2012年5月29日

5月29日「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト(2)」

震災瓦礫を処理するのではなく、埋めた瓦礫の上に小高い丘・マウンドを作り、木を植え、防潮堤にしようという取り組み「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」
先日、細川護煕元総理を理事長とする財団法人も設立され、4月には岩手県大槌町で「森の防潮堤」のモデルケース作りの植樹祭が行われました。

このプロジェクトを指揮する植物生態学者、横浜大学・宮脇昭名誉教授は「森の防潮堤には、三陸沿岸部に昔から自生していた樹木を植えることが大切」と話します。

◆宮脇昭教授 - 防潮堤に適した樹木とは
 植えるのはタブの木が中心。常緑樹で根が真っ直ぐ深く伸びるので台風や地震、津波でも生き残る。
 シラカシやアカガシ、ウラジロガシなどカシ類。仙台平野から南はスダジイなど椎の木も入ってくる。それを支える同じく常緑樹のヤブツバキ、モチノキ、シロダモなどを混ぜて混植、密植する。



「タブの木」などは、真っ直ぐ根をおろし、マウンド深く埋まった瓦礫をしっかりとつかみ、頑丈な地面を作るそうです。
宮脇さんによれば、「土地本来の樹木は災害に強い」ということです。


4月に行われた植樹祭には、地元の方もたくさん参加。
小さな苗木にそれぞれの想いを込めていました。

◆参加された方の声 - 自分が植えたものを観る楽しみ
 大槌の仮設団地に住んでいる。地元だから大槌の復興を願って、みんなが和む森になればいい。
 山桜や紅葉もある。何年か後に、自分が植えたものを観る楽しみもできると思う。


◆参加された方の声 - もう一度立ち上がろうという気持ち
 もともと大槌に住んでいる。タブの木はうちにもあったが、津波には耐えたが全部燃えてしまった。 クルマも家も津波で流れた。きっとこのタブの木は大きくなる。
 1000年に一度の津波。一度は自然を恨んだが、やはり私たちは自然によって生かされている。
 瓦礫は世の中で邪魔扱いされているが、亡くなった人の想い、財産が入った(土地の)上に木を植えて、300キロの鎮魂の森を作る。何年もかかるが、それと共に荒廃した町が復興していくのも見られる。
 この1年で体を悪くしたが、こういうものをみると生命力が貰える。もう一度立ち上がろうという気持ちになれる。

 


大槌町の植樹祭には、細野豪志環境相も参加しました。

◆細野豪志環境相 - 生活の跡を生かすプロジェクト
 瓦礫と一言で言っても、家の跡や地域の鎮守の森が流されたりしている。
 (このプロジェクトは)生活の跡を一番いい形でやっていると思う。色んなやり方があるが、一番良いやり方。
 色んな人に関わって欲しい。全国の人に手伝ってもらえるといい。




「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」は将来的に、青森から福島までの沿岸部300?に渡る「森の長城」を作ることが目標で、政府・行政とも連携した大きな事業として、検討されています。

 

パーソナリティ 鈴村健一

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