ON AIR REPORT オンエアレポート

8月生まれの音楽家・リリー・ブーランジェに注目!

17/08/09


今週もお聴きいただきありがとうございました!

今回は8月生まれの音楽家から、フランスのリリー・ブーランジェ の作品と生涯を紹介しました。姉のナディア・ブーランジェはフランスの音楽教育者として有名ですが、若くしてなくなった才能豊かな妹に注目です。

<プレイリスト>
M1 リリー・ブーランジェ 《ノクターン(夜想曲)》 op.4 /オリヴィエ・シャルリエ(ヴァイオリン)、エミール・ナウモフ(ピアノ)
M2 リリー・ブーランジェ 《ファウストとヘレネ》/ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮)、BBCフィルハーモニー管弦楽団、ボットーネ・ボナヴェントゥーラ (テノール)、ジェイソン・ハワード(バス) 
M3 リリー・ブーランジェ 《行列》/アラン・ジャコン(ピアノ)
M4 ファニー・メンデルスゾーン 《ピアノ三重奏曲 ニ短調》 op.11 より第4楽章/レナーテ・エッゲブレヒト (ヴァイオリン)、フリーデマン・クプサ (チェロ) 、リーヌ・デュティイー(ピアノ) 

1893年8月21日生まれのフランスの女性作曲家、リリー・ブーランジェ。作曲家だった父や6歳年上の姉の影響で、幼い頃から作曲を学び、19歳で《ファウストとヘレネ》でローマ大賞に輝く。女性初の受賞でした(1913年7月)。しかし幼い頃から病弱であり、20代になると病が悪化し、1918年3月、24歳で亡くなっています。
「フォーレの影響を感じる、同時代のラヴェルに近い実に美しい成熟した作品、あまり演奏されない作品とはどこか何か足りないと感じさせることも多いが、そんなことはないすばらしい作品」、と横山さん。

姉のナディアは妹の才能を自分よりも高く評価し、その非凡さに比べたら自分は無力であると、リリーが夭折すると自らも作曲の筆を折っています。その後、教育活動へ専念し、教え子はヨーロッパのみならずアメリカ、アジアまで。コープランド、バーンスタイン、バレンボイム、ピアソラ、ジスモンチ、クインシー・ジョーンズ、ミシェル・ルグランなど、ジャンルを問わず数多くの弟子がいます。

今でこそ女性の作曲家は多く活躍していますが、音楽の歴史を振り返ると、圧倒的に男性作曲家が中心となっています(これは音楽に限りませんが)。 ファニー・メンデルスゾーンやクララ・シューマン、アルマ=マーラー、など夫や家族がもともと作曲家、というパターンから、リリー・ブーランジェは職業作曲家として活躍した女性の最初の世代といえるでしょう。歴史に埋もれてしまった女性作曲家はまだまだたくさんいます。アーロン・コーエン編『国際女性作曲家事典』(1987年)には実に6000人以上の女性作曲家が挙げられています。