2012年12月20日

12月20日 災害支援のプロ、NPO「Civic Force」の被災地支援(4)


今週は、東北の被災地でさまざまな支援活動を展開する、NPO「Civic Force」、東北事務所代表、勝田和一郎さんのインタビューをお届けしています。
今朝は、気仙沼市の「震災遺構」の話題です。

「震災遺構」とは、「震災」によって被害を受けた建物や打ちあがった船など、「震災の記憶をとどめる建造物」のことを差す言葉。「震災遺構」をどうするのか。各地で、いま住民の意見が二分しています。気仙沼の現状を伺いました。

◆気仙沼市の震災遺構「第18共徳丸」
−気仙沼市の鹿折地区に大きな船が打ちあがっている。震災直後、かなりの数の船が打ちあがっていたが、その中でも沿岸から800メートルほど離れた場所に、見上げるような船が打ちあがっている。その船をめぐって、いま住民の意見が大きく2つに割れている。
一つは、やはりそういうものは見たくないので早く撤去してほしいというもの。周囲になにもなくなった中で大きな船がどんと乗っているというのは、自分たちの街を取り戻したいという方には、見るだけで負担になるのではと感じる部分もある。
逆の意見としては、こういった災害は、体験した自分たちの記憶からも薄れてしまう、というもの。あの船を見ると、こんなに巨大な船が本当にここまで流されたのか、津波がどれだけ破壊的な力を持っていて怖いものかが、口で説明するよりよくわかる、という意見。特にこれから生まれてくる子供たちや、実際に地震を体験していない人たちが今後成長していく中で、ああいったものがあったほうが、震災の記憶を引き継いで、次の災害の被害を減らせるんじゃないか、という意見もあり、それもよくわかる。
気仙沼市長は「震災の記憶を残す」という意味で「保存したい」と言っている。住民の方が、いま、そしてこれからの街にいいのはどういう形だと考え、どのように決定するのか。わたしたちとしても見守っていきたい。


被災地の各地に残る「震災遺構」。保存の方向性が決まっているのは、岩手県宮古市の「たろう観光ホテル」など、ごく一部に留まり、その多くは保存か撤去か、住民の意見が分かれています。結論を出すには、もう少し時間が必要なのかもしれません。

Civic Force

パーソナリティ 鈴村健一

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