2017年7月19日

7月19日 災害時のSNS・法政大学 藤代裕之准教授3

引き続き「災害時のSNSの役割」です。

被災地や被災した方から、SNSを通じた 救援要請は、「本当に本人なのか」「古い情報ではないのか」などを、しっかり確認したうえでリツイートしないと、結果として 古い情報やデマ情報を拡散してしまう可能性がある…ということを昨日はお伝えしました。

では、逆の場合はどうでしょう。もし自分が当事者として、災害で孤立した時、どこかに閉じ込められた時。誰かの助けが必要な時。さらには緊急で支援物資が欲しい時。混乱を招くリスクがあってもSNSを頼ってよいのでしょうか。法政大学准教授 藤代裕之さんは、こう解説します。

◆命を守るためには
災害時に、自分が当事者として被災した場合。まずはSNSで発信するよりも119番や110番が先ですね。でもどうしても電話がつながらない、一方でインターネットはつながっていて家族と連絡ができるなら、SNSを使うことはあってもいいと思います。「助けてください」を見た人が119番をするのは非常に混乱を招く原因になるんですね。SNSの「助けてください」を見ても実際の現場がどんな形で、閉じ込められているのか、怪我をしているだけなのか、命が危ないのか、優先順位が消防の側には伝わらないんですね。私は、熊本地震でも現地の消防の方にヒアリングをしているんですが、いろんな電話がかかってくるらしいんですね。「SNSで見た、助けなくていいのか」と。でも消防の方からするとどんな状態か分からないし、どうしたらいいのかわからないということなわけですね。それを確認する電話をしている間に、もしかしたらふさがっている電話にもっと大変な人から電話がかかってきて繋がらないということが起こるかもしれないんです。なので不確実な情報を見て消防に電話すると消防の機能が麻痺しちゃうんです。消防の電話も無限にあるわけでは無いですから。SNS上で救助情報を見た方が電話をすると言うのは現場の状況が分からなけれれば慎んだほうが良いというのが基本的な考え方だと思うんです。状況がわかる、つまり閉じ込められてしまっていて息をしていて命に別状は無いが、足が挟まっていて痛い、どんな形で閉じ込められているのが分かる状態の人がしっかり電話して状況を伝えるということが基本だと思うんです。では、SNS上で発信するのやめたほうがいいんじゃないか、命が危ないのに助けてって言っていいのか、混乱するのでやめたほうがいいんじゃないかなと言うとそうではない。命は大事なので、出来る限り「助けてください」「支援物資が欲しい」「支援物資が欲しい」というものは自由に拡散できる方が良いと思うんですね。情報トリアージ(選別)みたいなことをして、社会的な負荷を減らしていく。みんながあまり無理せずに、やっぱりおじいちゃんから子供までいろんな人が使っていく中でリテラシーをあげてくださいというのは難しい。焦っていて友達が怪我しているような状況ではついついやってしまうわけです。やっても良い状態と、実際の救助支援の現場をどうマッチングさせるかというのがこれからの社会の大きなテーマになってくるのかなと思います。

パーソナリティ 鈴村健一

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