2014年2月17日

2月17日 東北メディカル・メガバンク機構(2)

「被災地の医療を復興し、住民の健康をサポートすること」
「震災をひとつの契機として、東北発の次世代型医療を構築すること」
この2つを目的に立ち上がったのが『東北メディカル・メガバンク機構』です。

中心となっているのは、東北大学、医学部です。地域医療支援部門の部門長で内科のドクター、清元秀泰先生は、もともと腎臓疾患が専門。被災地の医療復興の現状と課題を、このように話してくれました。

◆被災地における透析医療問題
わたしが被災地医療に腎臓で入ったなかでは、透析患者さんは、週3回血液をきれいにする治療を受けなければ、死んでしまう。血液透析は一回に120リットルの水を使う。10人だと1,2トンの水を確保しなければいけない。だから、被災地医療の中で透析を続けていくことが非常に困難だった。
気仙沼市民病院は周辺が水没したが高台だったためなんとか透析を最低限回すことができたが、南三陸町や岩手県の陸前高田や大船渡から命からがらたどり着いて、避難所から通って来られる透析患者さんもおられた。われわれもベストを尽くしていたが、なかなか各地域の医療施設の復旧が進まず、自衛隊の協力も得て80名ぐらいの患者さんを北海道へ運んでいったりした。3か月間くらい北海道で「医療疎開」という状態になった。そんな中で、いまも「透析医療」という観点からいうと、病院がまだ透析室をきちんと復旧できない地域がある。週3回透析を受けないと命があぶないという人達は、いまも内陸部のほうの病院で通院されている。早くなんとか医療復興してほしいと。
医療復興とは、建物のインフラも大事だし、それを担当する医療人材を地域に戻すということもあり、ものすごい大事業。わたしたちが地域の循環型医師支援システムを使って医師を地域に戻せる仕組みをつくっているのは、大きな意味があることだと思っている。


お話の中にでてきた、「循環型医師支援システム」とは、地域医療と大学病院での勤務をセットにして、若手の医師に幅広いキャリアと経験をつんでもらう、という取り組み。これも「東北メディカル・メガバンク機構」の事業の柱の一つです。

あすも「東北メディカル・メガバンク機構」についてお届します。

2014年2月14日

2月14日 東北メディカル・メガバンク機構(1)

今日からシリーズでお届けするのは、『東北メディカル・メガバンク機構』の活動です。

東日本大震災の後、東北の被災地ではカルテが津波で流出したり、病院が被災して、通院が困難になったりしました。 また、長引く仮設住宅での暮らしから、健康に不安を抱えて暮らしている方も少なくありません。

「被災地の医療を復興し、住民の健康をサポートすること」
「震災をひとつの契機として、東北発の次世代型医療を構築すること」
この2つを目的に立ち上がったのが、「東北メディカル・メガバンク機構」。
中心となっているのは、東北大学医学部です。

今日まず、被災地医療の現状を話してくれるのは、 「東北メディカル・メガバンク機構」の地域医療支援部門、部門長、清元秀泰先生。内科のドクターで、地域支援気仙沼センター長でもある清元先生は、震災直後から度々気仙沼に足を運び、住民の皆さんの声に耳を傾けてきました。

◆震災から3年。復興や健康に「濃淡」が生まれている
被災地域で、これから気をつけていかなければいけないことは、復興というのは一斉に起こっているわけではない、ということ。復興とは道がきれいになった、建物が建ったというだけではなくて、健康な人が経済的にもうまくいって、仮設住宅を出て行ったひとは、それはそれでリセットして、頑張っていける。ところが、自分の仕事の基盤が回復していなかったりすると、隣の人は復興住宅を建てた、いい仕事についていきいきとしているのと比べて、復興に濃淡が出る。最初のうちは、一緒に力を合わせてそのことがメンタルにも悪影響を及ぼすことになる。
もう一つ。人によっては喪失体験が違う。時が経つと納得できる喪失もあれば、自分より若い兄弟や子供さんなどを亡くした場合、復興のために前を向けといっても、なかなか前に向けない人もいる。そうした精神的な濃淡、経済的な濃淡があって、地域の方たちの共通の意識が薄れていく、かえって溝が深まる場合もある。
だから、気を付けていることは、個別個別に懸案事項があるということ。これはまさしくメディカル・メガバンクが個別化医療と言っていることと同じで、個人個人にフィットしたカウンセリングをやっていく、ということ。

 「東北メディカル・メガバンク機構」では、医療情報の電子化や医師不足の解消など、さまざまな課題に取り組んでいますが、清元先生のお話にあった「個別化医療」もその一つです。

現在、宮城県を中心に「コホート調査」という健康調査を実施。住民一人一人の環境や食事、健康状態を調査し分析して、そのデータを「現在」だけでなく「未来の健康」に役立てようというものです。一人一人のカラダにあった、「自分だけのオーダーメイド医療」が、すでに東北でスタートしています。
来週は、この「東北メディカル・メガバンク機構」についてさらに詳しくお伝えします。

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パーソナリティ 鈴村健一

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