5月15日。
東京都が、南海トラフ巨大地震についての新たな被害想定を発表しました。
駿河湾から九州の沖にかけて延びる南海トラフでは
東海地震や東南海地震、南海地震などの大地震が
これまで何度も発生してきました。
それぞれが連動して巨大地震になる可能性もあるため、いま注目されています。
内閣府の中央防災会議は去年8月、
死者が最大で32万人という被害想定を発表しました。
ただ、この想定では特に東京都の伊豆諸島と小笠原諸島をめぐって
被害想定が十分ではないとして、東京都は独自に検証をしてきました。
それが、今回発表になったものです。
それによりますと、南海トラフでM9クラスの巨大地震が発生した場合、
島しょ部では最大およそ1800人近い死者が出るとのことです。
このうち、最大30メートルもの津波が地震のおよそ15分後に到達する新島では
島民の半数を超えるおよそ1300人が死亡すると想定されました。
また、世界自然遺産に登録された小笠原諸島の父島では、
最大19メートルの津波が襲ってくるとされ、
到達までのおよそ2時間に避難は出来ても、
島にある500の建物の半数が津波で全半壊すると見込まれています。
今回の想定に観光客は含まれていないので、被害はさらに大きくなる恐れもあります。
ただし、東京都の今回の死者の想定は、
地震後10分以内に避難する人が2割だったときを前提にしています。
このため、迅速に避難できれば、津波による死者は大幅に減少するとも言われています。
一方、23区における想定はどんなもので、私達はどう備えるべきなのでしょうか。
東京都防災会議・地震部会の副部会長である
中林一樹(なかばやし・いつき)明治大学 特任教授にお話を伺ったところ、
こう教えてくださいました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
区部の状況と言うのは、
基本的には東日本大震災の時の区部の状況とそう変わらない。
もう少し揺れが大きくなるかもしれないが、
家がバタバタ倒れる・火災が多発するという状況ではない。
ただ、家具の固定などをきちんとして、けがをしないようにすることは必要。
それは南海トラフ地震対策と言うより、
直下地震対策として備えていれば大丈夫というくらいの揺れです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回の南海トラフの想定では区部のほとんどの地域が震度5強以下ですが
首都直下地震の想定では7割が震度6強以上。
最悪のケースを想定した上で備えをすることの重要性が、
今回改めて浮き彫りになりました。
逆に言うと、首都直下地震はそれだけ被害が甚大だと言うことです。
あなたの備えは、今のままで大丈夫ですか?
そして、物質的な備えだけでなく、
重要なのがやはり私たち一人ひとりの意識です。
島や沿岸部などで津波の危険がある地域にいるときの心得を
改めて確認すると・・・
★小さな揺れ、あるいは揺れを感じなくても、
地震が起きたらすぐに高台に避難する。
★避難はより遠くではなく、より高くに。
★車は使わない。
★津波は繰り返し襲ってくるので、警報などが解除されてもしばらくは戻らない。
自分と大切な人の命を守るために、しっかりと確認してくださいね。