2017年5月26日

5月26日 物理学者・早野龍五さんが考える「福島と放射線のいま」

ひきつづき、福島における放射線の「いま」について、東京大学名誉教授 早野龍五さんのお話しです。


早野さんは2011年の福島第一原発の事故直後から、ツイッターで放射線に関する情報を発信、現在も福島の放射線に関するデータを分析し、科学的根拠に基づく情報を伝えている方です。水曜日から福島の放射線量の現状、そして福島で生活する人たちの「不安」について伺ってきましたが、最後は、この春、避難指示が解除された地域に関する早野さんの見解です。

◆避難指示解除を受けて
この春にかなりの地域で避難指示解除が出されまして、待ち望んで帰還する方もいますしこれから帰ることを検討する方もいると思います。政府の基準としては〔年に20ミリシーベルトを超えないこと〕というのが基準になっていますが、まず第一に避難指示解除をされたような地域は、今戻って最初の年に20ミリシーベルトになるような地域な無いと断言できます。1ミリシーベルトは超えるかもしれない、あるいは5ミリシーベルトは行く方があるかもしれない。だけれどもちょっと注意して暮らすと2ミリシーベルトくらいに収まるかなという相場観ではあります。食べ物についてはよほど極端な食生活、常に山の中に入って食べるというような食生活をしなければ、食べ物によって目立つ内部被ばくをすることは無いと分かっています。まずは個人線量計を持ってどのくらいの生活をすればどのくらいの線量になるのか。それは本当はあそこまで行きたいんだけどちょっと我慢しているからこれくらいなのか、それとも自分が行きたいところまで全部行ってもその程度なのかをだんだんにわかっていく、そういうプロセスが必要なのではないかと思いますね。


この、年間被ばく線量をどこまで許容するかについては、いまも様々な意見があります。本当に安全なのか。そして安心できる状態なのか。この「安全と安心」の違いについて、早野さんの考えを伺いました。

◆安心と安全
よく「安心と安全は違う」と言われる。私はやっぱり安心と安全は違うと思います。科学をやって来た人間で測定をする、正しく測る、データを積み上げる、それによって十分に安全かどうかの判断をするための資料を積み上げてきた。それに基づいて個人的に私が判断すれば、いま福島に住むことは「安全である」と私は言います。ただしそのデータを見て納得されるかどうか、それは個人個人の問題で、多くの方は必ずしも納得はされない。「科学の問題としてはそうなんでしょうけど、やはり・・・」のあとに様々なことが続くと思うんですよ。政府の対応に対する不信、東電に対する不信であったり、私も含めた専門家という方々への不信であったり。それから、「そうはいってもなんとなく気持ち悪い」という。例えば私がよく2011年ごろに言われたのが、“入れ歯をトイレに落としたとしなさい”と。“それを良く洗いました”と。十分に消毒もしたし。だから口の中に戻すかというとなんとなく戻しにくい。そこのところが科学だけでは割り切れない様々な問題があるんだろうと思いますし、それを科学だけで押し切るわけにはいかないなとは思っています。


震災から6年2カ月を経た、福島第一原発近隣町村の現状。
今回、水曜日からの3日間の放送をお聴きになって、あなたは何を感じましたか? 番組あてにご意見を頂きたいと思います。このブログのメッセージフォームまで、ぜひあなたのご意見、送ってください。メッセージを送ってくれた方の中から抽選で5名様に、3000円分の図書カードをお送りします。

パーソナリティ:中西哲生・高橋万里恵

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