新潮文庫の『金閣寺』、その装丁で使われている美しい炎の絵が、日本画の巨匠の作品の、一部分であることをご存じでしょうか。作品の名前は『炎舞』。速水御舟の筆による、国の重要文化財です。先日東京・広尾にオープンした『山種美術館』で偶然本物を見ることができたのですが、御舟自身「もう一度描けといわれても、二度は出せない色」と述べている通り、炎の勢いを引き立たせる闇の色がなんとも幻想的…。“美”に囚われ、金閣寺を愛しすぎて、ついには炎を放ってしまった主人公の物語にぴったりの装丁です。そういえば山種美術館の学芸員の方が、この絵には画像に写らない色合いの魅力があるとおっしゃっていました。是非機会があれば生で見ることをおすすめします。
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