冷たい雨が混じる今日のスタジオにお越しいただいたのは、
「巨樹写真家」の吉田繁さん。
「巨樹=きょじゅ」って、言葉もあんまり聴かないし、それだけを撮る写真家の方って、
どんな方なんだろう?と、興味シンシンでお迎えしました。
お会いした吉田さんは、とても優しくて真面目そうな素敵な男性♪
(「巨樹写真家」というので、もっとワイルド系の方を想像していたのです、ごめんなさい!)
見せていただいた写真集、『地球遺産 巨樹 BAOBAB』は、
鮮やかなパープルに染まる空をバックに、ずんぐりと枝を伸ばすバオバブや、
サバンナの燃えるような金オレンジの夕焼けのもと、くっきりと影になるバオバブなど、
まさに大いなる自然に抱かれた、大いなるバオバブの木がいっぱい!
見ているだけで、自分もかすかに大地を吹き抜ける乾いた風を感じるような、
そんな素晴らしい写真集なのでした。
そんな吉田さん、当然のことながら、アフリカ、マダガスカル、南米、オーストラリア、
ニュージーランド、などなど・・・世界中あちこちを旅されています。
「どこが1番印象に残っていますか?」という、ハチドリ高柳のストレートな質問に、
「うーん、難しいなー!」と悩みながらも、こんな素敵なお話を聞かせてくださいました。


場所は、カナダ。
ハイダ族の居住区に取材に行ったとき、付近にわいている温泉につかり、
そこからボートで帰ってくるときのこと。
あたりはまっ暗で、空には満点の星。ふとボートの周りを見ると、夜光虫がびっしり!
何一つ音の聞こえない空間で、上も下もまたたく光に囲まれて、
「もう、このまま終わってしまってもいい」とさえ感じられたそうです。


くしくもその「ハイダ族」の居住区というのは、この番組のモチーフにもなった本、
『ハチドリのひとしずく』の挿絵を描かれた、マイケル・ヤグラナスさんの故郷!
なんだか、強いご縁を感じてしまいました。
そして、吉田さんがそのハイダ族の居住地で出会ったのが、川沿いに生えた巨木。
どうして、巨木が川沿いだけに生えるのか、と疑問に思い調べていたところ、驚愕の事実が!
その川には、海から鮭が遡上するのですが、その鮭を狙った熊が、
鮭を捕って、川沿いの地面の上で食べるのだとか。
一方、その川沿いの木の幹の中にドリルを入れ、中の成分を調べたところ、
木の幹の「中」から、海でしか検出されない成分が、検出されたのだそうです。
つまり、鮭が運んだ栄養を熊が取り込み、その食べ残しや排泄物の栄養分を糧に、
この巨木たちは大きく育ったらしい、というわけのです!
本当に、自然の仕組みって何一つ無駄がないところが素晴らしいですよね。
でも、だからこそ、何かひとつでも変わってしまうと、
もう絶対に元には戻らないのかもしれません。吉田さんも、手付かずの自然には、絶対に触れてはいけないんだ、とおっしゃっていました。
そう。自然って本当に、最高に微妙なバランスの上に、とても危うく成り立っている、
いわば神様が創ってくれた奇跡の集まり。
私たちは、あだやおろそかに触れてはならないのです。
吉田さんは、巨樹の写真を通じて、きっとその神秘を伝えたいんじゃないでしょうか。
本当に、素晴らしい写真の数々です。
ぜひリンクからジャンプして、一度吉田さんのHPの写真、覗いてみてくださいね!!