三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2025.10.21

睡眠の真実を解き明かしたい

株式会社 株式会社S'UIMIN
取締役CSO会長
柳沢 正史
睡眠ソリューションを提供


ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。

柳沢正史さんは、1960年、東京のご出身。これまでに血管の収縮に作用する「エンドセリン」や、睡眠と覚醒を制御する「オレキシン」を発見。睡眠学のトップ研究者として世界的に有名でノーベル賞も期待されています。2017年には、株式会社S'UIMINを起業されています。そして、ONEMORNINGのリスナーでもあります。
先週はS'UIMINの主な事業内容をうかがいました。睡眠の質を検査したり、改善するプログラムなどを個人向け、法人向けに提供されています。
今週は柳沢さんのことや睡眠のことについてうかがいます。
研究者に俺はなるぞと思い始めたのはいつ頃なんですか?

「幼い頃から自分で研究者になる将来を描いていたみたいなんですが、具体的には高校生の時ですね。分野をいろいろ悩んだ挙げ句に、生物学やろうということで医学部に進みました。」

なかなか研究者になろうという人は珍しいですよね。研究分野において、求めていた発見につながらないケースもあるわけじゃないですか。ゴールラインが見えない中、進んでいくってすごい精神力がないといけないなっていうふうに思うんですがいかがでしょうか?

「そうですね。研究ってゴールが見えていて、これをやればわかるって、わかっていたら本当の研究じゃないですよね。私は将棋観るのが好きで、藤井聡太さんのファンなんですが、藤井聡太さんが19歳の時にすごいことを言ったんです。「あなたは将棋を登山に例えたら今何合目ですか?」とジャーナリストに聞かれて、「森林限界を超えることができていません」って彼は答えたんです。 要するに、周りは森と木しか見えない。自分の行くべき尾根道も見えないし、ましてや頂上は見えない状態で進んでいますという意味だったんですが、それがぴったりなんですよね。自分がどこにいるかもまだよくわからない、もしかしたら研究者の人生って本当に最後までそうかもしれないですよね。」

将棋も研究も似ているところがあって、山の麓にすらたどり着いてない可能性もあるわけですね。そういう世界の中で、いわゆる研究成果が頂点だとしたら、そこにたどり着ける人って、本当に研究者の中で一体どれくらいいるんだろうっていう話ですよね。

「たどり着いたをどう定義するかにもよりますが、賞というは結果としてもらえるもので、それを別に目標にしてるわけではないのでそこも難しいですよね。」

確かにそうですね。
ここからは睡眠についてもお伺いしたいと思います。
ユ:僕はこの番組があるので大体3時50分に毎朝起きるんです。このルーティンは絶対変わらないんですが、前の日、どんなに早く寝ても遅く寝ても起きる時間は変わらない。僕は今までそのルーティンで毎日大体5時間寝ていると、5時間遅く寝たらそのまま5時間ずれるのかと思っていたんですが、起きる時間は変わらないってことに気づいたんですよ。 これは人間は睡眠時間で覚えているんじゃなくて、目覚める時間で覚えているのかなと思ったのですがどうなんでしょうか?

「ユージさんの場合、そういうリズムになっているということなんですよね。アドバイスとしては、週末も含めて3時50分付近で起きてしまった方がいいのかもしれないですね。その代わり、毎晩できるだけ早めに眠るのがいいと思います。今睡眠時間が5時間とおっしゃっていましたが、週末も含め睡眠時間が5時間で足りる人というのは非常に少数なんですね。まだ年齢的にお若いからいいですが、もうちょっと歳取るとだんだんもたなくなってくると思います。」

吉:私はよく夫に「睡眠不足は訓練だ」みたいなことを言われるんです。私は寝ないとダメな人間で、この番組が始まって「僕も昔は寝ないとダメだったけど、繰り返していくうちに寝なくてもいけるようになった」といった感じで気持ちの問題だと言われることがあったんですが実際にはどうなんでしょうか?

「それはダメダメアドバイスですね。日本人ってそういうふうに思っている人が多いんです。しかし、適切な必要十分な睡眠量、睡眠時間って個人差があって、いわゆる大人ですと平均すると七時間前後、プラスマイナス1時間ぐらいでそんなに幅広くないです。だから6時間未満で足りる人というのはかなり少数です。そして、その時間は絶対眠らないとダメなんです。睡眠の質を上げて、より短い時間で済まそうだったり、訓練して短くしようだったり、気合だったり、そういったものは完全に誤りですね。」

吉:夫にも伝えておきます。
中には「休みの日なんて平気で昼まで寝ています」という人もいると思うんですがそれはどうなんでしょうか?

「要するに終日休みでない日に、いわゆる睡眠負債が溜まっていて、それを週末でなんとか返済しているということですよね。」

それは実際に返済できるんですか?

「少しは返済できます。でも、しないよりはマシというレベルですね。」

それでも「12時間寝てしまった」というのも身体に悪そうな感じがしますがいいんでしょうか?

「寝ないよりはいい、という言い方もできますが、借金は土日じゃ返済できないというのが一つと、問題はそれによって「ソーシャルジェットラグ」、つまり社会的時差が生まれてしまいます。要するに、週末だけ昼まで寝ていると遅寝・遅起きになるわけですよね。 金曜日に明日休みだといって遅くまで起きている。つまり週末だけ日本から海外に飛んでいって月曜日の朝に東に飛んで日本に帰ってくるようなことをやっているわけです。だから調子悪くなるの当たり前で、やはり理想は、週末も含め大体同じ時刻に起きて、同じ時刻に寝るというのが一番いいですね。」

ユ:スマホについてもお聞きしたいです。寝る前のスマホは「何十分とか何時間前には消しましょう」と言われているじゃないですか。でも見ちゃうんです。要は、スマホで寝落ちしたいんです。これってよくないでしょうか?

「実は私としては、少なくとも大人に関しては、ベッドでのスマホを完全に禁止する必要はないと思っています。そういった論文も出ているんですが、スマホは何が問題かというとコンテンツ次第なんです。操作を要求されるようなインタラクティブなコンテンツ、SNSやショート動画、ゲームといったものは絶対にやめた方がいいです。そういったものを見ているといつまでも眠くならないんです。それで気がついたらあっという間に時間が経ってしまったりするので、やめる意思のない人はもう禁止した方がいいですね。」

ユ:僕はどちらかというとBGM的な動画、誰かが何かをひたすら作ってるだけの会話がない動画を見ているんですがそれはアリということですか?

「そうですね。専門用語でも入眠儀式と言うんですが、操作要求されない長めの動画で、自分にとってなんとなくリラックスできて、仕事のストレスを一瞬忘れられるようなコンテンツで、操作が要求されないものであれば、それを寝落ち道具として使うのはアリです。」

吉:でも「もう眠れない!」となってしまった時って、本当に何しても眠れないじゃないですか。「スマホ絶対見ないようにする!」って思っていても、気づいたらどんどん時間過ぎちゃって…これはどうしたらいいですか?

「先ほども言いましたが、入眠儀式、入眠ルーティンみたいなものを自分で作るのはいいかもしれないですね。歯を磨いてパジャマに着替えるといった「これをやってからこれをやるとなんとなく自分は眠れる」みたいな流れを体に覚えさせるといいですね。」

なるほど。ほかにも夢についてもお聞きしたいのですが、最近嫌な夢を見ることが多いのですがどうしたらいいんでしょうか?

「夢って「何かに追いかけられている」といったストレスフルな内容が多いんですよね。心理学者に言わせると、そういったストレスフルな夢って、現実に起こりうるストレスフルなシチュエーションを夢の中で予行演習していると考える方々がいて、実際に夢を見ている人の方がストレス耐性がつくという話もあるんですよね。だから決してそういう嫌な夢を見るのは悪いことじゃないんです。」

そうなんですね!よかったです。睡眠って本当にみんなが関係のあることで質問が絶えなかったですね。
最後にこれからの夢を教えてください。

「私の本業は睡眠の基礎研究なんですが、眠気って何なの?っていう眠気の本体、本質を、今の現代的な脳科学の言葉でちゃんと表現できるまで突き止めるというのが夢です。これは本当に深い謎です。それともう一つ、社会的な方面の睡眠については、特に我々の株式会社睡眠の事業も含め、知らないうちに睡眠時無呼吸や睡眠障害になっている人がゼロになるような、世界中の人が一度は自分自身の睡眠を見える化して意識する、できる社会を目指したいですね。」
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