ON AIR REPORT オンエアレポート

雨の音楽

18/05/28


今夜もお聴きいただきありがとうございます。今年は関東地方の梅雨入りも早くなりそうだとか・・今夜は、これからやってくる雨の季節に似合う作品をご紹介しました。

<PLAY LIST>
M1 ショパン 《24の前奏曲》op.28より 第15曲<雨だれ>/横山幸雄(ピアノ)「入魂のショパン2018」5月5日東京オペラシティコンサートホールで録音
M2 ドビュッシー 《版画》より 第3曲<雨の庭>/ジャック・ルヴィエ(ピアノ)
M3 ブラームス 《ヴァイオリン・ソナタ 第1番 op.78 「雨の歌」》より 第3楽章 /イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)、ダニエル・バレンボイム(ピアノ)
M4 武満 徹 《雨の樹 素描》/ 藤井 一興(ピアノ)

M1は数あるショパンのピアノ作品の中でも広く知られている作品、そして、「雨」の音楽として最も有名な作品のひとつです。1838年マヨルカ島で完成されました。気候が良いことで知られるマヨルカ島にも雨季があり、ショパンは持病の肺結核をこじらせてしまいます。そこで留守番をしているときこの作品は誕生しました。サンドによる献身的な看病を受け二人の絆も強まった旅でした。
M2は、ドビュッシー(1862-1918)が1890年代半ばごろから作曲に着手し、1903年、41歳で完成され翌年初演された。第3曲「雨の庭」は繊細なアルペジオによって庭の木立にふりかかる雨が描かれています。フランスで歌われる子守歌、「眠れ坊や、眠れ」と、童謡「もう森にはゆかないよ」が引用されています。
M3、ブラームス(1833 – 1897)の≪雨の歌≫とも呼ばれるこのヴァイオリン・ソナタ第1番Op.78は、1878年から1879年にかけて、夏の避暑地だったベルチャッハで書かれました。≪雨の歌≫というサブタイトルは、第3楽章冒頭の主題が、自身の同名の歌曲(Op.59-3)から引用されていることに由来します。歌詞は、「雨の音や感触が、子供の頃の思い出を呼び覚まして、ふと懐かしくなる・・」という内容。この歌はクララ・シューマンがとても気に入っていた作品といわれており、その旋律を引用することで、クララに寄せるブラームスの想いを表していると解釈することもできる作品です。
M4、武満徹(1930年10月8日 - 1996年2月20日)は、現代音楽の分野において世界的にその名を知られる作曲家。映画音楽や文筆、また音楽祭等の企画の分野でも活躍しました。ほぼ独学で作曲を学び、「水」「鳥」「庭」といった自然のイメージを内包した独自の音楽スタイルで知られています。1982年の作品。冒頭は16分音符の両手の動きが、雨の雫を滴らせる木の葉を描写するかのようなフレーズで始まります。

「雨」といっても、雨の音をモティーフにしたものや、雨にまつわる思い出や印象に基づくものなどいろいろありますね。一般的に雨には悲し気な印象があるように思いますが、神秘性をプラスした武満徹、気持ちを曲にこめたブラームス。作曲家がいろいろなインスピレーションを受けてそれぞれ印象が異なる作品が生まれると改めて感じます、と横山さんはおっしゃっていました。
20180505入魂のショパン2018 第7部!