今日のスタジオにお迎えしたのは、「空師(そらし)」という、変わったご職業の方。
空師ってなんだろう?どんな方がいらっしゃるんだろう?と、ワクワクしてお待ちしていました。
スタジオに現れたその「空師」熊倉純一さんは、もうどこから見ても、
「カッコイイ親方っ」な方。
オトコっぽさ満点の、ちょっぴりベランメエなその語り口と、一本気でまっすぐなその心意気に、
ハチドリ高柳は、もう胸キュン(←死語)だったのでした。

そんなドキドキ高柳に熊倉さんが語ってくださった、「空師」のお仕事、
一言で言うと、狭い家々の間や障害物があるところに立っている木を切らなければいけないとき、
根元から切らずに木に登り、上から少しずつ枝払いや伐採をしながら、
最終的にはその木を、「材木としてちゃんと使えるように」切ってあげるお仕事。
上からクレーンで幹をつったまま、下のほうで幹をすっぱり切ったり、
高い幹に登って命綱ひとつつけただけで枝を払ったり、とにかく危険と隣り合わせのお仕事です。


何でも熊倉さんは、中学生のときに近所に「空師」の方がいて、
その方のお仕事をお手伝いしているうちに、「空師」から離れられなくなってしまったのだとか。
以来15年間、「空師」ひとすじのベテランでいらっしゃいます。
最初は熊倉さん、神社の木を切ったりしている親方をごらんになって、
「あ、木を切るなんてこんな悪いことして、絶対タタリがある、絶対なんか悪いこと起こる」と、
思われたんですって。
でも、だんだんお仕事をしていくうちに、
「木には、切らなければいけないものもあるんだ」ということや、
「切ってあげるほうが幸せな木もあるんだ」と言うことに気づき、
徐々に気持ちが変わっていらしたのだそうです。
また、熊倉さんは木を切るとき、必ず心の中で手を合わせ、
「切らせていただきます」と挨拶なさるのだとか。
そうすると、木のほうもちゃんとそれをわかって、「お前だったら切ってもいいぞ」と、
言ってくれているような気までするんだそうです。


「気のせいかも知れませんけどねっ。」と、照れたように頭をかいていらした熊倉さん、
でも、その瞳には木に対する愛情があふれていました。
だから熊倉さん、例えば個人宅の木を切ったりしたときには、
「必ず、また新しい苗を植えてくださいね。」とお願いされるのだそうです。
そうすれば、木はとてもサステイナブルな資源。
石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料に乏しい日本は、
昔から、この日本の貴重な資源「木」を、とても上手に使ってきました。
木は、切ってもまた植えれば、長い年月をかけて育ってくれて、
私たちの生活をさまざまな形で支えてくれます。
ただ切ってしまう「森林伐採」はダメだけど、計画的な「植林」と「間伐」は、
森を育てる、大切なプロセス。
その違いを、私たちもきちんと知っておくべきなのかもしれませんね。
今日、熊倉さんのお話をうかがいながら、改めて「木」の素晴らしさに気づいてしまった、
ハチドリ高柳だったのでした。