ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2014年11月2日のショートストーリー

「楽しいから笑うんじゃない、笑うから楽しいんだ。」

[ストーリー]

３歳になったばかりの息子を寝かしつけて
そーっと寝室から出てきた僕に妻が言った。

「なにがそんなに楽しいの？」

リビングで洗濯物を畳んでいた妻は
こちらも見ず、まるで独り言のようにポツリと言った。
二人とも働きながらの子育ては、決して、楽ではない。
だけど、僕はできるだけ笑うようにしていた。
小学生の頃からそう決めているのだ。

「なにがそんなに楽しいの？」

夏を前にしたプール掃除。
みんながすごく大変そうにしている中で
楽しそうに笑っている担任の先生に聞いたことがある。
先生の答えはこうだった。

「楽しいから笑うんじゃない、笑うから楽しいんだ。」

先生につられて笑いはじめたら、なんだかとても楽しくなった。
気が付けば、周りのみんなも笑いながら掃除をしはじめ、
あっという間に終わっていた。
その時の思い出とともに、僕は妻に言った。

「だから、一緒に笑おうよ。」

それまで無表情だった妻の顔がふっと緩んだ。

愛知県「ますここ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・杉山錠士

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