なんともいえない後味を残す、小川未明の童話の数々。生まれてすぐに隣の家に養子に出され3歳までそこで育てられたという生い立ちや、「死に懐き親しみたい」という考え方などがあいまって、未明はどこか悲しげな作品が生み出していったようです。それにしても『赤いろうそくと人魚』は実に展開の早いお話ですね。今まで慈しみ育てていた人魚の子を、あっという間に悪人に売り渡してしまう年寄り夫婦の変わり身の早さには小川さんも私もびっくり。その数ページ前に描かれている、人魚が「人間は人情があってやさしい」と繰り返し思っているシーンが、なんともせつなく映ります。
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