2025.12.02
その仕事を、未来へつなぐ
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週ゲストは先週に引き続き、NYC株式会社 代表取締役社長の中塚庸仁さんです。中塚庸仁さんは、1988年生まれで広島県のご出身。これまでIT企業や経営アドバイザリー会社などで経理やベンチャー投資、M&A戦略などに従事。そして、2022年にNYCを創業されています。
先週はNYCの主な事業内容をうかがいました。日本の企業のほとんどを占める中小企業ですが、いま、後継者不足や経営者の高齢化が課題となっています。そこでNYCは、後継者のいない中小企業に対し、資金面はもちろん、新しい社長の確保など事業継承をサポートするビジネスを展開されています。いわゆる買収や合併とは違う、新しい事業継承の形で日本経済を支えるようなビジネスだと思いました。
今週は中塚さんがNYCを創業するときのお話をうかがいます。ご自身で会社を興したいと思ったのはいつ頃なんですか?
「小学生の頃で、父の影響でした。」
お父様が起業されていたんですか?
「そうですね。 もともと父は広島の中小企業に勤めていたんです。ただ、給料も安く、当時は家賃3万円ぐらいの小さな家で住んでいたんですけれども、ある日、社長と喧嘩をして、そのまま独立しました。」
お父さん強いですね(笑)
お父さんの起業は最初からうまくいったんですか?
「最初はやはり苦労はしていたんですけれども、途中で軌道に乗ってきて、3万円の家からどんどん大きくなって、最終的には戸建ての家を持つにいたりました。」
じゃあ成功を近くで見ていたんですね。
「おっしゃる通りです。それを見ていて、「起業っていいな」と思うようになりました。」
お父様の話になってしまうんですが、何系のお仕事で独立されたんですか?
「いわゆる飲食店や工場にボイラーのような機械設備を設置する会社を立ち上げました。」
プライベートな話になりますが、お父さんもゼロからお仕事を頑張ってこられて、それなりにお金も持つようになって、クリスマスプレゼントなんかも子どもながらに「いいプレゼントになってきたな」みたいな感覚はあったんですか?
「そうですね。そういう意味で言うと、家賃3万円の家に住んでいた時、起業する前はプレゼントを選べなかったんですが、起業した後は選べるようになりました(笑)」
そういう意味でも起業ってこんないいことがあるんだと感じるきっかけにもなったんですね。
起業する前、はじめにソフトバンクに入られてお仕事されたということで、ソフトバンクではどんなお仕事をされたんですか?
「ソフトバンクでは経理や、経営企画など様々なお仕事をさせていただいて、中でも印象に残っているのはベンチャー投資ですね。シリコンバレーやイスラエルなど、世界中のベンチャー企業への投資に関する仕事をしていました。」
その当時の仕事は今の仕事につながっていますか?
「そうですね。 現在、弊社は中小企業投資をおこなっているとお伝えしたんですけれども、最近はベンチャー投資もやっていまして、いわゆる最先端のベンチャー企業の商品を中小企業に導入するといったことをしています。例えば 、AI 企業に投資をして、その AI を投資先に導入するなど、架け橋のようなこともしています。」
実際にソフトバンクのベンチャー投資の部署でのご経験が今の仕事につながっているとお聞きしたんですけども、これについて詳しく教えてください。
「いわゆるグローバルなベンチャー投資と中小企業の世界って全く正反対のように思うんですけれども、まずグローバルな中でやっていて、皆さん壮大な夢だったり、世界を変えるぞという気持ちがあったりするんですが、一方で、当時私の母が、スーパーマーケットで珍味の物産展や、北海道のフェアといった中小企業の仕事をしていまして、そこが廃業になったんですね。自分としては大きく世の中を変えるというよりかは、母の話もあり目の前の困っている人やものを助けたいという気持ちで、そういった投資の世界に行きたいと思うようになったきっかけですね。」
それが今のお仕事にもつながっているってことですよね。
ソフトバンクの次は、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社という会社に転職されたとのことで、転職のきっかけは何だったんですか?
「先ほどの話にもあった通り、母の影響で中小企業の投資の世界に行きたいなと思った時に、やはり足腰としてM&Aというスキルを高めたかったので入社しました。」
そこではどういったことをされたんですか?
「具体的には、大企業を含む、様々な企業のM&Aに対するコンサルティングの仕事になります。」
M&Aをするにあたっても、「あの会社いいなあ、うちの会社と提携できたらうちの会社も成長できる気がするけどそもそも売りに出てるのかな?どうなのかな?」っていうのがわかんないわけじゃないですか。そういう時に、まさに中塚さんのような方々にお願いするってことですか?
「そうですね。我々がアドバイスして、「じゃあこういう会社はどうですか?じゃあ一緒にアプローチしましょう」というのをデロイト時代にやっていました。」
この会社がきっかけでNYC株式会社設立につながったんですね。
「そうですね、実際にコンサルティングをするだけじゃなくて、自分がM&Aを買って一緒に会社を伸ばしていきたい。 そして、先ほどあった母が務めていた仕事の廃業もきっかけの一つとして、実際に後継者を連れてくることで、自分が起業の業務継承のサポートをしたいと思いで立ち上げたのが経緯になります。」
先週もたくさんお話伺いましたが、 本当に今、日本の中小企業って9割以上が実は中小企業で、その中でも後継者問題、人手不足はどの企業で最近ずっと言われていますが、実はそのトップの後継者問題で黒字廃業する会社が多いと聞きました。ちょっと個人的にすごく気になったのが、ご自身のお父様も経営者で、まだ今事業を続けてらっしゃるとのことで、そこでお父様の会社を継ごうとは思わなかったんですか?-
「思わなかったですね。これがこの仕事の意義でもあるなと思うんですけれども、私ぐらいの世代で東京に出てきた人は、やっている仕事内容も違うこともあり地元に戻らないことが多いので、だからこそこの仕事は意義あるなと思います。」
お父さんがもしかしたら後継者問題になった時はどうするんですか?
「自分ではなく、得意分野とする誰かを紹介します。」
お父さんの会社のバトンを誰かにつなぐ大切な役割を息子さんができたっていうので、なんかそれは意義があることですよね。
事業成功に導くコツはなんでしょうか?
「やはり一つあるのは、常にポジティブでいることかなと思いますね。」
事業をやっていく中で落ち込んだり、これやばいかもみたいな瞬間はなかったですか?
「もちろんありますね。いわゆる我々金融機関から資金調達をして、実際に事業やっていくんですけれども、お金を借りても返していかないといけないので、事業が悪化すればどうしようっていうのは考えましたね。」
先週と今週で二週にわたっていろいろなお話を伺ってきて、非常に興味深かったんですが、ここでお時間となりました。最後に、これからの夢を教えてください。
「弊社の目標として、2027年までに、100社の事業承継で譲り受けることを掲げています。」






20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、





