2013年9月26日

9月26日 WWFジャパン「暮らしと自然の復興プロジェクト」(2)



東日本沿岸部の生態系の回復と水産業の復興を目指して行う、このプロジェクト。モデル地区の一つ、宮城県南三陸町戸倉地区では、先日子どもたちのための「シュノーケル観察会」と「海に関する学習会」が行われました。およそ30人の子どもたちが、シュノーケルやフィンを身に付けて、志津川湾の海へ。海を正しく理解し、今後の課題を見つけるのが目的です。

そして、このプロジェクトは、地元の教育関係者、漁業関係者のサポートも得て、行われています。お話は、漁業関係者の父兄で組織する「戸倉地域スクール」の代表、後藤清広さん。後藤さんは、戸倉漁協で、「カキ部会」の代表も務めています。

◆カキの養殖。いまが正念場。
地域の子供たちだが、意外と海に潜ったりすることが少ないので、ぜひとも地域の海を見てほしいという気持ちがあったので、非常に良かったと思う。
わたしたちは津波を経験して、いままでの環境を無視した(過密な漁や養殖の)やり方について、自然を征服したような気持ちになっていたけど、それが全然間違っていた、と。津波で全て失って、やはりこれではいけないと。今後20年、30年やっていくなら、津波も低気圧も災害もすべて受け入れて、品質で勝負しようと。がらっと経営を変えていくために、いかだの数を3分の1以下にして、生産のサイクルを早めて、災害のリスクもコストも減らす方向に。いままで2〜3年かかったものが、いまは1年でも生産できるようになった。こうやってなんとか次の世代に海をつないでいくための、いまは正念場。頑張るしかない。





◆シュノーケル観察会に参加した子どもたちの感想
「海の力と書きました。海でいろんな生き物を発見しました。フグとか小魚とか。」
「シュノーケリングで知ったこと。いろんな魚がいたのがわかったし、潜ったほうがどんな魚がいるのかがわかって、海の色とかもわかって、もっときれいだなと思うようになった」。
「震災後初めて海に入った。海の中はわたしが思ったよりすごく透き通っていて、魚とかが泳いでいた。津波のときの海から創造できないくらいきれいでした。」
「去年と比較してアマモ(海藻)の漁は去年より多かったんじゃないかと思う。震災から復興しているのが見えたし、来年はどうなっているのかなと思っています。」


戸倉地区では、震災をきっかけに養殖するカキの数を減らし、「大型カキのブランド化」で生き残りを図っています。養殖密度が下がって、カキに栄養が行き渡り、以前よりも、早いサイクルで、大きなカキがとれるようになったとか。次の世代に、海と漁業をつなぐ取り組みが続いています。


2013年9月25日

9月25日 WWFジャパン「暮らしと自然の復興プロジェクト」(1)

WWFジャパンが、東日本沿岸部の生態系の回復と、水産業の復興を目指して行う「暮らしと自然の復興プロジェクト」は、宮城県南三陸町戸倉地区と、福島県相馬市松川浦の2カ所がモデル地区に選ばれています。

9月の上旬、南三陸町戸倉地区で行われたのは、子どもたちのための「シュノーケル観察会」と「海に関する学習会」です。ウェットスーツにシュノーケル、フィンを身に付けて、子供たちは海の中へ。お話は、WWFジャパン自然保護室・海洋プログラム担当の前川聡さんです。

◆海の楽しさ、美しさを知ってほしい
震災以前から志津川湾は非常に貴重な環境だということで、環境省がラムサール条約(湿地や海を守るための国際条約)の候補地にしていた地域。これは非常に豊かな海藻が生えている、ワカメだけでなくアマモやアラメなどたくさんの海藻が生えているのが特徴的。
一方で、ここは養殖業や漁業が盛んな地域。豊かな自然と漁業がどう共存していくのかを、震災をきっかけに戸倉漁協の方たちも見直しをされているところ。それをぜひ応援して、豊かな自然と漁業が共存する街造りを進めていきたいと思う。
また震災をきっかけに、次世代を担う子供たちが海を正しく理解することも大切。海がいまどういう状況なのか、課題がなんなのかも知ることも重要だと思う。震災をきっかけに海と子供たちが接する機会が減っているので、まずは海の楽しさ、美しさを知ってもらおうと、地元の方の協力を得て、実施しているところです。


◆シュノーケル観察会に参加した子どもたちの声
「動くとにごってるけど、(海の)中はきれい。魚とかクラゲとかいる。」
「ウニです。岩場に張り付いていて、とるのが大変だった。このごろ釣りをやってもあまり釣れなくなったので生き物がいなくなったのか、心配していた。思ったよりガレキとかが少なくて、よかった。」
「魚とワカメ。たくさん。楽しかった。」
「やっぱ海いいです。楽しいです。ちっちゃいころから泳いでるので、久しぶりに泳げて懐かしいなと思いました。」


子供たちと一緒に海に潜った前川さんは、「志津川湾に豊かな自然が戻りつつある」と実感したそう。これをどう維持していくかが、今後の課題です。

また、震災直後は海に入るのを怖がる子供たちもいましたが、この地域では、暮らしと海、暮らしと漁業を切り離すことはできません。子どもたちが「海を正しく理解すること」が、漁業を中心とした地域の活性化にもつながると、前川さんは語ってくれました。

WWFジャパン「暮らしと自然の復興プロジェクト」
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パーソナリティ 鈴村健一

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