2017年1月18日

1月16日 福島県沖の魚介類、放射線セシウム検査で基準値以下

1月16日はお休み中の中西哲生さんに代わって首都大学教授で法学者の木村草太さんとお送りしました。

先週、新たなデータが発表されました。福島県が沿岸海域で実施している魚介類の放射性セシウム濃度検査で、平成28年に採取した全ての魚介類が、国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を下回ったことがわかった、というもの。これは、原発事故後初めてです。

そこで、福島県いわき市の小松理虔さんに電話でお話を伺いました。小松さんは「いわき海洋調べ隊・うみラボ」の中心メンバー。福島近海の魚を自分たちの手で釣りあげて、自分たちで調べる民間の取り組みを2013年から行っています。

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木村)福島沿岸でとれた魚介類のセシウム検査で、すべての魚が国の基準値を下回ったというニュース、小松さんはどう受け止めらえましたが?

小松)これまで自分たちが自主的に調査してきた数値と重なることも確認でしたし、何よりも僕自身福島の魚の消費者ですので、福島の魚が安全であることを裏付けるデータが出たというのは、とても喜ばしいことですね。ただ「数値で安全が示される」のと「一般の方が安全だと思う」のは別の話。まだまだ福島沿岸の魚介類に対するアレルギーは大きい。それは市場の価格に直結する。漁業関係者もそこを心配しています。

木村)福島第一原発からは、いまだに放射性廃棄物が垂れ流されているのでは?といった懸念を持つ方もういると思いますが、そうした方にはどのようにお話しされたいですか?

小松)汚染水が垂れ流しであると誤解されている方も多いと思うが、実際に僕たちが計っている魚にサメがあるが、サメは比較的セシウムを貯めやすい魚だということがわかっている。その内、産まれたばかりのような若いサメからも微量にセシウムが検出されているので、今現在、完全に汚染水が食い止められているわけではない状態だと推測される。とはいえ、セシウムを貯めにくい魚種や一般的にわたしたちが食用として口にしている魚に関しては検出されるレベルではなく、基準値を下回っている。汚染水が食い止められているわけではないんだけども、流通するような魚には問題ないという現状。汚染水の現状と魚に出てくるデータをきちんと分けて考えなければいけないので、そういったところをどう伝えていくかが課題だと考えています。

木村)「うみラボ」では福島近海で魚を釣り、放射線量を測る調査を続けているそうですが、どんなことを感じますか?

小松)今まで試験操業をしてきたことで、つまり禁漁してきたことで福島近海は漁業資源がかなり回復してきている。そうすると今一番厳しい状況におかれている福島の漁業ですが、資源を管理する、資源を回復するという分野では裏をかえせば日本で一番豊かな海と言える。ですので今までの「汚染された海」というイメージではなくて、これから私たちの漁業資源をどう守るかという視点で福島の海を語っていけると、また1つ違った見え方ができるのかなと考えています。
だからこそ安全なデータを安心なデータだと受け取ってもらえるような情報発信の在り方に僕たちは注力していきたいなと思います。


「うみラボ」の活動や調査の結果は、オフィシャルサイトで詳しく見ることができます。

パーソナリティ 鈴村健一

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