2025.12.16
2、30年後の便利を作りたい
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週のゲストは先週に引き続き、株式会社New Innovations代表取締役の中尾 渓人さんです。中尾 渓人さんは、1999年、和歌山県のお生まれ。14歳のとき『ロボカップジュニア』世界大会で入賞。高校在学中の2018年にNew Innovationsを設立されています。
先週は主な事業内容をうかがいました。高校生までロボット作りに熱中していた中尾さんは自己満足だけではなく、社会に生かしたいという思いから、New Innovationsを創業し、飲食業界向けの調理ロボットを中心に開発されています。ロボットについては詳しかったと思いますが、会社経営となると話は別ですよね。それについてはどうやって勉強されたんですか?
「そうですね。全部自己責任な世界だと思っていたので、自分で調べたり、いろんな人に聞いたりと探り探りだったんですが、高校生の起業するちょうど前後ぐらいの時に、いろいろな経営者の方や、自分で会社を創業された方、投資家の方々などにどんどんお会いをしました。お会いした後に、「ちょっとまた他の人も紹介してください」といった感じで人脈を広げ、なんだかんだ1000人近い方にお会いしました。」
そんなに会ったんですか!?高校生の時ですか?
「そうですね。高三から大学一年生ぐらいの時期です。」
1000人の方と会うこともすごいんですが、どうやって会うためのアポイントメントを取ったんですか?
「当時17、8歳くらいの高校生だったので、連絡したらちょっと面白がっていただけたというところもありますね。」
先輩経営者からすると、若くて志のある少年が経営者を志しているというのであれば、それは会いたい、応援したいという気持ちになりますよね。
「投資家の方も、こちらは学生なので相手からするとメリット0だとはわかっていたんですが、とはいえ結構面白がってくださる方々も多かったです。」
その中で特に印象に残っている方はいらっしゃいますか?
「クリスマス・イブに会った、今でこそ弊社の株主になってくださっている方がいらっしゃるんですが、その方との出会いはまるでクリスマスプレゼントみたいな出会いでした。」
それはどうしてプレゼントだと思ったんですか?
「優しいアドバイスだけではなく、「学生だから」といった色眼鏡なしにどストレートに意見を言っていただける方でした。」
はっきり現実も教えてくださったんですね。
「仕事人として普通のお話をしてくださったかなと思います。今思うとそれでもかなり配慮いただいていたと思うんですけど、当時はそれが嬉しかったですね。」
そういう形で知識をつけていったんですね。
ロボット開発、やはりお金がかかりそうですけど、資金調達はどのように行ったんでしょうか?
「弊社は相当お金が必要な会社なんですけれども、いろいろなご縁や運に恵まれつつもとにかく実るまでやるという姿勢でやりました。」
ロボットを作って、商品を導入したことない会社に売り込まなきゃいけないと思うのですが、そこはどうやったんですか?
「ここに関しては私どもは順番が違っていまして、売れるということがおおよそ分かってから、それを作るという形を初期の頃からしております。多少順番が前後することは製品によってあるんですが、最初にお客様とのご縁を頂いて、お話をして、今は世の中にないしどの会社さんも作っていないけれども、こういうものがあったら価値があるよねというふうなところを言ってもらって、ある程度像ができあがってから作るという形が多いです。いつかは世の中に必要なものを僕たちが定義をして作るみたいなことが今後できたらいいんですが、現在は世の中にニーズとして顕在化しているものに対してそれを解決していくという方向性の方が多いですね。」
ロボットってやはり金額もそれなりに高いというイメージがまだどうしてもあるんですが、企業さんもそれを導入するにあたってリースという形で利用するんですか?
「基本的にはリースはマイナーなんですが、リースもあります。弊社のロボットの顧客は、ロボットを買いたいというよりは、ロボットを用いて何かの事業運営をしたいので、そのオペレーションを含めて委託いただくといったこともあれば、ロボットを買い取ってもらうこともあれば、リースという形を取ることもあるといった感じです。」
料金設定はどのように考えたんですか?
「弊社のロボット、ロボット業界では結構安いといいますか、非常にコストパフォーマンス、コストバリューが高い会社とご理解いただいていることが多くて、一台当たり数100万円から高くても2000万円弱ぐらいの価格帯で提供しているのですが、普通ロボットっていうと大体2、3000万円から高いものだと装置一式で7000万弱のものもあるので、それらと比較すると安い部類に入るんです。」
そんな安くしちゃって売上は大丈夫なんですか?
「そうですね、僕らとしてはその一台の高額なロボットを売るというよりかは、基本的には複数現場がある。 つまり、弊社チェーン店のお会社様がお取引先が多いんですけれども、一台当たりの単価をたくさん上げに行って、一点、二点だけ売るよりかは、それが100台とか1000台というふうなところで整合するようにしようという考えです。」
先週、Starbucksさんの横浜店での導入事例をお話しいただきましたが、それこそStarbucksさんも全国に展開しているわけで、そこでの実績が積めれば店舗拡大していく可能性もありますよね。
今店舗がない駅のホームといったところで導入できますし、将来的には自販機のような手軽さで利用できる無人Starbucksといったもの可能になりそうですよね。
「人間による接客も大事だとは思うんですが、逆に言うとその温かみのある接客以外の部分は全部ロボットでいいんじゃないかっていうふうに思っています。」
AIの時代で、ロボットに詳しくない方一般の方も、 AIを使いこなしている方もいると思うんですけれども、このNew InnovationsのロボットにもAIは使われているんですか?
「そうですね。 例えば、カメラで写真を取って、リアルタイムで解析をして盛り付けを行うなど、大体どのロボットも中の映像関連のデータ処理の部分でAIを利用しています。」
先週も今週も外食業界の話が結構多かったと思うんですが、それ以外にも進出してみたい業界ってありますか?
「とりあえず今は、人が関わって、労働分配率が高い業界はどんどんやっていきたいと思っています。」
例えばどんな業界ですか?
「飲食だけじゃなく、小売りや、宿泊業、建設、運輸、物流、介護といったところですね。」
中尾さんの話を聞いているとずっと夢を追いかけているように感じますね。
起業する醍醐味や面白さは何だと思いますか?
「非常に難しいんですが、全てが自己責任というところがやっぱり一番面白いところかなと思っていて、どううまくいこうが、どううまくいかなかろうが、全部自分の責任なことってあんまりないのかなと思っています。そんな中でも、自分は楽しいことの方が多いのでそこが面白さかなと思います。」
最後になりますが、これからの夢を教えてください。
「2、30年後の世の中の便利さを、僕たちが作っていましたっていうふうな形になりたいなと思っています。」






20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、





