町・学校再生プロジェクト「moriumius」2

引き続き、宮城県石巻市・雄勝町の学校再生プロジェクト、moriumiusのレポートです。

雄勝半島の山の中腹。森を背負うように建つ旧・桑浜小学校の木造校舎を再生して、こどもたちのための複合体験施設を作る・・・というのがmoriumiusです。

この再生には、およそ2500人のボランティア、地元の住民、そして、この地域で支援活動を続ける様々な方が関わっています。その一人が、町づくり団体、SHINOMAKI2.0のメンバーで建築家の西田司さんです。



◆90年分の価値を残してあげたい
行っていただくと分かるが、築90年の建物が風雨にさらされて半壊している。それはむしろ美しい。そこを新しくアルミのサッシを入れる、綺麗な壁を作ると学校自体はきれいになるが元々の面影、小学校としての懐かしさ、風や光が潤沢に入る状態は維持できない。いまの半分壊れているものを価値として残して、次に使うお子さんたちが昔の建物の良さを引き継いでいけるような計画になればと思い、黒板や窓枠、自然と近い距離を感じられる風情を、美しいと感じられるあの状態をなるべく残して、ここを直しに来た人たちの手の跡も含めて価値なのではないかと、そういう部分も残して、ということを意識的にやっている。


moriumiusの屋根材は、東京駅の駅舎でも有名な、雄勝産のスレート。美しい反面、木造建築の屋根としては重さがあるんだそうです。そこで西田さんはこの屋根を生かすための耐震補強などをサポートしたということです。moriumiusのオープンは来年の夏。建築家・西田さんはその完成図を、どんな風にイメージしているのでしょうか。

◆未来を一緒に作る
雄勝は森と海が豊かで、そこから子どもたちが学べることは多い。これは都会や仙台ではできないという話がよくでる。この学校はベースキャンプ的な役割で、ここに来た子どもたちはそのまま裏山に抜けることができる。沢に登り、自然体験やキャンプをして、ツリーハウスを一緒に作ったり。フィールドアスレチックのようなロープを使って山を登る体験などもできる。それがこの施設の価値。建物の中に「閉じる」のではなく通り抜けて山に行って戻ってくると、山や地域のものを使った食堂で食事ができて、夜は校舎を改装した宿泊施設で眠る。今実はお風呂も手作りで作成中。地域の方々と露天風呂のDIYワークショップをやっていて、ウッドボイラーという森林から取れるウッドチップで使えるボイラー付きの露天風呂。やっぱりこれだけの人が一つの場所を作るのに関わっている、昔からある小学校に色んな人が関わっているということだけではなく、新しく未来を作っていくことに関わるというのはすごい価値。デザインとは一人がこういう風にやるとカッコよくなるよ、と届ける価値もあるが、色んな人が参加して繋がり、自分もそこに手を入れて積み重なる価値もデザインだと思う。色んな人の参加、想いの積み重ねがそのまま学校になると良いのではないかと思う。


moriumiusという名前は、森と海と「明日(あす)」、そして「us(わたしたち)」という意味もこめられたネーミングです。オープンは来年夏。60人が泊まれる宿泊施設、レストラン、多目的スペース、工房、そしていままさに「露天風呂」が作られています。ちなみにお風呂は地元の方の強い要望もあったそうで、土壁、雄勝石の床、竹の壁など、すべて地元の材料で作られるということです。




また、旧桑浜小学校を卒業した方は、20代から90代までいるそう。自分の母校がこうして生まれ変わることを、すごく喜んでいるということです。

2014年10月13日

10月13日 雄勝町・学校再生プロジェクト「moriumius」1

今週は、宮城県石巻市・雄勝町の学校再生プロジェクト、続報です。

石巻市の北東部の小さな半島の町、雄勝町。リアス海岸の山あいに、集落が点在する町です。人口は震災前の4300人から、現在は1000人ほどに減少しています。

そんな中、立ち上がったのが『雄勝 学校再生プロジェクト』。この小さな町にある、木造の古い小学校を利用して新たな施設を作ろうというものです。

今年6月に番組でも紹介したこのプロジェクト。実は完成が近づいているんです! 先日は、東京都内でメディア向けの報告会も行われ、プロジェクトの新しい名称も発表されました。

◆森と、海と、明日の私たち。
雄勝学校再生プロジェクト改め「moriumius(モリウミアス)」という名称2015年、来年夏に開業を目指して準備をしている。旧桑浜小学校という町立の1923年設立して、2002年に閉校になった学校がある。震災の影響も高台なので特になく、雄勝学校再生プロジェクトを昨年4月から始めて来た。子どもたちの教育を地域の方々がもっともっとやっていこう、それによって地元の子どもももちろんだが、人口が減った町に交流人口を呼び込んで、それを地域の雇用につなげて、それに関わる方々と雄勝町を作っていこうということを目的に活動をしている。築90年の木造校舎それぞれの教室を宿泊部屋やレストラン、子どもたちの体験工房、外の露天風呂も製作中。モリウミアスというのは子どもたちにとって我々が見ることのできない未来を創るうえで自然と繋がる、自然の中で生き抜くことが重要になっていく。これからは特に重要になる。そうした経験をひと夏、週末だけでも感じ取ってほしい。


お話伺ったのは、プロジェクトをサポートする団体Sweet Treat 311の油井元太郎さん。
この、こどもたちのための複合体験施設『moriumius』は、来年夏にいよいよ開業する予定。改修作業にはこれまで、2500人を超すボランティアと地元の方々が関わり、特に、屋根に使われる雄勝特産のスレートは、ボランティアによって全て綺麗に磨きなおされ、職人さんが丁寧に張りなおしたんです。

さて、この報告会では、moriumiusのレストラン用メニューも振る舞われました。雄勝で子どもたちの料理教室を続けてきた、真鍋摩緒さんに伺いました。

◆命を頂くことを伝えたい
2年の料理教室の経験を経て一番感じたのが、雄勝という土地がすごく海にも山にも近いという環境が命を作っているというのをリアルに感じさせてもらえたこと。そして食材自体が、鮮度が良いレベルではなく命がそのまま運ばれてくるような場所での料理教室なので、レストランといってもご飯が食べられるだけでなく命を感じさせてもらえるようなレストランというイメージを持てるようになりたい。みなさんが言うのおのがホタテ。甘くて肉厚。ホタテにかぶりつく。という衝撃。ホタテの漁にいって、水ではなくその場の海水で洗う。醤油もいらない。海水の塩分でそのまま食べるのを経験したら、この食べ方が最高だというのを感じられる。それを漁師さんが楽しそうに話しているのを漁船の上で聴ける。命があるものを自分自身でさばき、とりこむ。命を頂いているというのを改めて感じる。生かされているという気持ちをこういうところで感じながら思い出の残すというのを大人になった私でも発見できた場所。料理教室では、魚やシャケをバンバンさばかせる。子どもたちに。内臓もでるし血も出る。いやだ怖いという声も出る。「だって生きているんだもん」ということを伝える。そうすると途中で意識が変わる。命をもらったんだというのを感じながら全部食べる。単なる勉強ではなく五感を使って心を動かして出来る料理教室。それを感じながら楽しめる空間にしていきたいなと、スタッフと話しているところです。


こちらがmoriumiusのレストランのメニューです。
レストランでは、雄勝のお母さんたちの知恵を取り入れながら、雄勝の四季の食材を使ったメニューを、今まさに考案している最中とのこと。



そして現在。moruumiusでは来年夏のオープンへ向けて、『露天風呂づくり』が進んでいる最中。きのう10月12日もボランティアの方を集めたお風呂作りワークショップが行われたということです。

明日もmoriumiusについてお伝えします。
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 664 | 665 | 666 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN