みらい図鑑

VOL.256「未利用魚を缶詰に!」

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漁師さん達が、海で懸命に獲った魚たち。

なかには、ニーズにないサイズや魚の種類、水揚げ量の問題などの理由から、
流通できず、廃棄処分になってしまうものも少なくありません。

行き場を失った魚たちに、どうすれば新しい価値を付けられるか。

島根県浜田市にある水産加工会社、「シーライフ」が取り組んでいるのが、
その日の朝に獲れた魚で作る、日替わりの缶詰です。

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その名は、「今朝の浜」。

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マグロやイワシ、ブリなど、お馴染みの魚から、
ホウボウやカガミダイなどのあまり耳馴染みのない魚、
さらには、タチウオ、カマスなど、3年間で50種類以上の缶詰を製造。
評判も上々です。

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「シーライフ」、川上清貴(かわかみ・きよたか)さんに伺いました。

「美味しい缶詰は、全国たくさんあると思うんですが、
それ以上に、ぼくたちは、獲れた魚を大事にした缶詰を作りたいと思っています。
“今朝の浜”というネーミング、そのままなんです。」

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「シーライフ」は、そもそも、のどぐろの干物づくりがメインの会社。

その後、缶詰の製造もはじめたところ、地元の漁師さんや仲買人さんから、
港で問題になっている、未利用魚、
いわゆる“値がつかない魚”を、なんとかできないかと相談を受け、
缶詰づくりに挑戦したのが、「今朝の浜」のはじまりだったといいます。

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漁は一期一会の出会い、と話す川上さん。

「ぼくたちも、朝、港へ行く時は、
どんな魚があがっているんだろうと、ワクワクするんですね。

冬のいちばん美味しい時だけ、夏のいちばん美味しい時だけ、
その時期に獲れた魚も缶詰めにしていますが、
地方の港産ということで、鮮度がいい魚が揃っているんです。
それを全国の方に届けていけたらな、と思っています。」

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新しい水産加工の形を実践し、
地元の若い人たちに、「こういう仕事をしたい」と思ってもらいたい。
そんなメッセージも込められた「今朝の浜」。

海の魅力がたっぷり詰まった缶を開けるワクワク感、
皆さんも是非、味わってみてはいかがでしょうか。


VOL.255「フラワーロスで作るアクセサリー」

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コロナによって、行き場を失ったもの。
そのひとつが「花」。

イベントや行事などの中止が相次ぐなか、花の需要が減り、
きれいなのに廃棄されてしまうという状況が続いています。

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そんな花を有効活用しようと、
廃棄される花を加工し、アクセサリー作りのデザインを手掛けているのが、
クリエイティブユニットの「カエルデザイン」。

まず、一枚一枚、花びらをはがしてドライフラワーにしてから、
樹脂コーティングを施して、イヤリングやネックレスなどに生まれ変わらせます。

この作業をおこなっているのが、石川県金沢市にある、
リハビリ型の就労スペース、「リハス」に通うメンバーです。

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“クリエイティブな力で、
もっと世の中に貢献できることがあるんじゃないかと思っていた。“

そう話すのは、「カエルデザイン」のクリエイティブディレクター、
高柳 豊(たかやなぎ・ゆたか)さん。

デザインはできても、
それを実際に作る人がいないとモノづくりは成り立ちません。

誰に作ってもらいたいかを考えていた時、
縁あって、障害者の就労支援の施設と出会い、
その仲間たちと一緒にアクセサリーを作りたいと思った、と高柳さんは話します。

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「リハス」の合言葉は、“障がいがあっても稼ぐ”。

この理念に共感し、「一緒にアクセサリーを作ろう」と呼びかけた高柳さん。
こんな想いも語ってくれました。

「障がいをもつと、なかなか生きにくい世の中で、
そのなかで稼いでいくのはほんとうに難しい課題です。

内職的なことをやっても、
最初から最後まで、何かを完成させることが少ないと思うんです。

僕たちは、最初から最後まで、障害を抱えた方に作り上げていただいています。
その喜びって、うまく言えないんですが、
作ることと、心の喜びが、一体になっている気がするんです。
それがすごくいいな、と思っています。」

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「カエルデザイン」の挑戦は、環境に優しい、サステナブルな取り組み。

廃棄された花のほかにも、
海洋プラスチックによるアクセサリーもデザイン。「リハス」で作っています。

社会にも、地球にも優しく、そして、収益にもつながる。
この循環こそが大切なんですね。

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