2016年5月13日

5月11日 熊本地震 西原村の現状(3)

熊本地震で甚大な被害を受けた地域の一つ、西原村からのレポートをお届けします。

震度7の激しい揺れで家屋の多くが倒壊した西原村。この西原村にいち早く駆け付けて支援活動を行なっているのが、阪神・淡路大震災を機に立ち上がり長年ボランティア活動を続けている「被災地NGO恊働センター」。お話しを伺ったのは、元代表顧問の村井雅清さんです。

先週のゴールデンウィークには、全国から多くのボランティアが駆け付けた熊本。しかし各市町村によって受け入れ態勢が違っていたり、集まるボランティアの数に偏りが生じて力を発揮できなかった人も少なくなかったといいます。こうしたボランティアの受け入れを限定せざるを得ない現地の事情とは、どういうことなんでしょうか?

◆ボランティアの受け入れ限定
ボランティアの受け入れを限定しないといけないというのは、まだまだ余震が続いて、二次災害、土砂災害、さらなる倒壊があるとなると、制限なしにボランティア来てください、という訳にはいかない。幾らでもニーズはあるんですけど、そのニーズをきちっと整理をして、ボランティアとマッチングさせる能力が不十分というふうに思います。ボランティアの数に格差もずいぶん出てきてしまって、益城町はすごく注目されたから、殺到して早々と限定していたので、実際には300人前後しか行っていない、西原村は被災者数少ないにもかかわらずボランティアは多いですね。西原村は「12時に受け付け終わりますよ」という条件は有りますが、対象は全国です。どこから来てくれてもいいですよ、と。熊本市のボランティアセンターも「九州在住」と広げていますが、あとは「県内」と限られています。甲佐町(こうさちょう)というところは最初二十数人しか来なかったので、「県外」に広げて、次また「九州在住」に広げないと、ボランティアが集まらない、こういう所もあります。


余震が続いて、土砂災害のリスクもある中、活動が制限される。そして、メディアに取り上げられるところは人が集まるけれど、そうじゃない地域にはなかなか人が集まらない。情報の集約と発信がまだまだうまくいっていない状況があるようです。
そうした情報の精査が難しいなか、ボランティアに参加する方法のひとつとして、活動に慣れた団体を通じて参加する、というお話しも有りましたが、その一つでもある村井さんの「被災地NGO恊働センター」の活動スタイルについても伺ってみました。

◆ひとりひとりの被災者の声を聴く
私たちのチームのスタッフは、被災地の片づけをしている時に、ひとりひとりの被災者の声を聞いてくるんですが、それがとても重要で、ひとりひとりの被災者が言っておられることを出来るだけ受け止めて、何が出来るか?ということを返す、ということが必要なんです。私たちの今のやり方は、現場の近くに「サテライト」を置いてニーズに対して対応する、というやり方をしているので、被災者により近いところでニーズを受け止めて、必要なところで必要な人数を送り、必要なことをやり遂げる、こういう方針でやっています。今までは「本部」のボランティアセンターが一つあって、そこにニーズが上がってきてニーズを整理して人も派遣するというやり方をしていた。今回の本部というのは、それぞれの「サテライト」で上がってくる課題を、さらに本部のコアメンバーが、この問題についてはどういう解決方法があるだろうかということを「考える」メンバーがそこにいるわけです。例えば西原村は、いまカライモ(サツマイモ)の苗植えの時期なんですね。サテライトは、農家さんに行ったら農家さんが「カライモの苗植えが大変だから手伝ってよ」と言われたと。しかしそれってやっていいのか判断がいるから、そういうのは本部に相談しようと。それじゃ「ボランティアが余ってきたらそっちへ行ってもらったらいいよね」ということで、役場の農政課と交渉して、農協さんにも間に入ってもらって、交渉するのが「本部」の役割。いちばん大事なのは、被災者に寄り添って被災者の言葉に対応するボランティア活動をもっていくというのが理想ですね。


現地でボランティア活動を続ける「被災地NGO恊働センター」村井雅清さんによると、西原村の中に「本部」と「サテライト」を、3カ所設置。被災地者の身近なところで「声」を聞いて、迅速な対応を心がけているということです。

パーソナリティ 鈴村健一

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