2013年6月26日

6月26日 宮城県亘理郡山元町「災害公営住宅」(3)


今週は、宮城県亘理郡山元町から、「災害公営住宅」に関するレポートをお届しています。
山元町で「第一期」として建設されたのは18棟。4月から入居がスタートしました。ただ、入居者はそれぞれ、元の住まいも世代も様々で、お互い面識もありません。そこで町では、入居者同士が交流を深められるよう、サポートを行っています。その一つが、「顔合わせ会」と呼ばれる、懇談会。

お話は、山元町まちづくり課の班長、齋藤哲さんです。

◆18世帯のコミュニティの動機づけ
4月1日に18世帯の方に災害公営住宅に入っていただいて、生活もようやく落ち着いてきて、まわりの方とのコミュニティを、という動機づけを行うために、5月に一回目の「顔合わせ会」を行いました。その中でいろいろな宿題が出て、ごみ集積場の掃除の当番をどうしようとか、回覧板の配布方法はどうしようかなどを議論して、今日は懇談会という形をとらせていただきました。


<懇談会の様子>
司会者:次の4番の方に進みたいと思います。皆さんで決めることということで、ゴミ集積場の清掃。準備物としてホウキとチリトリが必要だと思う。購入費用については、皆さんで出しあっていただいたが、じゃあ誰が会計をするのか。となると、町内会というような感じになると思うが。
入居者:掃除当番といっても徹底しないと思うので、掃除当番という札を回していったらどうだろう。

6月中旬に開催された2回目の「顔合わせ会」には、入居者のうち12世帯が参加しました。役場のまちづくり課の職員が司会役で、町への要望を聞いたり、入居者の意見を引きだしたりしていました。再び、まちづくり課の齋藤さんです。

◆災害公営住宅のコミュニティづくりを後押ししたい
皆さん顔と名前が一致したので、いいコミュニティになってきたのかなあと思う。
出身の行政区が違う方がいることがわかったと思う。前はこうだったということをぶつけあって構わないと思う。スタートから、ゼロからやるっていうことは、皆で話し合って合意形成をしながら、小さいことでも話あって、小さいコミュニティのルールをつくっていければ、それが一番ベストだと思う。
行政としては、そういうものの動機づけと、背中を教えてあげたい、という気持ち。


仮設住宅では「被災者」という立場ですが、「災害公営住宅」に入ったら、自立した「一町民」。「災害公営住宅」への入居は、そのターニングポイントでもあると、齋藤さんは話していました。

ちなみに、宮城県全体で建設が予定されている「災害公営住宅」は、およそ1万6000戸。このうち、5月末現在で、建設が完了しているのは、50戸です。山元町での取り組みが、他の地域の「モデルケース」になっていくのかもしれません。

2013年6月25日

6月25日 宮城県亘理郡山元町「災害公営住宅」(2)


山元町では今年4月、宮城県で初めて、「災害公営住宅」への入居が始まりました。現在建設されているのは18棟。このうち、17世帯がすでに入居して、新しい「我が家」での生活をスタートしています。

先日スタッフが、この「災害公営住宅」にお邪魔しました。お話を伺ったのが、70代の、岩佐盤石さん。優しい表情のおじいちゃんです。岩佐さんは、奥さんと二人で、この「災害公営住宅」に入居しました。

◆「やっと安心できた」
浜通りにあった家を津波で流されてしまって、ここに申し込んだ。
不満はいまのところない。快適。大げさなようだけど。感謝している。ここに入る前は、不安だらけだった。先がどうなるかと。俺がアウトになったら、うちの家内から始まって、皆心配するでしょう。ここに入って、顔色よくなったって、皆に言われる。
もともと震災前に隣部落の人たちだった。こうやって話をしているとつながりが出てくる。一人では生きていけないから。これから我々も仲間を作って、協力し合って、余生を行きたいと思っている。


岩佐さんが夫婦で暮らしていた隣町の「みなし仮設」のアパ―トは、広さおよそ30平米。一方、「災害公営住宅」は2DKで、広さはおよそ65平米。なにより「将来の住まいへの不安」から解放されたことが、大きいといいます。
    
一方、お家の前で、岩佐さんと立ち話をしていたのは、渡辺みつ江さん。渡辺さんも70代です。プレハブの仮設から、この「災害公営住宅」に引っ越してきました。
    
◆「仲間が欲しい」
(手に持っているのは)シソの葉。自分でプランターで作っている。これでシソ巻するの。仮設にいたときにもプランター10個ぐらい作っていて、仮設の仲間とのお茶会のときは、一人一つパックでおすそ分けしていた。
今はできないの。やっぱり仲間が欲しいんだな〜。それだけだね。
わたしは一人暮らし。津波の前に夫が亡くなったから、一人暮らし。気楽でいい。


小さなお子さんと2人暮らしの29歳、千葉さんは

◆「家で過ごす時間が増えた」
取り急ぎ仮設住宅を出たかった。仮設は狭い。私達(子供と2人)だったら1Kしかなかった。6畳で、台所も寝るところも一緒だったので、こたつ置いて布団ひいたら何もできなかった。
あまり仮設に居たくないから外にいる時間が長かった。この家の抽選が当たったら、パッと家に帰ろうというようになった。「落ち着くなー」という感じがしますね。


震災から2年以上、まさに「ようやく」といった感じです。
それぞれ、別の仮設やみなし仮設から入居してきているので、お互い面識がなく、いま少しずつ、信頼関係を築いているところ。入居者同士の交流を深めるための「懇親会」も行われています。

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パーソナリティ 鈴村健一

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