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2016.5.7 sat

義足エンジニア、遠藤謙さん。競技用以外に研究している義足とは?

先週に引き続き、義足エンジニアの遠藤謙さんのご登場。
パラリンピアンのための『競技用義足』の開発者として注目を集めている遠藤さんですが、『競技用』以外の義足の研究にも尽力を注いでいます。それはいったいどのような義足なのでしょうか? 小宮山雄飛さんのリポートです!


↑(左)小宮山雄飛さん、(右)義足エンジニア・遠藤謙さん


■ソニーコンピュータサイエンス研究所

遠藤謙さんが所属するソニーコンピュータサイエンス研究所は、およそ30人の研究者が、それぞれ自分のテーマの研究を行うというユニークなラボ。コンセプトは「人類の未来のための研究」で、研究者の採用基準のひとつは「クレイジーな人」とのこと。脳科学者の茂木健一郎さんも、この研究所の上級研究員。

ソニーコンピュータサイエンス研究所 https://www.sonycsl.co.jp/


■歩行用ロボット義足

人間が歩行するときは、無意識のうちに「地面を強く蹴るという動きをしているので、その蹴る動きを、モーターによって再現したのが『歩行用ロボット義足』。モーターの分だけ、市販の生活用義足よりも重くなりますが、蹴る動きによって、これまでの義足にはない機能が携わっています。

■途上国向け廉価版の義足

インドでは病気や事故で足を失う人が多いと聞いた遠藤さん。実際にインドに行ってみたら、足を失ったひとりの少年に出会いました。そしてその少年がつけていた義足は、膝が曲がらないタイプのものでした。

そこで遠藤さんは、現地で安価な義足を無償提供していたNGO「ジャイプールフット」と協力して、足の底が地面につくと膝が曲がるタイプの義足を開発し、その少年に届けたそうです。そしてその活動をきっかけに、同じ価格帯でよりよい義足を、現地の加工技術で作れるように設計し、現地の人がビジネスとして成立できるように、技術面からサポートしているそうです。


■株式会社Xiborg

「義足だけ改良されても、記録がよくなるわけではない」という命題から、遠藤さんは、オリンピックアスリートの為末大さん、そして現役のパラリンピアンとそのスタッフによるチームを結成し、法人化しました。その名も株式会社Xiborg。チームに関わる人たちの経験と知恵、選手の適切なトレーニングによって、日々、ベスト記録を模索しています。

株式会社Xiborg http://xiborg.jp/


■競技用義足について

競技用義足はカーボンでできていて、通称「板バネ」と呼ばれています。人間の足のすごいところは、一種類の足で、走ったり歩いたり座ったり、なんでもできるところですが、義足のすごいところは、一点突破型。用途に特化したものを使用すれば、健常者の記録を上回ることもできるのではないか、というのが、Xiborgの目指すところ。


最後は、田中みな実からの質問。
「義足エンジニアの遠藤謙さんに伺います。遠藤さんがこれから起こそうとしている『ワクワク』を教えてください!」

遠藤謙
「もっとテクノロジーが進んで、2020年(オリンピック・パラリンピック)で、障がい者が健常者を打ち負かす(記録を抜く)という現象も起こして、将来的には、世の中から『身体傷害(がい)』という言葉が無くなったらいいな、と思っています」

→次週は、リニューアルしたばかりの日本科学未来館のONGOINGをリポート!
放送は5月14日(土)22時から、JFN系列全国38局でオンエア

今回お送りした曲は…
À tout à l'heuren / Bibio
THE BEST TEAM / マイア・ヒラサワ