2013年5月23日

5月23日 視覚障がい者の語り部(1)

今週は、震災の記憶を語り継ぐ、様々な取り組みをご紹介しています。

今日は、視覚障害者による語り部プロジェクトです。東日本大震災で、視覚に障害を持つ方の犠牲者は、「割合で」いうと、健常者の2倍以上とも言われています。

今回、東北の三県の視覚障害者団体から、およそ20人の語り部が登録され、今月から活動を始めます。岩手県 視覚障害者福祉協会の理事、及川清隆さんのお話です。

◆視覚障害者が体験した震災と教訓
語り部プロジェクトとは、7団体で組織する東北盲人会連合がはじめるもの。視覚障害を持つ人の生の声の風化を防ぐ、行政施策、地域のこれからの防災や町内会のコミュニティの形成、視覚障害者の避難場所、避難後の生活への理解を促すことが目的。

語り部の陸前高田市の男性は、大津波が来ることを聞き屋外へ出たが、目が見えず避難できなかった。しかし色んな人の手引きを借りて、リレーのように避難所までたどり着いた。しかし避難の手引きをしてくれた人を探したが亡くなっており、お礼を言えなかった。その方は、自分の命の大切さを実感してその人の分まで生きたいと話す。この話の教訓としては、まず視覚障害者の避難システムが人的にもマニュアル的にも出来ていない。それを構築しなければいけないこと。たまたま先ほどの方は、地域の活動に参加していたので手引きを受けられたが、地域とかかわりを持っていない人はどうすればよいのかという課題がある。語り部のお話で、町内会単位でどうするのか。障害者の方をどう支えるのかというコミュニティの形成、地域力を高めるための一助にして頂きたいと感じている。


及川さんによれば、「阪神大震災の教訓が、ほとんど生かされていない」といいます。
また、語り部の方の経験談から分かる課題は多く、例えば、震災直後の避難所生活の「トイレの問題」、大勢が寝泊まりする避難所での「移動の問題」も、今後、備えが必要です。

視覚障害者の語り部プロジェクトは、今後、語り部の派遣も受け付けます。

問い合わせ先・・・日本盲人会連合 03−3200−0011

明日も、視覚障害者の語り部プロジェクトについてご紹介します。

2013年5月22日

5月22日 語り部タクシー(2)

今週は、震災の記憶を語り継ぐ様々な取り組みを紹介しています。今日は宮城県仙台市、「仙台中央タクシー」の『語り部タクシー』です。

講習を受けたドライバーが、利用者を仮設住宅や被災エリアに案内して、震災の被害や状況を説明してくれる、というもの。今回スタッフを案内してくれたのは、ドライバー歴8年の、田口寛之さんです。車はまず仙台市内の仮設住宅に立ち寄り、その後、津波被災地区に向かいました。
    
◆語り部タクシーに乗車、荒浜地区へ向かう(田口さんの説明を聴きながら)
−ただいま東部道路をくぐり、海辺のほうに向かっていきます。横に見える田んぼは、やっと2年たってあぜ道をつくって直しているところ。2年前はあぜ道もなくなり、田んぼという感じには見えなかった。いろいろ流されていたものが転がっていた。
−もう少し行くと、仙台の海水浴場があった荒浜地区。そちらのほうには住宅地もあり、1F部分およそ5メートルの津波が押し寄せた。
−(荒浜地区につきました)この辺りは800世帯2700人の住民がいた。ここでは186名の方が亡くなっている。荒浜小学校のところで、およそ4.6メートルの津波が来たところにいま、います。
−荒浜小学校では震災当日は一旦は校庭に避難したが、その後校長先生がマニュアルを変更して、避難場所を校庭でなく校舎の3F以上に避難した。そのおかげで児童たちは助かった。
−ただ一人だけ亡くなった児童の方がいる。小学校3年生と1年生の姉妹のうち、先に下校した妹は、隣の家の人と逃げて助かったが、親御さんが3年生の児童を学校から引き取り、下のお子さんを探してたときに津波が押し寄せて、親御さんと3年生のお姉さんが亡くなって、1年生の妹さんが震災孤児になってしまった。妹さんは親せきの方が引き取って、現在陸前高田市の方で暮らしている。
               
所要時間は2時間。小型タクシーなら定員は4名で、料金はおよそ1万円です。「仙台中央タクシー」では、現在およそ30名のドライバーさんが、「語り部タクシー」を走らせているそうです。

仙台中央タクシー「語り部タクシー」
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パーソナリティ 鈴村健一

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