2012年6月4日

6月4日「震災の記憶を呼び起こす建造物『震災遺構』(1)」

震災で倒壊した建造物や、陸上に乗り上げた船など、震災の記憶を呼び起こす建造物のことを「震災遺構」といいます。
その「震災遺構」を撤去するべきか、それとも保存するべきなのでしょうか。

建築と社会の関連性を研究している東北大学大学院工学科・五十嵐太郎教授は、宮城県女川地区の倒壊した建物を保存するプロジェクトを立ち上げました。

◆記憶の拠り所
 もちろん瓦礫が片付いていくのは、復興の中の一つの側面だが、早く片付くところはあっという間に何も無くなって風景が変わる。最初に訪れた時は“街がそこにあって壊れた”ということがわかるが、2回3回と訪れると、そもそもそこに街があったということすらわからなくなって、街が壊れたという記憶すらわからなくなる。記憶の拠り所が消えていくと感じた。
 津波自体は人間のテクノロジーでは抑えることはできないので、繰り返し襲ってくる。街の中に何らかの記憶を残すことはあったほうがいいと思う。震災や津波の(記憶の)拠り所となるようなものが必要。
 南三陸町の防災庁舎も、花を手向ける人がいるが、何もない更地だとどこにもよりどころがない。防災庁舎は被災者感情に配慮して、つらい記憶がよみがえるということで、この夏くらいに壊すことになっている。しかし、いま生きている人のことだけを考えるとそれは一つの判断だが、長期的に考えると、物や建物は人間より長く残る。
 これだけ激しい地震と津波が来るのは我々が生きている間には無いかもしれないが、むしろこれから生まれる未来の人、あるいは今回の津波で亡くなった人のことを考えると、今回起きたことは我々のものだけでなく、もっと時間を越えている。
 特に巨大な震災がくるスパンは、人間の一生のサイクルと大分ずれているので、ちょっと視点を考えないと、なぜ(震災遺構を)残すかということにはならないと思う。


◆時間が経つとわかること
 広島の原爆ドームも、劣化しないように“廃墟の状態を維持する”という不思議な保存の仕方をしている。
 1950年代の終わりくらいに、壊すという話もあった。戦後の復興が一段落したときに邪魔になったんだと思うが、当時建築家が遺すべきという議論があった。今からすると原爆ドームを壊すという選択肢は考えられないと思うけど、戦争が終わって10年くらいのスパンだったら「原爆ドームなんて壊しちゃっていい」という選択肢もあったが、50年60年と経つと、それはないだろうという話になる。
 それと同じ話で、東日本大震災の震災遺構も時間が経つとわかることもあると思う。

2012年6月1日

6月1日「気仙沼大島の観光」

宮城県・気仙沼大島で行なわれた「気仙沼大島ランフェスタ」。
会場には、島の特産品を販売するブースも並びました。

気仙沼大島では、もう一つの産業の柱「観光業」も震災の影響で大きく冷え込んでいるのが現状です。

大島で民宿「黒潮」を営む、堺健さんにお話を伺いました。


◆震災以降、観光客はいない
 (震災当日は)気仙沼市内に仕事に行ってたので、それから4日間ほど避難所にいて、5日目で大島に帰ってきた。
 気仙沼から大島を眺めると、湾内が火事で真っ赤になっていたし、大島のほうにも飛び火しているのがはっきりとわかったので、とても心配した。大島でも行方不明を含め31名の方が亡くなった。大災害だったと思う。
 現在、インフラがまだ直っていない。港が沈下し、海水浴場も砂浜が半分ほど海の方にずれこんだ。直すのは大変だし、街灯や案内所が無いなど、なかなか観光のお客様がいらっしゃらないのが現状。
 昨年はボランティアの方やお仕事の方が泊まられるということで、観光客はゼロ。


震災による火災の影響で、島のシンボル「亀山」のリフトが停止。
震災前には50件ほどあった島内の宿泊施設は、いまでは20件弱まで減少しています。


◆大島の観光
 ここは三陸沖を控えて、沿岸漁業が大変盛んなところ。
 カキ、ホタテ、わかめ、昆布、ホヤとか、秋だとサンマとか戻りガツオ。マグロ漁は通年ある。
 また大島は「緑の真珠」と言われるほど年中 緑が目立ち、さわやかな風が吹く。きれいな海岸線を見たり、特に亀山の展望台からの眺めは「松島以上だね!」と言ってくださる方も多い。景観と食を求めていらっしゃるお客様が多かった。
 今は、やっとわかめの養殖が例年の7割程度の生産に回復したが、カキやホタテの養殖は今年の秋、または来年の春ごろ。食材が十分揃っているというわけではないが、震災前の8割くらいの食材は手に入るので、観光の方が来られてもおいしいものは召し上がっていただけると思う。
 せっかく遠くからボランティアで来られても、気仙沼や大島がどんな島かまったくわからないで帰るのはおかしいと思うので、ボランティアの方にも亀山の展望台や竜前崎などを無料で案内している。
 ボランティアの仕事が半分、あとの半分は大島を知ってもらう、大島の人と接してもらうと、もっと大島のことを理解してもらえると思う。



大島は、三陸のリアス式海岸を海側から一望できる「亀山」、
足を踏み入れると「クックッ」と音がする「十八鳴浜」、
そして、島の最南端に位置する岬「龍前崎」など、観光資源が豊富な島です。





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